今回も登録基準を観光地の写真下部に記載します。世界遺産の登録基準などの詳細は第1回ブログをご参照ください!
<その1>見る者を感動させる「ヴィクトリアの滝(モシ・オ・トゥニャ)」
ザンビア共和国とジンバブエ共和国の国境に位置
イグアス、ナイアガラと並ぶ世界三大瀑布の1つです!
皆様は三大瀑布制覇されましたか?私はこのヴィクトリアの滝が一番オススメです。
特に4~6月は水量が一番多く全身が濡れるほど滝の迫力を感じることができます。4月頃は、毎分5億ℓもの水が落下!!
KAZAビザという共通査証を取得し、それぞれの国から眺めることもでき、ツアーでも両国から観光しています。
このヴィクトリアの滝、なんと現在でも侵食が続いており、滝の位置が上流へと変化しているのです。
・現地の言葉( 植民地以前の現地民族の言葉)ではMosi-oa-Tunya(モシ・オ・トゥニャ)=雷鳴の轟く水煙。
・ヨーロッパ人として初めて滝を目にしたリヴィングストン(スコットランド人)が英国女王にちなみヴィクトリアの滝と名付け、この2つの名前が世界遺産に登録されています。
オススメは遊覧飛行!
滝の全貌・壮大さがよく分かります!
<その2>東西文化交流を生んだ「シルク・ロード:長安から天山回廊の交易網」
カザフスタン共和国とキルギス共和国と中華人民共和国の3カ国で登録
世界遺産に登録されているのは、かつての漢と唐の時代の首都である長安と洛陽から天山回廊を抜け、中央アジアを通りカザフスタンとキルギスに至る5,000kmのルートです。
交易路網を含む33の構成資産には、交易都市だけでなく、石窟寺院、施設、宮殿、要塞、宗教施設なども含まれます。
絹(シルク)が主要な交易品であったことから、シルク・ロードと名付けられましたが、1本の道があるわけではなく、交易のために利用されたいくつかの道を総称して呼んでいます。
大きく分けると3つのルートがあり、
1、東ヨーロッパ周辺から中央アジア北部やモンゴルを通って中国に至る「草原の道」
2、トルコ周辺からサマルカンドや天山山脈を越え、敦煌を抜けて西安(長安)へ至る「オアシスの道」=★ここの一部が世界遺産かつ「シルク・ロード」と名付けられたのもこの道
3、中国南部の港から東シナ海、南シナ海、インド洋を経て、インドやアラビア半島へ至る「海の道」があります。
私はオアシスの道を旅した際に、様々な芸術、文化、思想、特産品などが、時間をかけて道を行き交いし、交流してきたことに思いを馳せ、便利すぎる自分の生活を見つめ直すきっかけとなったのでした。
<その3>世界最古の湖に佇む「オフリド地方の自然及び文化遺産」
範囲が拡大された事により、アルバニア共和国と北マケドニア共和国で登録
オフリド地方というのは、ヨーロッパの中でも最も古くから人が定住した場所の1つです。
2019年にオフリド湖のアルバニア共和国領まで範囲が拡大され、湖全体も世界遺産の登録範囲になりました。
ちなみにオフリド湖は、ロシアのバイカル湖、アフリカのタンガニーカ湖と並ぶ世界最古の湖です。すごく透明で、冬でも凍結しないため他の地域では絶滅した水棲生物が残っています。
北マケドニアの都市オフリドは、聖クレメントが9~10世紀にかけキリル文字を用いてスラヴ語聖書の翻訳を行ったことで、各地へスラヴ文化を広めた中心都市です。
ビザンツ様式の建築物やイコンが多く残り、マケドニアのエルサレムと呼ばれました。
この写真の聖ヨハネ・カネオ教会は、長方形の石の土台に建てられ、上から見ると十字架の形をしています。教会のドーム部分には、全能者ハリストス(ギリシャ語、イエス)のフレスコ画が見られ、壁にはオフリド出身の聖人・聖クレメントと聖エラスムスのフレスコ画が描かれています。
このように文化遺産としても、そして自然遺産としても登録されている遺産を複合遺産と呼びます。
<その4>旅行していても見落としやすい!「ベルギーとフランスの鐘楼群」
ベルギー王国で32棟、フランス共和国で23棟が登録
ベルギー共和国のフランドル地方、ワロン地方、そしてフランス共和国の北部には、11世紀から17世紀にかけて建てられた鐘楼が残されています。(現在55棟登録されています)
このエリアの都市は、交通の要衝として経済力を背景に自治権を獲得し、自由と反映の象徴として、市庁舎や聖堂、広場に、時代ごとに異なる建築様式の鐘楼を建てました。
フランダースの犬の舞台として知られる「ノートルダム大聖堂」や、いくつもの時代(13世紀から15世紀)を経て建てられた「ブルージュの鐘楼」など、有名な観光地のものは行った事がある方が多いのでは??
これらの遺産は、観光地としてヨーロッパの素敵な街並みの中の1つの景色として捉えられてしまう事が多いのですが、個々の特性を知っていると、「お、ここはすごいお金かかってそうだな〜、何でだろう」とか「この建築様式だからこの時期に自治権を得たのかな」など時代背景や繋がりなどを知りたくなるような遺産です!
特にベルギー旅行では、「え?あれも世界遺産だったの?」と見逃してしまう事もあるので、事前に調べていきましょう!
<その5>日本にもあります!「ル・コルビュジェの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献」
何と7カ国で登録されています!
アルゼンチン共和国、インド、スイス連邦、ドイツ連邦共和国、日本、フランス共和国、ベルギー王国に点在する17の資産で構成されています。このように複数の国を越え、複数の大陸にまたがって登録されている事を「トランス・コンチネンタル・サイト」と言います。
ル・コルビュジェとは・・・スイスのラ・ショー・ド・フォン(ここも世界遺産)生まれ。活動拠点はパリ。日本3大弟子は、前川國男、坂倉準三、吉阪隆正、この3名がコルビュジェの設計図をもとに国立西洋美術館の実施設計を行った。
キーワード「近代建築の五原則」とは・・・
①ピロティ・・・フランス語で「杭」を意味する、1階部分の柱で建物を支え、空中に浮いたような印象を与える設計、国立西洋美術館でも見られる。壁によって建物を支える従来の西洋建築から離れ、壁の面積が減る事でデザインの自由が高まった。
②水平連続窓
③屋上庭園
④自由な平面
⑤自由なファサード
私たちが現在、住まいや施設で感じるような、「太陽の光がたくさん入ってて良いな」とか「見晴らしが良い窓だな」とかこの「良いな」と思うような環境を推進されたのがル・コルビュジェなのですね。そして、地球規模でこの近代建築を発展させ、建築技術の近代化を促した事が高く評価されているのです。
大変恥ずかしながら、世界遺産に登録されたニュースを見た時には、なぜ国立西洋美術館が!?と思いました。その後、世界遺産検定の勉強を通じ、いかにこの建築作品が建築史上価値があるかを学びました。東京都、上野にありますので是非みなさまも足を運んで見てはいかがでしょうか。
おわりに
第4回目のテーマはいかがでしたでしょうか。
素晴らしい遺産は、どこの国が保有するかを決めるのではなく、人類全体で守っていかなければならないですね。
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第1回「ロマンのある世界遺産5選」
第3回「もうがっかりなんて言わせない世界遺産5選」
第4回「国境を越えて複数国で登録される世界遺産5選」
第5回「いわくつきの世界遺産5選」
第6回「Twitter投票で人気のあった世界遺産5選」
第7回「地球生成に歴史に関連する世界遺産5選」
第8回「世界遺産に登録される家(居住地・邸宅)5選」
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