登山・ハイキングの初心者の方へ、服装選び、重ね着・レイヤリング、防寒の方法を登山歴8年以上のスタッフが詳しく解説します。この記事を読むとどんな素材の服を、どの順番で、どのように着れば良いかが分かります。

目次

1.低体温症と服の素材について

服選びを間違えると発症する恐れのある低体温症と、服選びのポイントで重要な服の素材について解説していきます。服の素材を間違えると快適な登山ができないばかりか、場合によっては大きな事故につながるほど、服の素材は重要です。

1-1. 低体温症について

画像: 体を冷やさないよう衣服はドライな状態を保ちましょう

体を冷やさないよう衣服はドライな状態を保ちましょう

まずは山の服選びに密接に関わる、低体温症について解説します。低体温症とは、体の中心部が冷え体温が低下することで、体の正常な機能が保てず様々な症状が起こる症候群です。人間の場合、体温が約35℃を下回ると、「会話に支障が出る」「適切な判断ができなくなる」など、様々な症状が出ると言われ最悪の場合死に繋がる可能性もあります。

低体温症につながる恐れがある「濡れ」

「濡れ」は登山・ハイキング時の低体温症につながる大きな要因です。山の中は平地と比べ、風が強く、気温も低く、逃げ場も少ないため、濡れた状態だと体温は奪われ続けます。低体温症を避けるためには、雨などの外からの濡れはもちろん、汗などの内からの濡れにもしっかりと対処しなければなりません。そのためには適切な服の素材選びが重要です。

1-2. 登山・ハイキング時の服の素材について

避けていただきたい“綿素材”

画像: 山でジーンズは履かないように!

山でジーンズは履かないように!

服装は山用の服を一式揃えるのが理想ではありますが、最初はご自宅にあるもので代用していただく方もいらっしゃると思います。

その場合でも、絶対に避けていただきたい服の素材が“綿素材”です。理由は、綿素材は水に濡れると乾きづらいためです。洗濯物を干すと、トレーナーやジーンズ等の厚手の綿製品が乾きづらいというのは感覚的にお分かりいただけると思います。

山歩き中は体が熱くなり汗を大量にかくことがほとんどです。山頂などでじっとしている際に汗で濡れた衣服が体を一気に冷やしてしまい、低体温症につながる恐れがあります。

服の素材の選び方のポイント

それではどんな特徴をもつ素材が登山・ハイキングの服に必要かのポイントをお伝えいたします。
山の素材に必要な条件は以下の4点です。※レインウェア(雨具)以外

①吸汗性(汗を吸い取る)
登山、ハイキング時は汗をかきます。吸汗性がないと、体に濡れたシャツが張り付いたような状態になってしまいます。まずはしっかりと汗を吸い取ることが必要な条件です。

②速乾性(すぐ乾く)
しかし吸汗性だけでは不十分です。せっかく服が汗を吸い取ってくれても、服に速乾性がないといつまでも濡れた状態で体を冷やし続けてます。吸った汗をすぐに乾かしてくれる速乾性は、肌に直接着る肌着において一番重要なポイントです。

③伸縮性(動きやすい)
登山、ハイキング時は体を動かし続けます。服に伸縮性がないと、体をスムーズに動かすことができず、危険箇所で思わぬ怪我をしてしまう恐れがあります。足を動かし続ける登山・ハイキングにおいて、特にズボン選びではこの伸縮性も気をつけていただきたいポイントです。

④保温性(暖かい)
風が強く気温も低い山頂など、体を暖め保温をする必要のある場面も出てきます。季節・標高によっては、保温性のある防寒着を持参する必要があります。

おすすめの素材:ポリエステル、メリノウール

それでは、以上4つの条件を満たす素材とは?
結論から言いますと、「ポリエステル」「メリノウール」がおすすめです。

ポリエステル

画像: ポリエステルのTシャツ

ポリエステルのTシャツ

「山の服は化学繊維が良い」とよく言われますが、その代表格がポリエステルです。
ポリエステルの特徴は、繊維の中に水分が入り込まず、汗が生地に触れるとすぐに拡散され蒸発するという点です。他にも軽くて丈夫、比較的安価ということもあり、肌着から防寒着まで多くの登山用の服にポリエステルは使用されています。

メリノウール

画像: 高級な羊毛です

高級な羊毛です

メリノ種という羊の毛から取られた天然の素材のことをさします。
メリノウールの特徴は吸汗・速乾性に加え、高い保温性です。特に標高の高い場所や冬場などでは非常に重宝する素材といえます。ただし、速乾性に関してはポリエステルほどはなく、高価なものが多いです。初心者の方は山に慣れてきたタイミングで、防寒着としてメリノウールを検討されると良いでしょう。

2. レイヤリング(重ね着)について

レイヤリングとは重ね着のことをさします。山での防寒はレイヤリング(重ね着)ですることがポイントです。

レイヤリング(重ね着)のポイント

・寒ければ着る、暑ければ脱ぐを徹底すること
・歩くと体は熱くなってきますので、歩き始めは肌寒いくらいでスタート
・下着で防寒しすぎない(熱くなっても下着は脱げません)

こまめな着脱でその場の環境に合わせることで、常に汗をかきづらい状態を保つことが、理想のレイヤリング(重ね着)です!

上半身の衣服のレイヤリングにおける3層構造

それでは、上半身のレイヤリング(重ね着)について、具体的に説明いたします。
レイヤリング(重ね着)は大きく分けると3層に分けられ、それぞれの役割に合った服を選ぶことが必要になります。3層とは具体的には下記の3つになります。

①:ベースレイヤー(肌着)
②:ミドルレイヤー(中間着)
③:アウターレイヤー(上着)

2-1. ベースレイヤー

肌に直接着る肌着、およびその上のシャツ類のことをさします。
ベースレイヤーで重要なことは吸汗性速乾性です。汗をかく肌に一番近い服になりますので、しっかりと汗を吸い取り、乾かしてくれるポリエステルなどの化学繊維を選びましょう。
※間違っても肌の上に直接着る肌着は綿製品を選ばないでください!

また、ユニクロのヒートテック等の保温性の高い肌着は山ではNGです。理由は体を動かすと体が熱くなりますが、それが強く助長されすぎて汗だくになり、逆に冷えの原因となります。

画像: 吸水性と速乾性をそなえた山用の下着もあります

吸水性と速乾性をそなえた山用の下着もあります

2-2. ミドルレイヤー

防寒着のことをさします。夏の低山など30℃近い登山・ハイキング以外では基本的には必要になります。
ベースレイヤーの上に着る長袖シャツ等もミドルレイヤーに含まれることがありますが、今回はさらにその上に着る、フリースやダウンなどの防寒着を説明いたします。

ミドルレイヤー(防寒着)で重要なことは保温性軽さです。寒く感じたら防寒着を着て、暑く感じたら防寒着を脱ぐ、これを適宜行うことで温度調節をします。着脱をする機会が多い服ですので前のジップを開け閉めできる、フロントジップタイプの防寒着がおすすめです。また、着ていないときはザックに入れますので、軽いものだと登山の負担を少なくすることができます。

画像: 前のジップで開け閉めできる服がフロントジップタイプです

前のジップで開け閉めできる服がフロントジップタイプです

代表的なミドルレイヤー「フリース」「ダウン」

防寒着は様々な種類がありますが、「フリース」と「ダウン」が代表的です。
それぞれ特徴が異なりますので、ご自分に合ったものをお選びください。

フリースの特徴

画像: フリース

フリース

簡潔にメリットを言いますと、「扱いやすさ」になります。具体的には下記のような特徴があり、多少乱雑に扱ってもあまり問題がありません。

・濡れても大丈夫
・気軽に洗濯できる
・伸縮性があり動きやすい
・破れにくい

また、フリースには通気性がありますので、歩いている時に着ていても体の熱を外に逃がしてくれるという特徴もあります。ポリエステルでできていることが多いので、速乾性もあります。

しかし、デメリットとしては、ダウンと比較すると重くてかさばることが多いです。

ダウンの特徴

画像: ライトダウン

ライトダウン

保温性軽さはフリースと比べると優れています。
また、たたむとコンパクトに収納できるので、ザックの中がかさばりにくいという特徴もあります。

画像: ここまでコンパクトに収納できるものもあります

ここまでコンパクトに収納できるものもあります

しかし、デメリットとしては羽毛などの天然素材でできているため「扱いづらさ」があり、具体的には下記の特徴があります。

・濡れてしまうと保温力がなくなる
・洗濯がしづらい ※洗濯機で洗えないなど
・伸縮性があまりなく動きづらい
・破れやすく、破れてしまうと保温力がなくなる

また、保温力が高く熱を外に逃がさないため、ダウンを着ながら歩いていると暑くなりすぎてしまうという特徴もあります。

最近では、ダウンの扱いづらさを解消した、化学繊維でできたダウンも多く販売されるようになりました。扱いやすさ、保温力等、フリースとダウンの中間の機能を備えた防寒着になります。

フリースとライトダウン どっちが良いの?

画像: 代表的なミドルレイヤー「フリース」「ダウン」

それぞれに特徴がありますので、用途によって使い分けてください!

・フリース:歩行中に使用
歩行中に寒さを感じた際に着るのに適しています。ただし、冬山や富士山などの標高の高い山では保温性が足りないことがありますので、ダウンとの併用が必要です。

・ダウン:じっとしている時に使用
歩行中の使用は適していませんので、山頂や休憩中などじっとしている時に使用するのが良いでしょう。ダウンだけで防寒するのではなく、フリースの保温力が足りない場合の補助としての役割がオススメです。

しかし、初心者の方が挑戦する山ではダウンまでの防寒は不要なことが多いです。フリースとアウターレイヤーで、ある程度の防寒は可能ですのでまずは扱いやすいフリースを防寒着として一着ご用意いただくことをオススメします。

2-3. アウターレイヤー

一番外側に着るジャケットで、いわゆる雨具(レインウェア)のことをさします。
雨以外の日も、防寒・防風対策としてアウターレイヤーは登山・ハイキング時に大活躍します。
アウターレイヤーで重要なことは防水性防風性透湿性です。詳しくは雨具・レインウェアの解説をご覧ください。

2-4. 下半身の衣服

画像: ズボンもポリエステル製のものがオススメ

ズボンもポリエステル製のものがオススメ

山用のズボンがオススメです

初心者の方はまずは山用のズボンがおすすめです。素材はポリエステルでできていることが多く、吸汗性、速乾性、伸縮性があります。特に下半身は歩く際に動かし続けますので、伸縮性があり歩きやすいものをお選びください。

なお、山用のズボンの下に肌着としてタイツを履く方もいらっしゃいますが、直接履く方もいらっしゃいます。また、雨具(レインウェア)の下は防寒着としても使用できます。

綿素材はズボンでもNGです

ジーンズなどの綿素材は速乾性、伸縮性がなく、山では絶対に避けていただきたい服の一つです。

「山スカート」or「ハーフパンツ」+「タイツ」の組み合わせも

画像: タイツの上にスカートやハーフパンツをはく方もいらっしゃいます
タイツの上にスカートやハーフパンツをはく方もいらっしゃいます

女性の場合は「山スカート+タイツ(またはサポートタイツ)」、男性は「ハーフパンツ+タイツ(またはサポートタイツ)」の組み合わせは若い人を中心に流行しています。

(終わりに)要点を押さえてお好みのコーディネートを楽しもう!

画像: (終わりに)要点を押さえてお好みのコーディネートを楽しもう!

以上、服装選び、レイヤリングのポイントについて説明いたしました。

なお、登山用品店に行けば、様々なデザインの服が多数販売されています。これまで述べた要点しっかりと押さえていただければ、後はご自身の好きな服選びを楽しみましょう!

おしゃれも適度に楽しみ、皆様の登山ライフに彩りを与えてみてくださいね♪

こちらのページもご覧ください

山における3種の神器の解説はこちら

雨具・レインウェアの選び方
登山靴・トレッキングシューズの選び方
リュック・ザックの選び方

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