第6回目の船旅チャンネルでは、東フランスから地中海に向かって流れるソーヌ川・ローヌ川クルーズをご紹介します。ソーヌ川沿岸では、長閑な田園風景やブルゴーニュ地方の豊かなブドウ畑を巡り、ローヌ川沿岸では、世界遺産に登録された歴史ある街並みを訪れる東・南フランスの魅力がたっぷり詰まった航路です。

ソーヌ川・ローヌ川クルーズとは?

ソーヌとローヌ?
2つの川は繋がっているの?
どこを流れているの?

ソーヌ川とは?
フランス東部を南へ流れる川で、ローヌ川の支流であり、リヨンで交わります。ソーヌ川の沿岸にはブルゴーニュ、ボージョレーといった世界的に有名なワインの産地があります。
ローヌ川とは?
スイスのローヌ氷河からレマン湖に流出してフランス領に入り,ジュラ山脈に横谷を形成しながら迂回してリヨンへ、さらに南東部を南流して地中海に注ぐ川。南仏プロヴァンスやコート・デュ・ローヌなどワインの産地が沿岸に広がります。

ヨーロッパ広域図でみると・・・▼赤枠部分です

地図提供 ⒸICM International Cruise Marketing Ltd

ソーヌ川・ローヌ川クルーズとは?
時期
例年5月頃〜10月頃まで運航しています。可憐な花々が美しい初夏の時期もおすすめです。特に人気のラベンダー畑を訪れたい方は、6・7月出発をご検討ください。
航路
船会社により、様々な航路が設定されておりますので、じっくりご検討ください。
代表的な航路は、乗船地と下船地が同じリヨン発着やアビニョン発着の航路や乗船地と下船地が異なる航路(例: ソーヌ川のシャロン=シュル=ソーヌから、アビニョンあるいはアルルまで南下、またはその逆航でアビニョンから北上する航路)等があります。いずれも船内7泊程度のコースが設定されています。

ワインも歴史も自然美も!たっぷりと満喫できて、ゆったりと巡るツアーがいいわね
とっておきのツアーを教えて

▼今回ご紹介するクルーズの航路マップ▼

地図提供©️Lueftner cruises

今回はリヨン発着で、マコン、シャロン=シュル=ソーヌ、アヴィニョン、アルル、シャトーヌフ=ド=ローヌに寄港する7泊8日のクルーズをご紹介します。

それでは早速、ソーヌ川・ローヌ川クルーズへ出発しましょう!

見どころ/乗船地 2つの河川が交わる美食の古都リヨン

ソーヌ川とローヌ川の合流地点にあるリヨンは、紀元前から都市として発展してきた歴史を持つフランス第2の都市です。15世紀後半、国王フランソワ1世により、絹がイタリアから導入され、リヨンは「絹の町」としてヨーロッパ有数の商業都市に発展しました。赤い屋根が印象的な美しい街並み、そしてルネッサンス期の建築物等から、1998年世界遺産に登録されています。

世界遺産リヨンの街並み©️Amawaterways cruises

旧市街と新市街を同時に見渡すことのできるフルヴィエールの丘やノートルダム大聖堂、オペラ座、市庁舎等巡り、旧市街では「トラブール」と呼ばれる「抜け道」歩きながら、リヨン観光を満喫しました。

ノートルダム大聖堂(スタッフ撮影)

街中で見つけただまし絵(スタッフ撮影)

街中で見つけただまし絵(スタッフ撮影)

見どころ/寄港地①「ワインの王様」への玄関口・マコン

マコンは古くからワイン製造やソーヌ川を利用した河川運輸によって栄えた町です。
マコンでは、船会社主催「ワイン畑の散策とワイン博物館の見学」へご案内します。
ブルゴーニュ地方の南方に位置するマコネ地区で、生産されるワインの多くはシャルドネから造られる白ワインが有名です。今回のツアーでは、「プイィ ・フュイッセ」の畑を見学しました。続いて、日本でも定着した「ボージョレ・ヌーヴォー」で財をなしたジョルジュ・デュブッフ氏によって建造されたワイン博物館を見学します。
館内ではワイン製造の工程やワインの歴史、そしてこの地ならではボジョレー地区のワインについて話を聞き、ボジョレーワインの試飲体験もお楽しみいただけます。

ブドウ畑(イメージ)

見どころ/寄港地②ブルゴーニュの歴史に触れるシャロン=シュル=ソーヌ

シャロン=シュル=ソーヌで下船し、「ブルゴーニュワインの首都」の愛称を持つボーヌの街を訪れます。ボーヌでは、オテル・デューを見学します。ボーヌにあるオテル・デューは、1443年ブルゴーニュ公の大法官であったニコラ・ロランよって設立された施療院(今でいう市民病院)です。現在は人形や薬品の模型等が展示され、当時の看護の姿が再現された医学博物館として開かれています。
さらに興味深いのは、施療院でありながら、フランドル絵画最高傑作の1つとして名高い祭壇屏風画「最後の審判」が収蔵されていることです。
内部の展示品や調度品もどれも秀逸なものばかりですが、外観のモザイク屋根もインパクトがあります。このモザイク屋根は、ブルゴーニュ地方の伝統建築の特徴です。一説によると、この屋根は豊かさの象徴であり、所有者の財力を誇示しているのです。

美しいモザイク屋根が印象的なオテル・デュー(イメージ)

オテル・デューの人形模型(イメージ)

オテル・デューの展示品(イメージ)

オテル・デュー見学後は、マルシェを散策し、ワインセラーへ。お待ちかねのブルゴーニュワインのテイスティングとお買い物休憩です。
ブルゴーニュ地方ではカシスの栽培も有名で、ブドウ畑の横に植えられています。今回はワインに加え、クレームドカシスも振る舞われ、ブルゴーニュの味を堪能しました。

突然ですが、キールという飲み物をご存知でしょうか?
キールとは、白ワインにカシスリキュールが合わさったカクテルです。
今から70年以上も前に、ブルゴーニュ地方の市長のアイディアから誕生し、この辺りでは食前酒として親しまれています。

見どころ/寄港地③14世紀には教皇たちが暮らした街・アヴィニョン

アヴィニョンでは、午前中「フランスの最も美しい村」の1つである、ルールマランの村へバスで向かいます。
村内を散策していると、どこを撮っても絵になるフォトジェニックな景観が続きます。まるで時が止まったようなノスタルジックな雰囲気に癒されました。

ルールマランの街並み(スタッフ撮影)

ルールマランのお店(スタッフ撮影)

午後はアヴィニョンの旧市街観光です。船からアヴィニョンの中心地まで、徒歩で約15分程です。リバークルーズの嬉しいポイントは、船と街が近いこと!疲れたら、ひと足先に船に戻ってゆっくりすることもできます。あるいは元気な方は、船の出港時間まで、観光、お土産探しや写真撮影など思いおもいにお楽しみください。自分の体力やペースに合わせて過ごし方を選べるのも、リバークルーズの特徴です。

教皇庁宮殿 © CroisiEurope

アヴィニョンは14世紀初頭、約70年に渡り、カトリック世界の中枢【ローマ教皇庁】が置かれていた歴史を持つ街で、司教関連建造物群は世界遺産に登録されています。歴代の教皇らが暮らした教皇庁宮殿や12世紀に建造されたサン・ベネゼ橋(通称アヴィニョン橋)を写真に収め、ノートルダム・デ・ドン大聖堂等を見学しました。

世界遺産アヴィニョン橋(イメージ)

フランス民謡『アヴィニョンの橋の上で』から、アヴィニョンをご存知の方も多いのでは?
この曲を聞くと、曲名通り、スキップしたくなるような軽やかな気持ちになります♫

見どころ/寄港地④ここはローマ?!遺跡の街アルルとゴッホ

南仏プロヴァンスを代表する大都市アルルは、ローマ時代の建造物や遺跡が現在も残る歴史深い街として有名です。これまで辿ってきたローヌ川沿岸の街並みと雰囲気が変わり、ここはフランスなの?と思ってしまうほどです。

どうしてアルルには、ローマにあるようなコロッセオや古代劇場があるの?

アルルは紀元前123年頃にローマによって占領され、植民都市となりました。この時代の建築物が、今もなお大切に残されていて、世界遺産に登録されているのです。ツアー中、円形闘技場や古代劇場、サン=トロフィーム教会やオベリスク等見学していると、まるでローマを歩いているような気分になってしまうかもしれませんね!

アルルの街並み

円形闘技場

またアルルはゴッホ所縁の地でもあるのです。第2回の船旅チャンネルで〈セーヌ川クルーズ〉について取り上げ、晩年のゴッホについても少し触れましたが、ゴッホの全盛期とも呼ばれる作品『ひまわり』(アルルで7枚描いたといわれています)、『アルルの跳ね橋』『黄色い家』らは、アルルで暮らしたわずか一年の間に描かれたものが多いのです。
プロヴァンス地方の暖かい気候と美しい風景は、ゴッホの心をも彩り、創作意欲をかき立てたのかもしれませんね。

『夜のカフェテラス』

「この絵画、どこかで見たことあるな」とお思いの方も多いはず!
アルルのプラス・デュ・フォルム広場には、この絵のモデルになったカフェテラスが実在しています。現地に行ったら是非ここで休憩したいです!

『星月夜』

『ローヌ川の星月夜』

両作品ともゴッホが描いた星空です。左の絵画はニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示されている『星月夜』です。この作品はアルルの次に滞在するサン=レミ時代に描かれた作品で、ゴッホの代表作品の一つでもあり、知名度の高い作品です。
右の絵画は、アルル滞在中、ゴッホが実際に暮らしていた黄色い家からほど近いローヌ川のほとりで描かれたものです。こちらはオルセー美術館に収蔵されています。
旅には様々な楽しみがありますが、こうした名画のモデルになった場所を実際に訪ね、画家の見た風景を味わう楽しみもあります。

添乗員同行ツアーだから、リバークルーズの楽しみ方もより深いものに

さて、このブログを読んでくださっている方の中には、団体旅行や添乗員同行ツアーにあまり馴染みのない方もいらっしゃるかと思います。そこで、筆者が尊敬する添乗員Hさんが、実際に今回の寄港地の1つ、ボーヌと船内でお客様にサプライズ演出されたエピソードをご紹介します。
ボーヌは、マルシェ(市場)は新鮮な食材や雑貨、その土地で生活する人々の暮らしに触れる楽しみがあります。けれども、なかなか観光客が買い物するにはハードルが高い印象も。「何これ、美味しそう」「食べてみたい!」「日本で買うより、ずっとお得!」なんて思っても、気軽に買えないこともあります。
しかし、現地に精通した添乗員Hさん、その土地の旬なものをお客様に食べて頂こうと、なんと黒いダイヤモンド「トリュフ」を購入!!船内に持ち帰り、シェフに交渉し、早速その日のランチに、クラブツーリズムのお客様だけ、限定オリジナル「トリュフスパゲティ」を食べることが出来たのです!

マルシェに並ぶチーズ(スタッフ撮影)

マルシェに並ぶオリーブ(スタッフ撮影)

色々な旅行に行きましたが、市場でトリュフを買ってきて、お昼にみんなで食べるなんて自分ではできませんし、こんな楽しみ方は他では味わえません。良い思い出になりましたね~(ご参加されたお客様のアンケートより)

この他にも、現地に精通した添乗員が同行するメリットは様々あります。もちろん、第一にお客様の安心と安全を守ること、行程表に記載された観光地へご案内すること等挙げられますが、こうした現地に訪れないと味わえない<旬な>体験や、サプライズ演出を要所にご提供し、旅の充実度を高めてくれることも、添乗できる同行ツアーならではの価値であると思います。
またこうした添乗員の提案を柔軟に受け入れてくれる船内スタッフ、アットホーム感で顔と顔の見え間柄、少人数制のリバークルーズ客船だからこその対応力であると感じました。

ホスピタリティ満点のスタッフ(スタッフ撮影)

船内最終日の名物デザート(スタッフ撮影)

ソーヌ川・ローヌ川クルーズの紹介動画です!旅気分をどうぞ♪

Cruise with AMADEUS – Treasures of Burgundy and Provence

youtu.be

Lyon & Provence Itinerary from Viking River Cruises

youtu.be

今回ご紹介した寄港地や観光地以外にもソーヌ川・ローヌ川沿岸には素晴らしい見所が点在しています。
例えば、アヴィニョンに寄港したら、ローマ時代の水道橋、世界遺産ポン・デュ・ガール観光も外せません。また歴史的建造物だけでなく、ダイナミックな自然美を満喫されたい方は、ヴィヴィエに寄港した際、アルデッシュ渓谷を訪ねるツアーもございます。さらに野鳥や白馬、フラミンゴといった動物好きの方はアルルに寄港した際、生物圏保護区としてユネスコに登録されているフランス屈指の野生動物の宝庫カマルグ自然公園へ行くツアーもおすすめです。
アルルが乗下船地のツアーであれば、ヨーロッパのグランドキャニオンとも呼ばれるヴェルドン国立公園や【リヴィエラの女王】と称される風光明媚な港街ニースまで足を伸ばしてみるのもオススメです。リバークルーズだけでなく+α、乗下船地の観光にもこだわりたいところですね。

今回のソーヌ川・ローヌ川クルーズのご紹介はいかがでしたか?
次回の船旅チャンネルは4月8日頃、チューリップクルーズを予定しております。

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