飛行機を降りて、ホテルに荷物を置いたら、まずは街を歩いてみよう。
ガイドブックに載っている観光地もいいけれど、自分の足で歩くシドニーには、それだけじゃない“景色”がある。

歴史ある建物の軒下をくぐり、立ち並ぶカフェのテーブルを横目に歩いていくと、空の広さや街の匂い、人々の表情の奥に、この街の「いま」が見えてくる。シドニーは、ただの南半球の大都市じゃない。歴史とモダン、自然とアート。いくつもの顔が混ざりあって、心地いいリズムを刻んでいる街だ。

今回は、そんなシドニーの「街歩き」にぴったりのスポットを、9か所ピックアップ。
朝のすがすがしい時間に立ち寄ってもいいし、夕暮れの帰り道にふらっと寄ってもいい。
どこも街の真ん中にあって、だけどただの“観光地”じゃない、シドニーの息づかいが感じられる場所ばかりだ。

さあ、歩こう。
ちょっといい靴で、ポケットにこの地図(クラブログ)をしのばせて。
旅の中に“こんな時間”があるのって、なんだか豊かだと思う。

シドニーの街歩きへご案内

①QVB(Queen Victoria Building)──アーケードの宝石箱

アクセス:タウンホール駅から地下で直結。徒歩1分。

画像: QVB外観(弊社スタッフ撮影)

QVB外観(弊社スタッフ撮影)

シドニーのショッピングモールと聞いて、「歴史的建造物」と想像する人は少ないかもしれない。でもQVBは違う。重厚な石造りの外観に、堂々たる緑青色のドーム屋根。建てられたのは1898年。ヴィクトリア女王の即位60周年を記念して造られたことから、その名がつけられた。

当時は商業施設ではなく、市場やコンサートホール、さらには役所まで入っていた複合施設だったそう。だが長い年月の間に老朽化し、一時は取り壊しの話も出た。でも市民の声で保存が決まり、1980年代に大改修され、今の優雅な姿に甦った。中に入ると、時間が止まったような感覚になる。天井から吊り下がる巨大な振り子時計に、クラシックな手すりと床のモザイク。ブランド店もいいけれど、ここでは建物そのものが主役だ。

画像: QVB内観(弊社スタッフ撮影)

QVB内観(弊社スタッフ撮影)

②シドニー市役所(Sydney Town Hall)──砂岩に刻まれた街の心臓

アクセス:QVBのすぐ隣。徒歩1分。

QVBと向かい合うように建っているのがシドニー市役所。完成は1889年。建築に使われたのは、オーストラリアならではの「サンドストーン(砂岩)」。暖かみのある黄土色が特徴で、シドニーの古い建物の多くに使われている。

市役所とはいえ、ただの行政施設ではない。中にはかつて世界最大規模といわれたパイプオルガンが鎮座し、イベントホールとしても活躍している。もし内部公開日に当たったら、迷わず入ってほしい。広い吹き抜け、重厚な木製階段、ヨーロッパの劇場のような雰囲気は、市街とはちょっと違った時間の流れを感じさせてくれる。

ちなみに、市役所の地下にはシドニーで最も古い墓地があった場所でもある。今の賑やかさの下に、かつての静寂が眠っていると思うと、ちょっと不思議な気分になる。

画像: シドニー市役所(弊社スタッフ撮影)

シドニー市役所(弊社スタッフ撮影)

③シドニー・タワー・アイ(Sydney Tower Eye)──空の上の見晴らし台

アクセス:タウンホール駅から徒歩5分。Pitt Street沿いを北へ。
入場料:チケットの入場料は公式サイトで事前にご確認ください。

QVBを抜けて北に歩くと、見上げずにはいられないのがこのタワー。高さ309メートル、シドニーで最も高い展望施設。街のどこからでも見えるけど、近くで見るとその迫力にちょっと圧倒される。

完成は1981年。当時は「センター・ポイント・タワー」と呼ばれていた。実はこのタワー、ただの展望台ではない。地上250メートルのガラス張りフロアから360度のパノラマが広がり、晴れた日にはブルーマウンテンズまで見えることもある。

そしてこのタワーの魅力は“静けさ”だ。周囲の喧騒が嘘のように消えて、眼下に広がる街がまるでミニチュアのように感じられる。時間帯は夕方がベスト。街に灯りがともり始める“ブルーアワー”に登ると、写真なんてどうでもよくなるほど、ただ見とれてしまう。

さらに、スリルを求めるなら「スカイウォーク」。外に出て、柵もない足場を歩く体験は、さながら空中散歩。でも高所恐怖症の人はちょっと覚悟して。

④セント・メアリー大聖堂(St Mary’s Cathedral)──南半球最大級のゴシック建築

アクセス:タウンホール駅から徒歩約10分/Museum駅から徒歩3分

都会の真ん中に、まるでヨーロッパの古都のようなシルエットがある。それがセント・メアリー大聖堂。正式名称はCathedral Church and Minor Basilica of the Immaculate Mother of God, Help of Christians。名前からして荘厳だ。

建設が始まったのはなんと1868年。実はその前に同じ場所に建っていた初代大聖堂が火災で焼失してしまい、それを受けてこの新しいゴシック様式の大聖堂が造られた。完成までは100年近くかかったというから、気が遠くなるような話。だからこそ、石一つひとつに込められた想いがちがう。

ファサードの尖塔は2010年にようやく完成。150年越しに完成した大聖堂として、今も信仰の中心であり、観光客の心も打つ。中に入ると、ステンドグラス越しの柔らかな光と、静寂が迎えてくれる。おすすめは朝。誰もいない大聖堂で、ただ座って天井を見上げてみてほしい。

画像: セントメアリー大聖堂(弊社スタッフ撮影)

セントメアリー大聖堂(弊社スタッフ撮影)

⑤アンザック・メモリアル(ANZAC Memorial)──静かな池に映る、記憶のモニュメント

アクセス:タウンホール駅から徒歩約8分(ハイドパーク南端)
入場無料。ガイドツアーあり(英語のみ・無料)

ハイドパークを南へ進むと、緑の中に堂々と佇む一つの建物がある。これがアンザックメモリアル。第一次世界大戦で戦ったオーストラリアとニュージーランドの兵士(ANZAC)を追悼するため、1934年に建てられた。

建物の前に広がる長い「リフレクティング・プール(Reflecting Pool)」は、ただの池ではない。鏡のように建物を映し出し、亡くなった兵士たちの魂を象徴している。水面に映る空を眺めるだけで、心が静かになるような場所だ。

中には「死せる戦士の像(Sacrifice)」が横たわり、その下に展示室が広がっている。日記、手紙、遺品など、戦争を“記録”ではなく“個人の物語”として伝える展示が静かに語りかけてくる。観光というより、記憶に触れる時間。旅の中に、こんな時間があるのは、きっと豊かだ。

⑥ニューサウスウェールズ州立図書館(State Library of NSW)──知の殿堂は、静けさに満ちている

アクセス:タウンホール駅から徒歩約20分/バス利用も便利(CBD路線多数)
入場無料。Wi-Fi・読書スペース・カフェあり。

古い図書館って、なんだかそれだけで格好いい。この図書館もその例に漏れず、外観からすでに貫禄がある。正面のコリント式の円柱、広がる石の階段。中に入れば、木の香りと紙の匂いが混じったような“静かな知の空気”が流れている。

1826年創立、オーストラリアで最も古い公共図書館のひとつ。所蔵数は600万点を超え、古地図や歴史的書簡なども多数。特におすすめは「ミッチェル・ライブラリー」内の読書室。天井の高い吹き抜けに、整然と並ぶ机とランプ。ここだけ時間が止まっている。

地元の学生がPCを広げていたり、観光客がふと立ち止まって写真を撮ったり。使い方は人それぞれだけど、「こんな図書館が近所にあったらな」と思わずにいられない。

⑦ニューサウスウェールズ州立美術館(Art Gallery of NSW)──アートは自由、そして思ったより開かれている

アクセス:州立図書館から徒歩約5分/タウンホール駅から徒歩25分
入場無料(一部有料展あり)/新館「Sydney Modern」は2022年オープン

図書館の裏手を抜け、ドメインという大きな緑地を歩いていくと、美術館が見えてくる。ギリシャ神殿のようなファサードにまず目を引かれるが、建物の中に入ると、もっと驚くことになる。

ここは“お堅い美術館”とはまったく違う。オーストラリアの先住民アートから、近現代の作品、インスタレーションまで、とにかくジャンルが幅広い。そして誰でもふらっと入れるオープンな雰囲気がうれしい。

2022年には新館「Sydney Modern」がオープン。ガラス張りのモダンな建築は、まるで美術館自体が作品のよう。カフェも併設されていて、館内を回った後に一息つける。

旅先でアートを見るというよりも、街の“もうひとつの顔”をのぞくような感覚。知識がなくても大丈夫。自由に歩いて、立ち止まった作品の前で、なぜか心が動いた。それだけで、アートとのいい出会いだ。

画像: ニューサウスウェールズ州立美術館(弊社スタッフ撮影)

ニューサウスウェールズ州立美術館(弊社スタッフ撮影)

⑧ロックス地区──石畳とパブの香りに誘われて

アクセス:サーキュラー・キー駅(Circular Quay)から徒歩5分。

シドニー発祥の地ともいえるロックス地区。名前の通り、岩だらけだったこの場所は、1788年に最初のイギリス人入植者たちが上陸したエリア。つまり、オーストラリアという国が始まった場所とも言える。

かつては流刑囚や船乗りたちが暮らした荒くれ者の街だったけど、今ではそれが“味”になっている。狭い石畳の路地に、サンドストーン造りの古い建物。パブの窓からはギターの音とビールの香り。まるで物語の中を歩いているような感覚になる。

ロックス・マーケットは週末限定の名物。ローカル作家のジュエリーや、オーガニックフードの屋台、アンティーク雑貨など、見て回るだけでも飽きない。特におすすめは手作りキャンドルと革小物。どこかヨーロッパの蚤の市っぽさもある。

歴史好きにはザ・ロックス・ディスカバリー・ミュージアム(The Rocks Discovery Museum)もおすすめ。小さな施設だけど、先住民の暮らしから植民地時代の苦労話までをしっかり紹介してくれる。英語だけど、展示が工夫されているので見やすい。

夜になると歴史あるパブ巡り(Pub Crawl)が楽しい。「オーストラリア最古のパブ」のひとつとされるLord Nelson Brewery Hotelや、かつて海賊が集ったとも言われるThe Hero of Waterlooなど、どの店にも逸話がある。ビール片手に、ちょっと古い石壁を眺めると、不思議と時間がゆっくり流れる。

画像: ロックス地区から見るオペラハウスと海(弊社スタッフ撮影)

ロックス地区から見るオペラハウスと海(弊社スタッフ撮影)

⑨ボンダイビーチ(Bondi Beach)──ただの海じゃない、“シドニーらしさ”の原点

アクセス:タウンホール駅からボンダイジャンクション駅までT4線で約10分
→ 駅前から333番または380番のバスでビーチまで約15分。
※Opalカード利用で片道約4.5ドル。

もしシドニーという街に“性格”があるとしたら、それはこのボンダイビーチにすべて詰まってると思う。ざっくりしてて、気取らなくて、なのにちょっとスタイリッシュ。まるで寝癖のままサングラスだけかけて出てきた人みたいだ。

海の広がりは想像以上。空と海の境目がふわっと溶けていて、ただ波を見ているだけで、ちょっとだけ人生について考えたくなる。とはいえ、そんなセンチメンタルはあっという間にビーチの熱気にかき消される。

サーファー、ランナー、犬の散歩、ヨガをする人。ビーチっていうより、“日常が流れてる場所”って感じが強い。海水浴はもちろんだけど、地元の人たちにとっては、ここはリビングであり、ジムであり、カフェであり、たぶん心のよりどころでもある。

画像: ボンダイビーチ(弊社スタッフ撮影)

ボンダイビーチ(弊社スタッフ撮影)

まとめ 

※入場料金や休館日は、急遽変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。

シドニーを歩いて感じるのは、どこかゆったりした時間の流れと、過去と現在が交錯する瞬間。
まずは、タウンホール駅から始まる街の中心地をぐるっと巡り、オーストラリアの歴史を刻んだ場所を訪ねて。QVBやセントメアリー大聖堂で歴史に浸り、シドニータワーアイからは街の広がりを感じてみよう。そこから歩き足りなければ、歩いて数分の距離にあるロックス地区では、シドニー発祥の地と、どこか懐かしいパブの香りが待っている。

そして、ダーリングハーバーでは、海と遊ぶもよし、アクアリウムで海の世界に浸るもよし。
でも、シドニーの本当の魅力はそのまっすぐじゃないところ。観光名所を回りながら、偶然出会った路地裏のカフェやビーチで感じる開放感こそが、旅の一番の思い出になる。

最後に立ち寄るべきはボンダイビーチ。サーフボードの代わりに手に持つのは、たぶんカメラよりも地元の人々の「自由な時間」だ。

歴史と現代、海と街が絡み合ったシドニーでの歩きは、まるで「ふとしたよそ見」のように、自然に旅の記憶として心に残っていく。

おまけのひとこと

シドニーの魅力って、実は“歩いてこそ”じわじわ伝わってくるものだと思う。ただ絶景や有名スポットを見るだけじゃなくて、その場に立って、風を感じて、匂いを嗅いで、ちょっとした歴史を知ることで、旅が一気に「思い出」になる。ダーリングハーバーでは陽気なオーストラリアを、ロックスでは“始まりの記憶”を感じてみて。

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