旅の文化研究所研究員、一般社団法人日本旅行作家協会会員の黒田尚嗣(くろだなおつぐ)が「歴旅の演出家、旅する世界遺産の語り部」として「鞆の浦の旅」について熱く語ります。

黒田尚嗣(くろだなおつぐ)
慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム㈱テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、テーマ旅行の企画をしながら「歴旅の演出家、旅する世界遺産の語り部」として旅について熱く語る。近畿日本ツーリスト時代より海外旅行の企画に携わり、世界各地の文化遺産や自然遺産を多数訪れている。旅の文化研究所研究員、一般社団法人日本旅行作家協会会員

祝、「鞆の浦」日本遺産認定

昨年、福山市の「鞆の浦」が日本遺産に認定されたことから、その「日本遺産鞆の浦ガイド養成講座」の講演で、1年ぶりに「ばらのまち福山」にやって来ました。

鞆の浦は学生時代からしばしば訪ねており、私にとっては馴染み深い場所で、これまでにも一般観光はもとより、坂本竜馬朝鮮通信使万葉集といったテーマ旅行でも訪ねた港です。

鞆の浦(イメージ)

私は学生時代、ヨット(470級)に乗っていたので、瀬戸内海の「風待ち」や「潮待ち」という言葉はからだに染み込んでいます。

海とヨット(イメージ)

風を受けてのランニング(真後ろからの風)アビーム(横からの風)のセイリングは気持ちがいいのですが、風のない時のパドリング帆走は体力勝負で、風待ちする意味が良くわかるのです。

海とヨット(イメージ)

実際、私は瀬戸内海のセイリングも体験していますので、万葉時代の室津牛窓が風待ちの港であったことや瀬戸内海の潮流が半端なく強いことは十分理解しています。

特に鞆の浦は満潮時に豊後水道(下関方面)と紀伊水道(鳴門方面)の海流がぶつかり、干潮時には鞆の浦沖で東西に分かれて流れ出る場所で、風だけでなく、潮の流れに乗って航行する帆船では、鞆の浦で潮の流れが変わるのを待つ、すなわち「潮待ち」する必要があったのです。

そこで、鞆の浦のシンボルである「常夜灯」は当時から訪れる船や港の人々を見守ってきたのでしょう。

鞆の浦・常夜灯(イメージ)

神秘と安らぎの「仙酔島」

今回は鞆の浦だけでなく、船で仙酔島に渡り、私の趣味でもある地質調査を兼ねて「五色岩」と「閃きの門」を訪ねました。

仙酔島は鞆の浦に浮かぶ瀬戸内海国立公園の中心となる神秘と安らぎの島で、太古の自然が今なお残っています。
時間があれば洞窟蒸し風呂にも入りたかったのですが、今回は地層を中心に見学しました。

仙酔島は全体が赤・白・黄・青・黒の5色の岩からできており、「5色岩」はその五色が見られるパワースポットです。

鞆の浦 仙酔島 五色岩(イメージ)

また、五色岩から少し離れたところにある「閃きの門」は、宇宙の神秘に心を向けた時、目の前に大きな門が現れ、この大門が開くと「自分が生まれてきた役割に気づく」と言われています。

私は講演の前に気力を充実させるために、この「閃きの門」を前にしてしばらく瞑想しましたが、残念ながら門は現れませんでした。

しかし、私は目には見えない世界から「気持ちを込めて話をせよ」といったメッセージを受けた気がしました。

私は子供の頃から両親より
「目に見えることだけがすべてではありません。不思議なことにも真剣に取り組みなさい」
と教えられてきましたので、この島はまさしく不思議の島に思えました。

イメージ

そして仙酔島から鞆の浦港に戻り、朝鮮通信使も滞在した福禅寺対潮楼入り口に建つ大伴旅人の万葉歌

我妹子が見し 鞆の浦のむろの木は 常世にあれど 見し人ぞなき

を詠むと、私は仙酔島ではなく太宰府から戻ったような不思議な感覚を覚えました。

今回、日本遺産に登録された鞆の浦は私にとって瀬戸内海の「まほろば巡礼」の地なのかもしれません。

次回は鞆の浦に宿泊して「瀬戸の夕凪が包むセピア色の港町」のストーリーを肌で感じたいと思いました。

夕暮れの鞆の浦(イメージ)

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