日本でも大人気の三国志!クラブツーリズム独自の視点から三国志のその魅力を探ります!初めて三国志を学ぶ方も、三国志を様々な角度から深めたい方も楽しめる情報満載でご案内する本シリーズ。第1回目は、導入編として「1分でわかる三国志」「熟語と諺(ことわざ)」から読み解く三国志についてご紹介してまいります(2021年12月28日更新)

はじめに

皆様、こんにちは! クラブツーリズム中国五千年倶楽部を担当している王と申します。どうぞ宜しくお願いいたします。
さて、三国志といえば、皆様は何を思い浮かぶでしょうか。中国生まれ育ちの私にとっては、子供の頃毎年大晦日の夜、父親が身振り手振り、さながらその人物になりきったかのように語ってくれた名シーンの数々や、高校時代に読んだ羅貫中著作の『三国演義』、社会人になってから90年代に観た連続テレビドラマ、そして日本に来てから、読んだ小説と漫画の『三国志』・・・

今から約1,800年前、二世紀末から始まった群雄割拠の乱世から、220~280年の約60年間の三国鼎立(さんごくていりつ)期、そして中国が再統一まで、合計で100年弱しか存在していなかった時代を題材とした後世の作品は、中国より、日本の方は漫画の他、小説や映画、人形劇、ゲーム...こんなにバリエーション豊富な三国志が存在し、こんなに人気が高いことに正直驚きました。そして、近々新作の映画も公開されることって、ご存知でしょうか。
さて、これからはブログなどを利用し、歴史専門家ではなく、違う角度から『三国志』の「色々」をシリーズでご紹介してまいります。
私と同じ三国志好きの方は、ぜひ最後まで見ててくださいね。

1分で分かる三国志

まず、第一話を始める前に、「そもそも三国志って何?」と思われる方のために、時代背景を「超簡単に」まとめてみましたので、先にご一読いただければと思います。

後漢の末、皇帝の権力が衰弱し、外敵の侵入や天災が頻発、184年に大規模の内乱が起きた。その鎮圧と覇権の奪い合いに巡り、群雄が輩出し、曹操、劉備、孫権の勢力が台頭。220年に曹操の次男が黄河の西とその下流地域をほぼ領土にした魏を、翌年に劉備が南西部の長江上流地域を占める蜀を、そして229年に孫権が長江の中下流地域を版図に納めた呉とそれぞれ建国し、中国が三国鼎立(さんごくていりつ)の時代に入った。263年に蜀が魏に滅ぼされ、2年後に魏の重鎮である司馬仲達(しばちゅうたつ)の孫が魏を晋に建て替えた。280年に晋がついに最後の呉を征服し、三国時代にピリオドを打った。
この史実を基に、乱世の英雄たちの知恵謀略、義理人情、度胸と根性が激しくぶつかり合う逸話にフィクションも加わり、描き書かれたのが小説の三国志である。

※一言メモ※ 
『三国志』の歴史背景は、日本史の「弥生時代」の後半~「古墳時代」の初期に当たります。

第一回 熟語と諺(ことわざ)で読む三国志

さて、第一回目は今も良く使われている熟語と諺(ことわざ)から三国志を読んでみましょう。

■熟語ー❶「大器晩成」(たいきばんせい)

2021年に行われたアメリカ大統領選挙で、バイデン氏が78歳で大統領に就任しましたね。2017年5月に39歳で当選した現フランス大統領と比べれば、ある意味ではバイデン氏が「大器晩成」とも言えますね。
三国時代、袁紹(後漢軍閥のひとり)の旧門下だった崔エン(文官)という方は、周りに「ならず者」とされている崔林について、「大器になる者は、成長が人より長い時間を要する」と語り、彼の言葉通り、崔林は後に文官として曹操に重用され、力を大いに発揮しました。
現在、有能な人は人より成長が遅いという意味以外、なかなか才能を発揮できるチャンスに恵まれない人に対して、「大器晩成だからもう少し辛抱しよう」と慰める言葉としてもよく使われています。

■熟語ー❷「破竹の勢」(はちくのいきおい)

他に、日本でも使われている「破竹の勢い」という言葉も『三国演義』に登場しています。
竹を上からずぱっと切れば、縦筋に沿って下まで一気に株が割れることから、「もはや止めるモノはもう無いほど勢いが凄まじいこと」を表現する熟語です。

(イメージ)

『三国演義」では、諸葛孔明初めての北伐の「街亭の戦い」にこの言葉が登場しています。
「街亭」(がいてい 今の甘粛省・天水市)は魏を防ぐ蜀の重要な砦で、諸葛孔明が有能な馬謖(ばしゅく 武将)に守らせました。しかし、馬謖は王平(武将)の忠言に耳も貸さず、頑固して高い丘に陣を設けまたした。それは、高い丘なら視野が広く、上からならば「破竹の勢」で攻めることができ、やってくる魏の軍を敗れると信じていたから。
ところが、地理上から見れば丘が孤立した場所であり、その麓が万が一敵に囲まれれば救援部隊も駆けつけにくく極めて危険な場所です。結果、魏に麓を包囲された馬謖は、水源と食料供給の道が切断され大敗を喫し、「街亭」を失ってしまいました。

後に、諸葛孔明が任命責任の失敗として自ら階級を三段下げ、そして嘆き泣きながら軍令に従い、自信過剰の馬謖を斬首(ざんしゅ)しました。「街亭の陥落」は諸葛孔明の初回北伐の失敗の原因にもなりました。この物語は、北京オペラなどの題材としてもよく登場する『孔明揮涙斬馬謖』(孔明が涙を流しながら馬謖を切る)です。

続きまして、諺(ことわざ)を3つほどご紹介します。

■諺ことわざーー❶「三人の皮職人いれば諸葛亮に勝る」(三個臭皮匠抵得上一個諸葛亮)

諸葛孔明像(四川省・綿陽付近)(弊社スタッフ撮影)

「みんなが知恵を出し合わせれば必ず難題が解決できる」という時に使う諺として、日本では「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、中国では、「三人の皮職人いれば諸葛亮に勝る」と言います。
つまり、知恵と言えば、日本ではトップが文殊菩薩ですが、 中国ではその頂点が諸葛孔明になるわけですね。

■諺ことわざーー❷「身体が曹操の陣屋にあるが、心は劉備の漢にある」 (身在曹営心在漢)

もう一つ、「心ここにあらず」という言葉は日本にありますね。同じ意味で、中国では「身体が曹操の陣屋にあるが、心は劉備の漢にある」という諺があります。

曹操が劉備の元に戻る関羽を見送った場所(河南省・許昌市)

紀元200年、官渡(かんと)の戦いの前、劉備と離れ離れになった関羽は、劉備の妻子を守るため仕方なく曹操に身を寄せる時期がありました。曹操にとっては、「才略兼備」の関羽が喉から手が出るほど欲しい人材で、頻繁に宴会を設けたり、仕える人や財宝など惜しむことなく関羽に贈りました。「義理」を重んじる関羽がそれに対し少しも心が動じず、ひと時も劉備と張飛との「桃園の誓い」(とうえんのちかい)を忘れることはありませんでした。最後、劉備の所在を分かった関羽が、曹操の贈り物から「足」として不可欠の「赤兎馬」(せきとば)だけをとり、劉備の妻子を連れて曹操の元を去りました。

この関羽の美談から生まれた諺は、現在、「やるべきことを顧みず、よそ見ばかりしている人」を指摘する時にもよく使われています。

そう言えば、中学生の時、苦手の数学の授業中にぼうっと窓の外を見ていましたら、突然後ろから先生が現れ、「君! 本当に身在曹営心在漢だね!」と怒鳴られ、罰として授業が終わるまで教壇の所に立たされた羽目になったのを思い出しました…
みなさんも、似たような経験はありませんか?

■諺ことわざーー❸「劉備が荊州を借り、借りても返しは無し」(劉備借荊州、有去無返)

最後に、もう一つ三国志由来の諺をご紹介します。「お金を借りても返済のつもりは当初から無い人」のこと、または「お金を貸してあげても、返済が期待できない」場合は、よく「劉備が荊州を借りるのと同じ、借りても返すつもりは無し」という諺が使われます。

赤壁(せきへき)の戦い後の210年、劉備が「一時身を寄せる場所」として呉から荊州(けいしゅう)を借りましたが、今の四川と重慶(じゅうけい)の一部を手に入れた後でも呉には返さなかった歴史から生まれた諺です。
荊州(けいしゅう)が長江の辺に位置する交通要衝で、ここを自分の領土に納めることができれば、北は魏の襄陽(じょうよう)を狙い、東は呉の侵入も防げるので、劉備が諸葛孔明の策略に従い、呉に「暫定的な身を置く場所として借りる」という口実で手に入れ、長年関羽に堅守させました。

関羽が堅守した荊州城(湖北省・荊州市)

219年、関羽が荊州城を出て魏の襄陽を攻めに行っている間を狙い、呉の呂蒙(りょもう 武将)が荊州を急襲しやっと取り戻すことができました。

上記以外に、三国志関連の熟語なら、「苦肉の策」(くにくのさく)や「三顧の礼」(さんこのれい)、諺なら「曹操のことを言ったら、曹操が来た」(噂をすれば影)などたくさんあります。

たった100年ほどしか存在していなかった「三国時代」ですが、
このように現代の私たちの日常生活にまだ広く強く根付いていますね。

長く書きましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は『美味しい三国志』です。どんな話が登場するのでしょうか?是非お楽しみください!

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第1回「導入編/熟語と諺から読む三国志」
第2回「美味しい三国志」
第3回「お酒が造った三国志 一杯目」
第4回「お酒が造った三国志 二杯目」
第5回「名馬が踏み開いた三国への道①」
第6回「名馬が踏み開いた三国への道②」
第7回「三国志を美しくした女性たち①」
第8回「三国志を美しくした女性たち②」
第9回「名言が語る三国志 曹操編①」
第10回「名言が語る三国志 曹操編②」

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