魅力溢れる音楽都市「バーデンバーデン」について本記事でご紹介いたします♪
音楽都市になったバーデンバーデン
「バーデン」はドイツ語で「入浴」を意味しますが、バーデンバーデンは、古代ローマ時代の浴場跡が残る街で、ドイツ西南部に広がる山岳地帯「黒い森」の北に位置し、自然に恵まれた環境下で、特に19世紀には王侯貴族なども訪れるヨーロッパ有数の優雅な温泉保養地として大いに賑わいました。
現在、人口5万人ほどのドイツの地方小都市ですが、一年中音楽イベントが催される魅力的な音楽都市にするために、1998年、約2500人収容の祝祭劇場を完成させ、世界中から著名なオーケストラや歌劇場を招聘し、音楽鑑賞目的の訪問者を急増させました。勿論現在も温泉保養地として機能しているので、公共の施設のフリードリヒ浴場やカラカラ浴場などで温泉入浴も可能です。
近代的な設備の「カラカラ浴場」
音楽家ゆかりの街
シューマンの妻でピアニストのクララは、夫の死後、1862年に家族と共にバーデンバーデンに移り住み、ブラームスとの親交を深めました(1863年~73年住んでいた住居が現存)。
ブラームスは、1865年~74年、現在記念館になっている住居に夏の数ヶ月間滞在、さらに1876年と77年にも短期間滞在して、弦楽六重奏曲第2番、ピアノ五重奏曲、ドイツ・レクイエム、交響曲第1番、2番などを作曲、または完成させています。
ベルリオーズは、1850年代に催されていた音楽祭に指揮者として招かれていましたが、1860年に新しく建てられる劇場(現在の市立劇場)のこけら落とし公演のためにオペラの作曲を依頼され、1862年8月9日、最後のオペラ作品となった「ベアトリスとベネディクト」を自らの指揮で初演させています。
ワルツ王ヨハン・シュトラウスは1871年、72年、77年に訪れ、演奏会を催しています。
ベルリン・フィルにゆかりのある音楽家では、1954年11月30日にカラヤンの前任者である指揮者フルトヴェングラーが、そして2016年1月5日に作曲家で、指揮者としても活躍したブーレーズが亡くなった地でもあります。
ちなみに、クララ・シューマンは夫ローベルトのピアノ協奏曲などをベルリン・フィルと演奏、ブラームスは交響曲第3番などの自作を指揮しています。2番などを作曲、または完成させています。
市立劇場入口横にあるベルリオーズの銘板
ブーレーズの墓所
フルトヴェングラーの胸像
バーデンバーデン・イースター音楽祭
1967年、カラヤンがオペラを演奏する機会のないベルリン・フィルに、オペラを演奏させるために創始したザルツブルク・イースター音楽祭は、カラヤン亡き後もアバドとラトルが引き継ぎ、高い人気を誇る国際音楽祭としての地位を確立していました。
ところが長年、オペラを演奏する機会を増やすよう音楽祭側に求めいたベルリン・フィルは、交渉が決裂したのを機に、熱心な誘致活動を続けていたバーデンバーデンに移ることを決断しました。
イースター音楽祭は、45年のザルツブルクでの歴史を閉じ、2013年からバーデンバーデンで開催されることになったのです。
旧駅舎を再利用したバーデンバーデン祝祭劇場正面
バーデンバーデン祝祭劇場
ホスト役の交代
バーデンバーデンでは、ベルリン・フィルの希望通りにオペラを演奏する機会が倍に増えましたが、やはりオペラ公演には費用と時間がかかることもあり、イースターという限られた期間に何度も上演することには限界があったようです。
結局ベルリン・フィルはオペラの演奏機会が減ってしまったバーデンバーデンを去り、2026年から元のザルツブルクに戻ることになりました。
そしてバーデンバーデンでは、ベルリン・フィルに代わってコンセルトヘボウ管弦楽団がホスト役を務めることになりました。
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1888年に創設されたコンセルトヘボウ管弦楽団は、1842年に創設されたウィーン・フィル、1882年に創設されたベルリン・フィルと共に世界3大オーケストラに数えられる名門オーケストラです。
拠点となるアムステルダムの「コンセルトヘボウ」は、オランダ語で「コンサートホール」の意で、ウィーンの楽友協会ホールと並ぶ世界屈指の伝統的なシューボックス型(箱型)ホールです。
設立100年を迎えた1988年に女王より「ロイヤル」(王立)の称号が与えられ、以後正式名称として「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」になりました。
伝統的なホールであるコンセルトヘボウの内部
歴代の首席指揮者
100年以上の歴史がありますが、首席指揮者を務めたのは7人で、特に第2代目のメンゲルベルクは1945年まで50年も務め、戦前の黄金時代を築きました。
戦後は1988年まで27年務めた4代目のハイティングの功績が極めて大きく、第2の黄金時代と言われています。
2016年に就任した7代目のガッティは、不祥事が取り沙汰されわずか2年で解任され、現在も首席指揮者不在の状況が続いていますが、2027年にマケラがそのポストに就くことが決まっています。
首席指揮者以外では、マーラー、R. シュトラウス、クレンペラー、ヨッフム、バーンスタイン、セル、ジュリーニ、クライバーなど、音楽史に名を刻んだ巨匠が幾度も指揮台に立ち、オーケストラの名声を高めました。
クラウス・マケラ
まだ29歳という若さで将来を嘱望されるマケラは、この11月にコンセルトヘボウ管弦楽団を率いて来日したことで、日本での知名度が飛躍的にアップしたはずです。
マケラは母国フィンランドで10代から指揮を始め、2020年からオスロ・フィル、2021年からパリ管弦楽団の首席指揮者を兼務する傍ら、次々と欧米の著名なオーケストラに招かれて指揮し、最も注目を浴びる指揮者の1人になっています。
音楽界の両雄ベルリン・フィルとウィーン・フィルでも、前者は2023年、後者は2024年にデビューを果たしています。2027年からはコンセルトヘボウ管弦楽団とシカゴ交響楽団の首席指揮者を兼務します。
ベルリン・フィルにとってバーデンバーデンが最後になった今年のイースター音楽祭では、客演指揮者として招かれたマケラが、R. シュトラウスのアルプス交響曲とラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を指揮し、聴衆を熱狂させました。
※画像は全て山本直幸講師提供
◇お申し込みはこちらから!
<山本直幸講師より>
すでに「催行決定」になっている2026年のイースター音楽祭ツアーは、2つのイースター音楽祭を訪れます。
バーデンバーデンでホスト役を務めるコンセルトヘボウ管弦楽団演奏会をマケラ指揮の別プログラムで2度鑑賞、そしてザルツブルクでホスト役を務めるベルリン・フィルの演奏会をペトレンコとソフィエフ指揮で2度鑑賞します。
何と言っても鑑賞できるプログラムがとても魅力的で、最高のパフォーマンスが期待できる2つの名門オーケストラの競演を、4夜連続で満喫できる機会です。
是非、ツアー参加をご検討ください。
同行講師のご紹介
講師:山本 直幸氏
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿
次回のブログ更新のお知らせ
\音楽の旅情報ブログ、次回の更新日は12月5日(金)を予定しております!/
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