安全な山の旅をサポートしてくれている登山者の心強いサポーター、登山ガイド。
山と共に生き、さまざまな経験を積んだ山のエキスパートは、その魅力も厳しさも知りつくしています。
今回は、北海道の大雪山に暮らし、登山ガイドとして活躍するお2 人に魅力を語っていただきました。
( 「山へ旅しよう」スタッフ 川鍋・永石)

日本最大級の高山地帯を形成する大雪山。
火山活動により隆起した山々がなだらかに広がる自然豊かな山域です。
日本アルプスより低い標高約1700m付近から高山植物の宝庫となっており、登山道からチングルマをはじめとしたカラフルな花の競演を見ることができます。

大雪山の紅葉は例年9月中旬から下旬に見ごろを迎えるため、「日本で一番早い紅葉」といわれています。
山肌を真っ赤に染める銀泉台の紅葉や、大雪高原沼をはじめとした水鏡の紅葉、真っ赤なカエデや朱色のナナカマドの色づきと緑の針葉樹の美しいコントラストが見られます。

旅好き、人好き、冒険好き
気づいたら大雪山にいました

川鍋

今回はお話しをうかがう機会をいただきありがとうございます。
お二人は北海道出身ではなく、移住してきたとお聞きしました。
北海道に住み始めた理由は何でしょうか。

鳥羽

私は22年ほど前に「探検部」というサークルに入り、国内外で冒険の日々を送っていました。
例えばネパールでは、山を2000m登って、ラフティングしながら降りてくるとか、まさに探検といったものに挑戦していましたね。
その後、探検部の先輩が、北海道で子どものための野外学校を始めたんです。
私はサラリーマンとして働いていたのですが「自然の中で何でもできる人が欲しい」という話が来たので、会社を辞めて手伝うことにしました。
それから北海道に住んでいます。
野外学校をしていくうちに、今の大人たちにも自然の原体験は必要なのではないかと思い始めました。
登山は自然を知っていく中で必要な技術の総合訓練ができると思っていたので、登山ガイドになりました。

山について語り合う(左から/鳥羽さん、一守さん)

川鍋

自然を楽しむためには技術も必要で、登山はその入り口になりますね。

鳥羽

そうですね。
今までガイドとしてさまざまな山を歩いてきましたが、大雪山はずっと魅力的で、冒険心がうずきます。
広大な地に大きな山や手つかずの自然。
まだまだ自分の知らないことがあるんだと思いました。
ダイナミックな地形、冬のパウダースノー、雪解けに咲く花々、どの季節も、毎年巡ってくる度に素晴らしいと感じます。
もちろん厳しい環境もありますが、アルプスのような鋭鋒に登るのとくらべると、構えなくてもゆったりと豊かな自然を楽しめる山域だと思います。

旭岳を案内する鳥羽晃一ガイド

一守

私は高校生の頃、鉄道が好きで、全国を旅してまわっていたんです。
車窓から眺める北海道の大自然は本当に美しいものでした。
まだ多感な高校生だったから、「すごいな」「いつか住んでみたいな」と憧れました。
何度か北海道に行くうちに、なんの気なしに大雪山の旭岳に行ったんです。
そこであまりの美しさに今までにないような衝撃を受けました。
それで、黒岳のりんゆう観光に勤めたんです。
りんゆう観光は登山ガイド付きのツアーも行っていたので、ガイドを始めたのはそこからですね。
15年間くらい、りんゆう観光に勤めたあと、ガイドとして独立しました。

黒岳を案内する一守英忠ガイド

川鍋

お二人とも20年を越えるベテランガイドですが、好きな山はありますか。

鳥羽

大雪山にはたくさんの山があります。
どこも素晴らしいのですが、大雪山の山々を縦走するグランドトラバースが好きです。
旭岳からトムラウシ山まで全長70㎞くらいの長いルートで、山をじっくり味わう喜びを感じることができます。
変化に富んだ地形がとても面白い美瑛岳も好きです。
山頂直下に広がる火口は自然の力強さを感じることができますし、高山植物もたくさん見られます。それとニペソツ山もいいですね。
山頂付近にはナキウサギがたくさんいてかわいいですよ。

大雪山の大きな自然の中で暮らすのが、本当に好きです

一守

家を決める時に自然に包まれた暮らしがしたいというこだわりがありました。
今の私の家は愛別岳が見える場所にあるんです。
山の形がなんともかっこいい!
日々の生活の中で大雪山を身近に感じられるところが気に入っています。
もちろん山歩きも好きですよ(笑)。
昔は愛山渓が好きでよく歩きました。
地図に載っていない道を探して探検してみるのが面白かったですね。
それと斜里岳。
次々と現れる滝を見ながら山を登って行く感覚が楽しい沢登りは本当におすすめです。
あとは雪解けに花を見に行くのも大雪山の登山の醍醐味で素晴らしいですよ。

たくさんの花が咲く大雪山の登山道

川鍋

自然に囲まれて暮らしていると季節の変わり目に敏感になりますよね。
そのほかにおすすめの場所はありますか。

一守

登山ガイドならではの目線でマニアックなところを言うべきなのかもしれませんが、実は裾合平が好きです。
そう、チングルマの時期。
雪解けの5月のゴールデンウイークの喧騒が終わり、雪解けの時期は、芽吹きの季節を迎えます。
スイセンやユキワリコザクラが咲き始め、山の景観に色が入り、大雪山の夏の準備が始まります。

鳥羽

あぁ、それすごくいい時期です。

一守

そこからはもう、目も離せないくらい季節が目まぐるしく変わっていくんです。
その様子をずっと見ていたくて、北海道を出たくなくなります。
どんどん変化していったその集大成が高山植物の宝庫としてにぎわう大雪山の夏です。
裾合平に広大な群落を作るチングルマをはじめ、色鮮やかな花々で山あふれます。
今年も夏が来た、って。
長年ガイドをやっていますが、今だにわくわくしてしまいますね。

鳥羽

夏が終わるとまた季節は巡り、綿毛の付いたチングルマの紅葉や真っ赤に色づくナナカマドが見られます。
日本一早いといわれる秋山も素晴らしいですよ。
美しいものははかなくて、あっという間に冬になります。
もちろん冬もいいです。
どの季節に来ても美しい自然を感じられるのが大雪山の懐の深い良いところ。
8月の後半の大雪山は花が咲いているのに紅葉しているという場所があります。
それだけ季節の移り変わりが早いんです。
夏でも秋でもなく、花も紅葉もない旅行のオフシーズンでも良いので、ぜひ一度来て、実際に感じてみて欲しいですね。

一守

これからも北海道に来てくれる方々と大雪山の四季を一緒に歩いて行きたいです。
自分が好きなものだから共感してもらえるとやはりすごくうれしいものなんですよ。

【クラブツーリズム】北海道・大雪山 花と紅葉の絶景フォトアルバム

youtu.be

川鍋

大雪山の山々は本当に語りつくせないほどの魅力がありますよね。
本日は貴重なお話しをお聞かせいただきありがとうございました。

登山の旅のガイドとして活躍するお二人

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