ウィーンのど真ん中、世界遺産にも登録されているリング内の歴史地区とその周辺には、音楽家ゆかりの場所が数多く点在しています。時を超え世代を超えて愛されている音楽家に思いを馳せながら、のんびり散策を楽しむことも、ウィーンならではの音楽体験になります。「アンコール」のウィーンでの常宿、好立地のホテル「グランド」を出発点に、地図を片手に容易に探せる主な場所をご紹介します。
ウィーン国立歌劇場
まずホテル「グランド」前のリング通りを数分進んで音楽の都ウィーンのシンボル的な巨大な建物、国立歌劇場へ進みましょう。
世界屈指の伝統的な歌劇場で、1869年王立宮廷歌劇場として建てられ、1918年ハプスブルク家崩壊と同時に国立歌劇場と改名、1945年空爆で破壊を受けた後、1955年に再建されました。
建物自体も立派ですが、マーラー、R.シュトラウス、カラヤン、ベーム、アバド等が指揮して、幾度となく黄金時代を築いてきたまさに世界に誇るオペラの殿堂です。
現在もスター歌手が舞台に立ち、オーケストラ・ピットにはウィーン・フィルの楽団員が入り、年間300回の公演が行われています。7月・8月は公演がありませんが、毎日ガイドツアー(見学時間は約45分、不定期ですが日本語ガイドもあります)があり、内部の見学もできます。
ここからリング通りをさらに先へ5分程進んだところにモーツァルト像があるので、写真撮影に行っても良いでしょう。
カール教会
国立歌劇場の南に位置し、ユーゲントシュティール(アールヌーヴォー)様式の美しい地下鉄駅の建物(オットー・ワーグナー作)があるカール広場には、木陰で目立ちませんがブラームス像があります。
広場の一角を占めるカール教会は、シェーンブルン宮殿やザルツブルクの大学教会を手がけたバロック建築の巨匠エルラッハの作で、1896年10月14日にはブルックナーの葬儀、1902年2月9日にはマーラーの結婚式が執り行われました。カール教会の並びにウィーン工科大学の建物がありますが、広場側の壁にヴィヴァルディ埋葬の地というプレートがあります。以前は墓地だったこの地にウィーンで亡くなったヴィヴァルディが埋葬されました(現在はヴェネツィアに墓所がある)。さらにヨハン/ヨーゼフ・シュトラウス兄弟が工科大学で学んだ旨が記されたプレートも見られます。同じ建物のカール通り4番の壁には、当時の面影はありませんが、ブラームス最期の家と記されたプレートがあります。
広場からはウィーン・フィルの拠点、楽友協会ホールの全体を見渡すことができるので、建物の写真はここから撮るのがよいでしょう。楽友協会ホールの建物の前には、ブラームス、シューベルト、ブルックナーなど、2001年に敷設された白い大理石の「星」の銘板が8枚見られます。「星」の中には顔、名前、サイン、出生地と没地が刻まれています。楽友協会ホールからリング通りに出ると、左側向かいにホテル「グランド」が見えますが、右側にあるウィーンで最も伝統的なインペリアル・ホテルの正面入口前に進むと、向かって右側の壁にワーグナーが2度滞在した旨記されたプレートがあります。もちろん今も昔も著名な音楽家が宿泊するホテルの一つです。
ブラームス像(提供/山本直幸)
ブラームス最期の家跡(提供/山本直幸)
楽友協会ホール前にあるシューベルトの銘板(提供/山本直幸)
マーラーの住居跡
中央墓地へ行く71番の路面電車の始点でもあるシュヴァルツェンベルク広場へ移動し、71番が走るレンヴェーク通りを南東へ5~6分歩き、聖十字架ガルデ教会の手前で左折すると、アウエンブルッガー通り2番の入口の壁に、マーラーが10年近く住んだことが記された記念プレートがあります。ベルヴェデーレ宮殿の下宮がすぐ傍にあり、下宮横の庭園入口から近代美術館(オーストリア・ギャラリー)になっている上宮の方へ上っていくと、上宮の建物の左側から庭園へ抜けると、すぐ左手にブルックナーが亡くなった最期の家があり、レリーフとプレートがあります。
マーラーの住居跡(提供/山本直幸)
コンツェルトハウス
再びシュヴァルツェンベルク広場へ戻り、ロートリンガー通りを北東へ進むとすぐにウィーン音楽大学の本校舎があり、その先にウィーン第2のコンサートホールで、ウィーン交響楽団の拠点、コンツェルトハウスがあります。このホールでは年に数回ウィーン・フィルの演奏会も催されます。建物正面右側の壁にはマーラーのレリーフがあります。コンツェルトハウスの斜め前の広場が、ベートーヴェン広場で、中央にベートーヴェン像があります。広場に面した左側の建物は、シューベルトが通った高校で、壁にはシューベルトの記念プレートが見られます。
ベートーヴェン像(撮影/山本直幸)
ウィーン市立公園
ロートリンガー通りの突き当たりが、市民公園です。
公園内には大変有名な黄金のヨハン・シュトラウス像が立っていますが、公園のほぼ中央にはブルックナー像、北側にはシューベルト像もあります。
公園を抜けて北東の出口、ヒルトン・ホテルの手前を東方面に延びているウンガル通り5番にはベートーヴェンが「第9」を完成させた家があり、レリーフで確認できます。
シューベルト像(提供/山本直幸)
ショッテン・トア
この辺でリング内へ入ってみるのもよいのですが、路面電車か地下鉄を利用してリングの北に位置するショッテン・トアまで行き、リングの外側をもう少し歩いてみましょう。
正面にウィーン大学本校舎の建物、右手にネオ・ゴシック様式の美しいヴォティーフ教会が見える所で下車します。
ショッテン・トアから北へ延びるヴェーリンガー通りを5~6分歩くと、右手、通りの26番の建物の2階の壁にモーツァルトが「コシ・ファン・トゥッテ」と最後の3つの交響曲を作曲したと記されたプレートがあります。
Uターンしてヴェーリンガー通りを少し戻るとシュヴァルツシュパーニアー通りと交差しますが、右折してさらに数分進むと右手、15番にベートーヴェン「最期の家」と記されたレリーフがあります。
そこから地図で確認し、徒歩5分くらいのところ、アルサー通り17番にあるアルサー教会まで行ってみましょう。
そこで1827年3月29日にベートーヴェンの葬儀が行われました。そのことを記したプレートと葬儀に参列したシューベルトの記念プレートも見られます。
再度ショッテン・トアに戻り、リング通りをウィーン大学の方へ歩き、大学の建物の前からリング通りを横切ると、正面の高台メルカー・バスタイの8番にベートーヴェンが約10年間住み、交響曲4、5、7番等の代表作を作曲した家「パスクアラティ・ハウス」があります。現在建物の5階がベートーヴェン記念館になっています。
ここからリング内へ入っていくとよいですが、細い小さな道が入り組んでいるため、言葉だけで道順を説明するのは困難です。
そこで中心地の地図を広げ、国立歌劇場、ケルントナー通り、シュテファン大聖堂という線から左右に分けて所在地を以下に挙げますので、地図を見て通りの名前を確かめ、その通りに辿り着いたら、すべての建物に付けられている番号を順番に追っていけば目的の場所にたどり着けます。
【参考】
◇リング左側(西側)
シューベルト作品が初めて演奏された家跡: Renngasse 1
モーツァルトの3度目のウィーン滞在ホテル跡: Tiefer Graben 18
モーツァルトがウィーンで最初に演奏会を開いた家跡: Am Hof 13
モーツァルトの住居跡: Judenplatz 3
モーツァルトが「後宮からの誘拐」を作曲した家跡: Milchgasse 1
ベルクの生家跡: Tuchlauben 8
ショパンが滞在した家跡: Kohlmarkt 9
ハイドンの住居跡: Kohlmarkt 11
ハイドンが「皇帝賛歌」を作曲した家跡: Neuer Markt 2
シューベルトが「未完成」を作曲した家跡: Spiegelgasse 9
◇リング右側(東側)
モーツァルトの葬儀が行われた場所(大聖堂裏手カタコンベ出口): Stephansplatz
※モーツァルトが「フィガロ」を作曲した家モーツァルトハウス:Domgasse 5
モーツァルトが大司教と決別した家跡: Singerstr. 7
モーツァルト最期の家跡: Rauhensteingasse 8
モーツァルトが最後に演奏した家跡: Himmelpfortgasse 6
シューベルトが寮生活を送った家跡: Dr.-Ignaz-Seipel-Platz
シューマンの住居跡: Schonlaterngasse 7a
J.シュトラウス(父)の最期の家跡: Kumpfgasse 11
※が記念館、それ以外はプレート有り。
パスクアラティ・ハウス(提供/山本直幸)
◇お申し込みはこちらから!
一度の旅行で、ネルソンス指揮のウィーン・フィル演奏会を別会場で、別プログラムで2度鑑賞できるとても魅力的で貴重な機会です。
さらにご希望の方は、国立歌劇場でスター歌手出演の「カルメン」も鑑賞可能です(別手配)。
同行講師のご紹介
講師:山本 直幸氏
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿
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クラブツーリズム株式会社 カルチャ―旅行センター
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