音楽の都ウィーンを象徴する場所の1つは、ベートーヴェン像のある広場でしょう。1880年に建立された像は、1899年に180度向きを変えて現在のようにベートーヴェン広場の中央に配置され、訪れる人の絶えない人気の写真スポットになっています。

ハイリゲンシュタットにあるベートーヴェン像

ハイリゲンシュタットにもベートーヴェン像

ハイリゲンシュタットには、以前温泉保養施設があり、難聴が進行していたベートーヴェンは耳の治療のために滞在していました。その施設のあった場所は、現在、ハイリゲンシュタット公園になっていて、周辺を散策している姿のベートーヴェン像が立っています。

ベートーヴェン小径にあるベートーヴェンの胸像

ベートーヴェン小径

難聴に苦しむベートーヴェンが、鳥の鳴き声などに耳を傾けながらよく散歩したといわれている散策道が「ベートーヴェン小径」で、1863年に建立されたベートーヴェンの胸像があります。

ベートーヴェンが実際に耳にしていたであろう鳥の鳴き声などを取り入れた名作「田園」(交響曲第6番)が生まれたのもハイリゲンシュタットでした。1808年に住んで「田園」を作曲した家は現在も残っています。

べートーヴァンが「田園」を作曲した家

「遺書の家」はベートーヴェン博物館に

作曲家にとって耳の悪化は、耐えがたい苦しみになります。1802年10月6日、絶望のあまりに甥カールと弟ヨハンに宛てて書いた手紙が、いわゆる「ハイリゲンシュタットの遺書」です。しかし死を決意して書いたのではなく、苦悩を克服し、作曲家として再起を決意するきっかけになった手紙です。交響曲第2番が作曲されたこの住居は、長年記念館として公開されていましたが、昨年大規模改修されて博物館になっています。

ベートーヴェン博物館内ベートーヴェン住居入口

「ホイリゲ」で賑わう街

ハイリゲンシュタットは、「ホイリゲ」というワイン居酒屋が軒を連ねる地帯です。意外に知られていないですが、ウィーンは世界中の大都市の中で唯一、市内、及びその周辺で大量のワインを生産しているのです。オーストリア・ワインの知名度が低いのは、ワイン生産高が世界のわずか1%ほどで、しかも9割が自国で消費されているからです。ベートーヴェンが1817年に住んだ家は、「マイヤー」というホイリゲになっています。

「ホイリゲ」マイヤー

「エロイカ・ハウス」

ハイリゲンシュタットへ行く途中、ベートーヴェンが1803年の夏に交響曲第3番「エロイカ」を作曲した家も残っています。

「エロイカ・ハウス」の銘板

クラブツーリズムでは、通年ウィーンを訪れるツアーをご用意していますが、「山本講師同行ツアー」では、観光中に音楽家ゆかりの場所を訪れますが、講師が自由時間を利用してご希望の方々を、リング内、周辺の音楽家ゆかりのスポットへご案内しています。

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【クラブツーリズム 音楽の旅】
旅の文化カレッジ講師 山本 直幸
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

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