今年はドイツの人気音楽3都市で、クリスマスの雰囲気を満喫していただきたいと思います。ドイツのクリスマス市では、世界で最も有名なニュルンベルクや世界最大規模を誇るシュトゥットガルトが日本でもよく知られていますが、1434年に始まった歴史あるクリスマスマーケット「シュトリーツェルマルクト」はクリスマス市めぐりのハイライトとなります♪
「シュトリーツェルマルクト」の歴史
ドレスデンに居を構えたザクセン選帝侯フリードリヒ2世の命で、1434年に肉を扱う1日だけの市として始まり、その後ドレスデン以外の街々からも職人や商人が集まるようになって、次第に大きな規模の市に発展しました。そして1700年以降には開催日も延長され、今では毎年11月末~12月24日の期間中に国内外から約250万人以上が訪れる規模になっています。
巨大なクリスマス・ピラミッドとシュヴィープボーゲ
この市で最も目を惹くのは、エルツ山脈地方の工芸品として知られる世界最大のクリスマス・ピラミッドとシュヴィープボーゲン(ローソクを立てるアーチ型の窓用飾)でしょう。前者は高さ14.62m、後者は高さ5m、幅13.5mという巨大なもので、市のシンボルになっています。
多くの露店では、エルツ山脈地方の様々な工芸品が売られていますが、それらを見て回るだけでも楽しめます。
巨大なクリスマス・ピラミッド(提供/山本直幸)
シュヴィープボーゲン(提供/山本直幸)
工芸品の店(提供/山本直幸)
歴史あるクリスマス市には「伝統のお菓子」
この長い歴史のあるクリスマス市には欠かせないものがあります。それが「シュトレン」と呼ばれるお菓子です。
「シュトレン」の起源はドレスデンではなく、1329年にナウムブルクという街で、司教ハインリヒにクリスマスの贈り物として献上されたのが始まりです。当時断食の期間は、バター、ミルク、卵の使用が認められていなかったので、水とわずかな油だけで練られて作られていました。記録上「シュトレン」が「シュトリーツェル」という呼び名で初めてドレスデンに登場したのは1474年のことです。たっぷり降りかけられた粉砂糖が白い産着に包まれたキリストを連想させるので、クリスマスの食べ物として作られるようになりました。
美味しいお菓子になってドレスデンの名物に
1491年、教皇インノセント8世が、フライブルク大聖堂などの建設費用を出すことを条件に、油の代わりにバターの使用を許可したことは、「シュトレン」が質素な食べ物から美味しいお菓子になる転機になりました。さらにドレスデンの宮廷菓子職人ハインリヒ・ドラスドがドライフルーツを加えて焼き上げたことで、今のような独特の風味と豪華さを兼ね備えた「シュトレン」になったのです。それ以来伝統のお菓子としてクリスマスには欠かせないドレスデンの名物になりました。クリスマス市を訪れたら是非、「シュトレン」を食してみてください。そして寒いときだからこそ、身体が温まるグリューワイン(香辛料と温めたホット・ワイン)を試飲することもお忘れなく!
シュトレンの店(提供/山本直幸)
最古のオーケストラの演奏も鑑賞
ドレスデンでは、ザクセン選帝侯の宮廷楽団として1548年に創立された世界最古のオーケストラ、ドレスデン・シュターツカペレがクリスマスを盛り上げます。17世紀には宮廷歌劇場で本格的なオペラ上演が始まり、宮廷楽団がドレスデンのオペラ史に深い関わりを持つようになります。オペラの伝統は、19世紀になって宮廷楽長を務めた作曲家ウェーバーやワーグナーへと受け継がれました。
1841年には待望のゼンパー歌劇場が完成し、宮廷楽長として迎えられたワーグナーは、初期の代表作「さまよえるオランダ人」や「タンホイザー」を自らの指揮で初演しています。
またR.シュトラウスとの縁が深く、代表作である「サロメ」や「ばらの騎士」など9つのオペラ作品が初演されています。
そんな伝統的な歌劇場を拠点とするドレスデン・シュターツカペレの演奏会で、音楽監督ダニエラ・ガッティが指揮するマーラーの交響曲第6番を鑑賞します。
ライプツィヒとベルリンでも音楽鑑賞
ツアーでは他に、名門ゲヴァントハウス管弦楽団とベルリン・フィルの演奏会へもご案内します。
特にライプツィヒでは、クリスマス時期恒例のバッハの代表作「クリスマスオラトリオ」を、バッハが眠る聖トーマス教会で鑑賞します。
チケットが即日完売になるほどの人気公演ですが、最高の雰囲気もお楽しみいただくために第1カテゴリー席を確保済みです。
聖トーマス教会内バッハ墓所(提供/山本直幸)
同行講師のご紹介
講師:山本 直幸氏
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。
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