登山・ハイキングに必要なリュック・ザックの選び方を登山歴8年以上のスタッフが解説します。おすすめのサイズ・容量の目安、ベルトの位置、構造、メーカーなど、リュックの選び方のポイントをお伝えいたします!

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1.リュック・ザックの必要性

リュック(ザック)は山の必需品

リュック・ザックは登山靴・雨具とともに、山における三種の神器の一つと呼ばれ、登山・ハイキングをする際に必要な装備の一つです。

正しい呼び方は?

「リュック」、「ザック」、「バックパック」など様々。経験者ほど「ザック」と呼ぶ方が多くなる印象です。※以下、リュック(ザック)で統一

両手が空き重い荷物を安定して背負える

リュック(ザック)は背中で背負うことで両手が空き、さらに手で持つよりも多くの荷物を安定して持つことができます。危険箇所も必要な荷物も多い登山・ハイキング時は、リュック(ザック)は必須の装備です。

ショルダーバックでも両手は空きますが、安定性がありません

当記事では、そんな登山用リュック(ザック)の、必要な機能・選ぶ際のポイント等を解説いたします。

2.登山用リュック(ザック)の大きさ

リュックの大きさには異なる2つの基準があり、それぞれについて解説します

基準① リュック自体の大きさ(ℓ)

中に入る容量のことで、単位はリットル(ℓ)で表します。

必要な容量の大きさは、登山のスタイルと期間の長さで変わります。例えば、日帰りの登山と山小屋宿泊の登山とでは、山小屋宿泊の方が2日目の着替え等、必要な物が増えるのが分かると思います。

とはいえ、日帰り用と、宿泊用で2つのリュック(ザック)を買わなければいけないわけではありません。リュック(ザック)においてはある程度大は小を兼ねるが成立します。ですので、必要な容量より少し大きいリュック(ザック)を買われても良いでしょう。

基準② 背負う部分の大きさ(cm)

"背面長(はいめんちょう)"と呼び、単位はcmで表します。

登山用のリュック(ザック)は肩ベルト(ショルダーベルト)だけでなく、腰ベルト(ウェストベルト)も使って身体に固定します。この肩ベルトから腰ベルトまでの長さが背面長で、これがご自身の背中の長さに合っているかが大事です。

リュック(ザック)の背面長が背中よりも短いと、ウェストベルトがお腹くらいまで上がってしまいます。

お腹のあたりに腰ベルトがきています

逆にリュック(ザック)の背面長が背中よりも長いと、肩ベルトが浮いて、すき間ができます。

肩ベルトが浮いてしまっています

登山用品店のリュック・ザック売り場には大きな鏡が置いてあるので、フィッティングをし、自分の背面長に合った物を見つけましょう。

3.登山用リュック(ザック)の性能

「普段使用している街用リュックではダメ?」

街用リュックでも両手は空きますが、長時間山道を歩くには不適です

確かに街用リュックでも両手を空けて、荷物を背負うことはできます。絶対にダメとは言いきれませんが、やはり登山用リュック(ザック)は細かい部分まで登山・ハイキングに適した工夫がされており、背負って歩いた時の快適さが大きく違います。

登山用リュック(ザック)の特徴

◆軽くて頑丈
ハイキング・登山時は重い荷物を入れて長時間背負うことが多いため、リュック(ザック)自体が軽量化されています。また、それでいて重い荷物を入れても簡単には壊れないような丈夫な素材で作られています。

◆様々なベルト ※リュック(ザック)によってない場合もあります

街用リュックの多くは「ショルダー(肩)ベルト」のみです。一方で山用のリュック(ザック)は「ウエスト(腰)ベルト」がついているものが多くあり、"腰で背負う"ことが可能です。さらに「チェスト(胸)ベルト」、「ショルダースタビライザー(肩の上の紐)」を引くとさらに安定性が増します。

このように山用のリュック(ザック)には様々なベルトがついており、体からぴったり離れないような工夫がされています。体とリュック(ザック)が一体となると、重い荷物を背負っても安定し、疲れづらい山登りが可能になるのです。

◆その他の便利な機能 ※リュック(ザック)によってない場合もあります

・コンプレッションベルト:リュック(ザック)のサイズは「大は小を兼ねる」と前述しました。コンプレッションベルト(リュックの厚み・高さを調整する紐)は、リュック(ザック)の容量の割に荷物が少ないときに重宝します。このベルトを引っ張るとリュック(ザック)が小さくなり、中の荷物がグラグラと動かないように固定され、安定して歩けるようになります。

・雨蓋(あまぶた):30ℓ前後以上のリュック(ザック)ですと大抵のものに雨蓋と呼ばれる上部を覆うフタが付いており、中に雨が入るのを防いでいます。また、収納するスペースもありますので、頻繁に使うものはここに入れておくと便利です。

・2気室(にきしつ):30ℓ前後のリュック(ザック)ですと、2気室というリュック(ザック)の内部を上下で分割して下からも物を取り出せるモデルがあります。2気室のメリットとしては、荷物の整理と出し入れのしやすさがあり、ジップの開け閉めで1気室に変えられるものもあります。

4.背負い方について

以下の①~④の順序で、身体にフィットさせましょう。

①. 「腰ベルトを締める」

腰ベルトを締める

ザックを背負い、腹部を圧迫しないように腰骨を覆うように腰ベルト(ウエストベルト)を締める。腰部分を締めることで、肩と腰で荷物の重さが分散します。

②. 「肩ベルトの紐を引く」

肩ベルトの紐を引く

肩ベルト(ショルダーベルト)の脇の下の部分をやや後方の下を引く。引きすぎると肩の血流が悪くなるので、腰ベルトが上に上がらない程度に引いて下さい。

③. 「肩の上の紐を引く」

肩の上の紐を引く

ショルダースタビライザーと呼ばれる肩の上の紐を引き、背中近くにザックを寄せます。肩の負担軽減だけでなく、バランスがとりやすく上体の疲労軽減になります。

④. 「胸ベルトを締める」

胸ベルトを締める

最後に、胸にあるベルト(チェストベルト)を締める。これにより、ザックが左右に揺れにくくなります。女性は胸の少し上にくるようにベルトを上下に調整するようにしましょう。

5.パッキングについて

リュックに何をどのように入れるかを解説します

リュック(ザック)の荷物の入れ方によって、体感重量・出し入れのしやすさ・行動しやすさに違いが出ます。ここではパッキングの基本を簡単にご紹介します。

①. 「重いものはリュックの上部かつ背中に近い側に入れる」
ザックの下部に入れてしまうと重く感じ、背中から遠い側に入れてしまうと遠心力で行動中に身体を振られやすくなります。

②. 「頻繁に出す物は上部や雨蓋に入れる」
出し入れに手間や時間がかかると、それだけでストレスになります。

③. 「頻繁に出さないものは真ん中や下部に入れる」
休憩時の防寒着などはザックの真ん中あたりに入れ、山小屋到着後や下山後まで使わない着替えなどは下部に入れておきます。

④. 「同じ用途のもの同士を小分けにして入れる」
衣類・救急用品などの用途毎に、防水機能のある袋に小分けにしてパッキングすると、防水はもちろん、ザックの中も整理されますので快適に行動できます。

6.選び方のポイント・値段の目安・メーカー

実際に登山用品店に行ってみて、登山用リュック(ザック)を選んでみましょう!重要なキーワードは「大きさ」「収納」「安定性」などです。

選び方のポイント

① 自分に合ったサイズのものを選ぶ

左:20リットルのリュック(ザック) 右:30リットルのリュック(ザック)

まずは、リュック(ザック)のサイズを決めましょう。繰り返しになりますが、登山の期間・スタイルによって必要な容量は違います。

必要な容量は下記が目安です
・日帰りの山歩きの場合:20~30リットル
・1泊程度の山小屋泊の場合:30~40リットル
・数泊以上の山小屋泊、テント泊の場合:50リットル以上

初心者の方で、「絶対に日帰りしかやらない!」という方は20~30リットルで良いと思いますが、個人的には30~40リットルのリュック(ザック)を強くお勧めいたします!
理由としては、日帰りでも宿泊でも対応できること、腰ベルト、雨蓋がついているものが多いことなどです。

② 自分の体にフィットする物を選ぶ

フィッティングをして身体にフィットするリュックを探しましょう

こればかりは実際に登山用品店に行っていただき、フィッティングしていただくしかないです。自分の背面長を測ってもらい、サイズに合ったリュック(ザック)を複数背負い比べ、ぴったりとフィットするものを選びましょう。女性用・男性用とサイズが分かれていることも多く、それぞれの体にあったサイズの微調整がされています。

フィッティングの際、下記3点も意識して、自分に合った大きさのリュック(ザック)を探してみてください
1.背面の形状が自分の体に合っているか?
2.肩とショルダーベルトの位置が合っているか?
3.腰と腰ベルト位置が合っているか?

③ 腰ベルトがあるものを選ぶ

腰ベルト付ザック

登山リュック(ザック)の基本は“腰で背負う”です。腰ベルトは30ℓ以上のものであればほとんどについていますが、20ℓ前後のものですと無いものもあります。歩行時の安定性が大きく変わりますので、腰ベルトがあるものを強くお勧めいたします。

④ 値段から選ぶ

値段の目安としては1~3万円台になるでしょう。
上の3つの条件を満たしているものであれば、後はご自身の予算に合わせてリュック(ザック)を探してみてください。

人気のメーカー

最後に、登山者・ハイカーが使用しているのをよく見かける、人気のリュック(ザック)メーカーをご紹介します。

・ミレー(Millet)
・カリマー(karrimor)
・グレゴリー(GREGORY)
・オスプレー(OSPREY)
・ドイター(deuter)
・モンベル(mont-bell)
・ノースフェイス(THE NORTH FACE)
・マムート(MAMMUT)

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