「音楽の都」ウィーンには音楽家だけでなく、オペラ作品の登場人物などの銅像が数多くあります。恐らくそれらをめぐるだけでも1日くらいの時間は必要になるでしょう。前回に続きまずはモーツァルト・・・作品の登場人物の銅像や彫像をご紹介しましょう。
画像: 王宮庭園のモーツァルト像

王宮庭園のモーツァルト像

ウィーンのシンボルとも言える有名な銅像

音楽に興味のない方でも、ウィーンを訪れるとカメラに収めるであろう有名な銅像が、王宮庭園に立つモーツァルト像です。真冬以外は、銅像の前に美しい花で彩られたト音記号が銅像を引き立てます。銅像の横に立ち、ト音記号を入れて撮ったスナップ写真は、間違いなくウィーンを訪れた証、思い出となるでしょう。

画像: 訪れる時期によって違うト音記号の花

訪れる時期によって違うト音記号の花

7.5mの立派な銅像は、1896年4月21日に、現在のアルベルティーナ広場(国立歌劇場の裏、カフェ・モーツァルトの前)に建立され、皇帝フランツ・ヨーゼフ列席の下で盛大に除幕式が行われました。その後第二次世界大戦時の空爆で受けた損傷を修復し、王宮庭園に移されたのは1953年6月5日のことです。

画像: 台座に刻まれたオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の場面のレリーフ

台座に刻まれたオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の場面のレリーフ

美しい浮彫レリーフ

この銅像前で記念撮影をした後は、是非台座と裏側にも目を向けてみてください。台座には、モーツァルトの代表作「ドン・ジョヴァンニ」の2つの場面、向かって左側にはドン・ジョヴァンニが殺した騎士長の石像を晩餐に招待する場面、右側にはその石像が晩餐に登場する場面が浮彫レリーフで描かれています。ちなみにその上は鍵盤がデザインされ、楽器と月桂樹冠の間に楽譜も置かれています。

画像: 銅像の背後に刻まれたモーツァルト一家のレリーフ

銅像の背後に刻まれたモーツァルト一家のレリーフ

そして背後に回ると、ルイ・カロジス・カルモンテルが描いたモーツァルト一家(6歳のモーツァルトと父姉)の肖像画をモチーフにしたレリーフがあります。

モーツァルト作品の登場人物

モーツァルトが死の直前に完成させ、自らの指揮で初演させた「魔笛」が上演された劇場は、当時の市囲壁の外、国立歌劇場から南西約500mに位置する場所にあったアウフ・デア・ヴィーデン劇場(1787年建築)です。その跡地の建物には「魔笛」登場人物パパゲーノの彫像が見られます。

画像: アン・デア・ウィーン劇場の旧入口の「パパゲーノ門」

アン・デア・ウィーン劇場の旧入口の「パパゲーノ門」

そのすぐ近くにある現在、ウィーン第三の歌劇場として機能しているアン・デア・ウィーン劇場(1801年落成)の旧入口には、当時の面影を伝える一部として「パパゲーノの門」が残っています。この劇場の支配人を務め、「魔笛」の台本を書いたシカネーダーは、初演時にパパゲーノ役を演じていますが、門の彫像のモデルは、シカネーダーと一緒に出演した3人の息子たちだと言われています。

画像: 門を飾るパパゲーノと子供たちの彫像

門を飾るパパゲーノと子供たちの彫像

ちなみにこの名門劇場では、ベートーヴェンの「フィデリオ」、交響曲第3番、5番、6番、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」、レハールの「メリー・ウィドウ」などが初演されています。

モーツァルト広場とモーツァルト通り

国立歌劇場から1kmほど南へ行くと、1899年に「モーツァルト広場」と命名された小さな広場があり、広場を東西に横切る通りが、1862年に「モーツァルト通り」と名付けられています。そしてその広場には1905年に、「モーツァルト噴水」(「魔笛噴水」)という記念碑が建立されました。「魔笛」の登場人物で魔笛を手にしたタミーノにパミーナが寄り添っている銅像で、その前に立てばモーツァルトを偲ぶことができるでしょう。

画像: 「魔笛」の初演劇場跡にあるパパゲーノの彫像とモーツァルト広場にある噴水

「魔笛」の初演劇場跡にあるパパゲーノの彫像とモーツァルト広場にある噴水

クラブツーリズムでは、通年ウィーンを訪れるツアーをご用意していますが、「山本講師同行ツアー」では、自由時間を利用してご希望の方々を、講師がリング内、周辺の音楽家ゆかりのスポットへ徒歩にてご案内しています。

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画像: 【クラブツーリズム 音楽の旅】 旅の文化カレッジ講師 山本 直幸 ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。 特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

【クラブツーリズム 音楽の旅】
旅の文化カレッジ講師 山本 直幸
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

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