東京駅に入線したムーンライトながら号。この列車のみ満席の際は「満席」と表示される。/ 弊社スタッフ鈴木 悠斗撮影
2021年1月22日、JR東日本・JR東海から廃止が発表された快速ムーンライトながら号に関する記事です。
東京~大垣(岐阜県)で運行され、かつては大垣夜行と呼ばれる普通列車として親しまれ、時が経ち1996年に快速ムーンライトながらの名称が与えられ、JR東海の373系で長らく運行されてきました。
2009年に臨時列車に格下げとなりましたが、JR東日本の183系・185系で運行され、青春18きっぷでも利用できることから繁忙期には東日本と西日本の移動手段として鉄道ファンをはじめ、格安旅行の定番交通手段として大変重宝されました。
クラブツーリズム鉄道部でも2019年3月に名古屋→東京・9月に東京→大垣でお座敷列車「華」を利用した大垣夜行の再現列車を運行しました。(文責:鈴木 悠斗)

快速ムーンライトながら号とは

1996年に前身となる「大垣夜行(東京~大垣・美濃赤坂)」に代わり、全車指定席(一部区間で指定席)・毎日運行の夜行快速列車として運行が開始されました。
車両はJR東海の373系が使用され、年末年始や夏休み等の繁忙期には臨時大垣夜行(普通列車)・臨時快速ムーンライトながら91号・92号が増発されるなど、東日本と西日本の移動手段として利用されてきました。
夏や冬の繁忙期に利用ができる青春18きっぷは特急や急行の利用はできなかったため、指定席券のみで乗車ができるムーンライトながらは18キッパー(青春18きっぷ利用者)に愛用され、最繁忙期にはチケットの入手も困難を極めました。
その後、夜行バスなどの台頭で2009年に繁忙期のみ運転の臨時列車に格下げ、車両もJR東日本の183系(189系)に変更となりましたが、貴重な夜行列車として変わらず重宝されました。
2013年からはJR東日本の185系に車両が変更となりましたが、相変わらずの人気ぶりでチケットは発売と同時に売り切れということも多々ありました。
昨今は新型コロナウイルスの影響で運行がされてきませんでしたが2021年1月22日、ついに廃止が発表されました。

JR東海の373系。東京駅到着後は折り返し普通列車静岡行として運行していた。/ 弊社スタッフ鈴木 悠斗撮影

なぜムーンライトながらは重宝されたか?

前述のように、18キッパーを中心にムーンライトながら号は多くの利用者に重宝されてきました。
その理由としては夜の時間帯に効率よく移動ができるためと考えられます。
廃止時のムーンライトながら号の時刻は

下り 東京23:10発 大垣5:45着
上り 大垣22:52発 東京5:05着でした。

下りを利用すれば普通列車の乗り継ぎでも京都・大阪には朝のうちに、その日のうちに九州にも到達できます。
また、東京近郊のテーマパークに閉園時まで滞在しても、プロ野球の試合を最後まで見ても、音楽ライブを最後まで見ても発車に間に合うことから、車内ではお土産や野球・音楽グループのグッズを身に着けた人も見受けられました。
上り列車については西日本→東北方面への移動を効率よくしただけではなく、夏と年末に行われるコミックマーケットで早朝から入場の列に並ぶ人たちにも重宝されました。

183系時代のムーンライトながら号。クリームに赤の国鉄色がよく似合う。/ 弊社スタッフ鈴木 悠斗撮影

印象深かった「大垣ダッシュ」

大垣ダッシュとは、下りムーンライトながら号が大垣駅に到着した際に乗り継ぎとなる普通列車の座席を我先にと確保するために行われる駅構内での競争を指します。
廃止時の快速ムーンライトながら号は10両編成、乗り継ぎとなる列車はそれよりも短い編成であるため座席にありつけないこともありました。
乗り継ぎを有利に進めるために事前にドアと階段の位置関係を調べ、大垣駅が近づくとぞろぞろと乗客が階段に近いドア付近に集まってきます。ドアが開いた瞬間よーいドン!まるで競馬のスタートのように乗客が一斉に駅構内を駆け抜けます。
ながらを利用したことのある方であれば大垣ダッシュに参戦した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それもこれからは過去のものとなってしまいます。

深夜の浜松駅に停車中の185系ムーンライトながら号。大垣到着後は椅子取りゲームが始まる。/ 弊社スタッフ鈴木 悠斗撮影

クラブツーリズム鉄道部でも貸切運行した「大垣夜行」

クラブツーリズム鉄道部でも2019年3月に名古屋→東京、2019年9月に東京→大垣でお座敷列車「華」を使用して大垣夜行の再現運行を行いました。
貨物列車が多く走る東海道線のダイヤの合間を縫っての運行だったため、かつて運行された時刻と全く同じ時刻での運行とはなりませんでしたが、車内放送は私鈴木 悠斗がかつての大垣夜行の放送を完全再現、企画担当の大塚雅士社員考案でかつて使用された列車の行き先表示板(サボ=サイドボード)を再現してお客様に贈呈するなどし、お客様から高評価をいただきました。その当時のプログもありますのでぜひご覧ください。

485系をまた貸し切れることを願って終わりたいと思います。
この度は最後までご覧くださいましてありがとうございました。
今後もクラブツーリズム鉄道部では鉄道関連のブログを掲載予定です。

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