巨匠リッカルド・ムーティが、今年ベルリン・フィルとウィーン・フィルの演奏会で、ヴェルディの壮大なミサ曲「レクイエム」を指揮することが話題になっています。

「レクイエム」が初演されたサン・マルコ教会

ヴェルディの「レクイエム」

イタリア・オペラの代名詞的な作曲家、ヴェルディが作曲したミサ曲「レクイエム」は、モーツァルト、フォーレの作品と並んで「3大レクイエム」の一つにあげられる傑作です。ヴェルディは敬愛するイタリアの文豪A.マンゾーニを追悼する目的でこの作品を書き上げました。そしてマンゾーニの一周忌にあたる1874年5月22日、ミラノのサン・マルコ教会でスカラ座管弦楽団と合唱団を自らが指揮して初演しました。ソリストには、スカラ座で「アイーダ」が初演された時に主役を歌ったストルツ、ヴァルトマン、カッポーニなど、当時のスター歌手が名を連ねました。

モーツァルト銘板 1770年、サン・マルコ教会に隣接する修道院でモーツァルトがオルガン演奏したことが記されている。

サン・マルコ教会

ミラノのサン・マルコ教会は、その歴史が1250年頃まで遡る古い教会で、1600年頃にバロック様式に増改築された際に、全長90m以上の巨大な建造物になり、ミラノではドゥオモに次ぐ規模になりました。音響が素晴らしく、ヴェルディは「レクイエム」の初演に敢えてこの教会を選んだと言われています。ちなみに3日後に催された2度目の演奏会の会場は、ヴェルディのオペラ作品の多くが初演されたスカラ座でした。

リッカルド・ムーティ

ムーティの輝かしい経歴

ムーティは77歳、フィルハーモニア管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団、フィレンツェ五月音楽祭、ミラノ・スカラ座、ローマ歌劇場の首席指揮者または(名誉)音楽監督を歴任し、現在はシカゴ交響楽団、ウィーン・フィルの楽団員で構成されているウィーン宮廷楽団の(名誉)音楽監督を務める傍ら、ベルリン・フィルやウィーン・フィルなど、世界のトップ・オーケストラを指揮しています。2018年には世界中から注目を浴びるウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの指揮台に立ちましたが、現役指揮者としては最多の5回目の登場でした。

ザルツブルク祝祭大劇場

今夏ザルツブルク音楽祭の注目公演

ウィーン・フィルとムーティの良好な関係は、ムーティが500回以上指揮しているという事実がその証になるでしょう。2011年には名誉団員の称号も授与されています。長年ウィーン・フィルがホスト役を担っている夏のザルツブルク音楽祭とも、1971年に「ドン・パスクワーレ」で音楽祭デビューを飾って以来、親密な関係を築いています。毎夏、音楽祭が最も盛り上がる8月中旬に、ウィーン・フィル演奏会を指揮していますが、今夏はヴェルディの「レクイエム」を取り上げます。

ムーティとウィーン・フィル

ザルツブルク音楽祭とルツェルン音楽祭

クラブツーリズムでは、この注目の演奏会を鑑賞した後は、ルツェルン音楽祭へご案内するツアーをご用意しています。スカラ座音楽監督を兼務している音楽祭音楽監督シャイーが、祝祭管弦楽団演奏会でルツェルンゆかりの作曲家ラフマニノフの傑作、難曲中の難曲といわれるビアノ協奏曲第3番を指揮します。スイスで最も美しいと称される湖畔の街ルツェルンで、今夏の休暇を音楽と共に過ごしてみてはいかがでしょうか。

ベルリン・フィルとも「レクイエム」で共演

春の訪れを告げるベルリン・フィルの音楽祭、バーデンバーデン・イースター音楽祭に久しぶりに招かれることになったムーティは、ベルリン・フィルともヴェルディの「レクイエム」で共演します。音楽界の両雄ベルリン・フィルとウィーン・フィルが、同じ年に、同じ作品を、同じ指揮者で演奏する機会は、2度とないのではないでしょうか。特にムーティがお好きな方なら、2度現地に出向く価値があるかもしれません。巨匠ムーティが2つのオーケストラの特性を巧みに操って、どのような「レクイエム」を聴かせてくれるのか、どのようなヴェルディの世界を魅せてくれるのか、興味が尽きないからです。

出発決定! 申し込み締め切り迫る!

2019年バーデンバーデン・イースター音楽祭では、ムーティ指揮のヴェルディ「レクイエム」の他、ペトレンコ指揮/ランラン出演のベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第5番、メータ指揮のヴェルディの歌劇「オテロ」という魅力的な3公演が3夜連続で鑑賞できます。締め切りが迫っていますので、お申し込みは今すぐに!

【クラブツーリズム 音楽の旅】
旅の文化カレッジ講師 山本 直幸
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

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