夏目漱石(国会図書館より)

今も昔も番人から愛される山。
山が愛される理由はなんでしょう。
非日常を体感できる巨木や銘木、隠された森
美しいまたとない表情を見せてくれる、高山植物や紅葉
儚く一瞬の瞬きをはなつ、満点の星空や流星
山は万人を受け入れてくれる素晴らしいところです。
絵を書くのが好きな人、人との新たな出会いが好きな人、孤独が好きな人、都会での疲れをリフレッシュしたい人、ちょっとした冒険をしたいと思っている人…いろんなニーズの人を受け入れてくれるのが「山」なんです。

今回のフォーカスは「文士が愛した山」

夏目漱石が愛した九州根子岳

『行けど萩 ゆけど芒(すすき)の原広し』
明治32年(1899年)に阿蘇を旅した夏目漱石。
この時の暴風雨の体験がもととなり小説「二百十日」が生まれたと言われます。
作品中に「行けど萩 ゆけど芒(すすき)の原広し」といかにも阿蘇らしい風景を描写。そのご根子岳を訪れた際には壮大な山の空気に感性を刺激されたのか、「草山に 馬放ちけり 秋の空」と一篇の詩も残しています

森敦の愛した月山

1974年に芥川賞を受賞した小説「月山」。
彼独特の死生観、人生観を表現する舞台としてふさわしい場所こそが、
出羽三山の中でも死後の体験をすると畏怖される霊山・月山でした。

宮沢賢治の愛した岩手山

明治42年(1909年)に岩手山を初めて仰ぎ見て、その虜になった13歳の少年こそが宮沢賢治でした。
翌年の初登山以降、幾度も登り、きらきらとした感動体験は作品中にも崲々と輝いています

石川欣一の愛した雨飾山

石川欣一の代表作『可愛い山』で描かれた雨飾山。
作品中、非情の山を可愛いとうのは変ではあるが、心中か夫婦になっていると、
男女の間になぞらえるほどの山への愛を披瀝しています。

 

いつもとはちょっと違ったフォーカスで登る登山
文士が愛した山だからこそ登ってみたい一座であり、日本を代表する文士が描いた山だからこそ登る価値があるのではないしょうか。
あなたはどの文士が愛した山へ足を運びますか。

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大川内貴信 Takanobu Okawachi