2019年夏のルツェルン音楽祭のスケジュールが明らかになりました。期間は8月16日~9月15日で、多くの著名オーケストラが招聘されます。速報で主要公演についてお知らせします。

音楽祭都市ルツェルン

森と湖に囲まれたスイスで最も美しい街といわれる湖畔の高級リゾート地ルツェルンは、夏の音楽祭だけではなく、3月または4月に主に宗教曲を取り上げ、クロージングにバイエルン放送交響楽団と合唱団の演奏会を組み込んだ「イースター音楽祭」と、11月に著名なピアニストを招聘してピアノ曲が演奏される「ピアノ音楽祭」が開催される音楽祭都市です。

画像: 1938年8月25日に催されたトスカニーニ指揮のガラ・コンサートを記した記念碑

1938年8月25日に催されたトスカニーニ指揮のガラ・コンサートを記した記念碑

夏の音楽祭

その歴史は1938年まで遡ります。ナチスの台頭によりオーストリアが併合されて緊迫度が増し、バイロイト音楽祭やザルツブルク音楽祭を追われたトスカニーニやヴァルターなどの指揮者が集い、1938年8月25日、ルツェルン郊外トリプシェンにあるワーグナーの別荘前で催された、トスカニーニ指揮のガラ・コンサートが新たな音楽祭「ルツェルン国際音楽週間」の始まりです。

国際音楽祭に発展

1955年以降、世界中から著名な指揮者や演奏家が次々に音楽祭デビューを飾り、客演するオーケストラも定着し、国際音楽祭としての地位と名声が高まっていきます。世界3大オーケストラといわれるウィーン・フィル、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウ管弦楽団など、常連の客演オーケストラの多くは、早い時期からこの音楽祭と関わっているのです。そして音楽祭創始60年の1998年8月19日には、待望のメイン・ホールとして完成したカルチャーコングレスセンターで、アバド指揮のベルリン・フィルがこけら落とし公演を催し、2001年に音楽祭の名称を「ルツェルン音楽祭」に変更しました。

来夏も客演オーケストラは豪華な顔ぶれ

音楽祭のホスト役を務める祝祭管弦楽団の演奏会は、音楽監督リッカルド・シャイー指揮で4回催されますが、開催期間中に順次、著名オーケストラが登場します。バレンボイム指揮のウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団、ハイティンク指揮のヨーロッパ室内管弦楽団、ネルソンス指揮のゲヴァントハウス管弦楽団、フルシャ指揮のマーラー室内管弦楽団、ペトレンコ指揮のベルリン・フィル、ゲルギエフ指揮のマリンスキイ管弦楽団、メータ指揮のイスラエル・フィル、ハーディング指揮のコンセルトヘボウ管弦楽団、オロスコ・エストラーダとハイティンク指揮のウィーン・フィル、ラトル指揮のロンドン交響楽団、クルレンツィスのムジカエテルナなど、他の音楽祭ではあり得ない豪華な顔ぶれが揃います。

画像: 音楽祭メイン会場 カルチャーコングレスセンター

音楽祭メイン会場 カルチャーコングレスセンター

会場:カルチャーコングレスセンター
8月16日/17日 ルツェルン祝祭管弦楽団演奏会
指揮:R.シャイー 出演:D.マツーエフ 
演目:ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番、交響曲第3番

8月18日 ウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団演奏会
指揮:D.バレンボイム 出演:A.S.ムッター
演目:シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ベートーヴェン/交響曲第7番

8月20日 ヨーロッパ室内管弦楽団演奏会
指揮:B.ハイティンク 出演:A.L.リヒター
演目:シューベルト/交響曲第5番 マーラー/交響曲第4番

8月22日 ルツェルン祝祭管弦楽団演奏会
指揮:R.シャイー 出演:L.カヴァコス 
演目:ストラヴィンスキー/ヴァイオリン協奏曲 チャイコフスキー/交響曲第4番

8月24日 ルツェルン祝祭管弦楽団演奏会
指揮:R.シャイー 演目:マーラー/交響曲第6番

8月25日 ゲヴァントハウス管弦楽団演奏会
指揮:A.ネルソンス 演目:ブルックナー/交響曲第8番

8月26日 ゲヴァントハウス管弦楽団演奏会
指揮:A.ネルソンス 出演:A.シフ
演目:バルトーク/ピアノ協奏曲第3番 ドビュッシー/交響詩「海」 
ストラヴィンスキー/火の鳥

8月27日 マーラー室内管弦楽団演奏会
指揮:J.フルシャ 出演:E.パユ
演目:モーツァルト/フルート協奏曲 シューマン/交響曲第2番

8月28日 ベルリン・フィル演奏会
指揮:K.ペトレンコ 出演:M.ペーターゼン、E.クルマン、B.ブルンス、K.ユン
演目:ベートーヴェン/交響曲第9番

8月29日 ベルリン・フィル演奏会
指揮:K.ペトレンコ 出演:P.コパチンスカヤ
演目:シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲 チャイコフスキー/交響曲第5番

8月30日 マリンスキイ管弦楽団演奏会
指揮:V.ゲルギエフ 出演:B.アブドゥライモフ
演目:ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番 チャイコフスキー/交響曲第6番 

8月31日 マリンスキイ管弦楽団演奏会
指揮:V.ゲルギエフ 出演:L.カヴァコス
演目:ショーソン/詩曲 ラヴェル/ツィガーヌ ショスタコーヴィチ/交響曲第10番 

9月2日 イスラエル・フィル演奏会
指揮:Z.メータ 演目:シューベルト/交響曲第3番 ベルリオーズ/幻想交響曲

9月3日 コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会
指揮:未定 出演:T.ツィマーマン 演目:バルトーク/ヴィオラ協奏曲 チャイコフスキー/交響曲第1番

9月4日 コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会
指揮:D.ハーディング 出演:C.ゲルケ、S.スケルトン 
演目:ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」第2幕(演奏会形式)

9月5日 ウィーン・フィル演奏会
指揮:A.オロスコ・エストラーダ 出演:L.カヴァコス
演目:コルンゴールド/ヴァイオリン協奏曲 ドヴォルザーク/交響曲第9番

9月6日 ウィーン・フィル演奏会
指揮:B.ハイティンク 出演:M.ペライア
演目:ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ブルックナー/交響曲第7番

9月9日 ロンドン交響楽団演奏会
指揮:S.ラトル 出演:B.ハンニガン
演目:エブラハムセン/ソプラノと管弦楽のための「レット・ミー・テル・ユー」 メシアン/彼方の閃光

9月10日 ロンドン交響楽団演奏会
指揮:S.ラトル 演目:ハイドン/交響曲第70番 ブリテン/青少年のための管弦楽入門
ラフマニノフ/交響曲第2番

9月12日 ムジカエテルナ演奏会
指揮:T.クルレンツィス 出演:O.クルチンスカ、P.マリヒー他
演目:モーツァルト/歌曲「フィガロの結婚」(演奏会形式)

9月13日 ムジカエテルナ演奏会
指揮:T.クルレンツィス 出演:C.バルトリ
演目:モーツァルト/アリアと管弦楽作品より抜粋

9月14日 ムジカエテルナ演奏会
指揮:T.クルレンツィス 出演:N.パヴロワ、D.ティリアコス他
演目:モーツァルト/歌曲「ドン・ジョヴァンニ」(演奏会形式)

9月15日 ムジカエテルナ演奏会
指揮:T.クルレンツィス 出演:C.バルトリ、P.マリヒー他
演目:モーツァルト/歌曲「コシ・ファン・トゥッテ」(演奏会形式)

画像: イースターの時期のカルチャーコングレスセンターとピラトゥス山

イースターの時期のカルチャーコングレスセンターとピラトゥス山

クラブツーリズムの「音楽の旅 アンコール」では、来夏、ルツェルン音楽祭とザルツブルク音楽祭を組み合わせたツアーを企画予定です。また今月末に来日する注目のバイエルン放送交響楽団が音楽祭のフィナーレを飾るルツェルン・イースター音楽祭を訪れるツアーを、ベルリン・フィルの音楽祭であるバーデンバーデン・イースター音楽祭と組み合わせてご用意しています(全公演第1カテゴリー席確約)。是非参加をご検討ください。

その他の音楽観賞はこちら

https://www.club-t.com/theme/classic/kaigai/?link_id=cSoBt10

画像: 【クラブツーリズム 音楽の旅】 旅の文化カレッジ講師 山本 直幸 ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。 特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

【クラブツーリズム 音楽の旅】
旅の文化カレッジ講師 山本 直幸
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

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