今シリーズ、世界の風呂で「ととのう」では、一度は訪れたい世界の様々な国の風呂文化をご紹介します。風呂を通じて心も身体も「ととのって」、その国の魅力や文化に興味を持ち、お出かけしたいなと思っていただくきっかけになれば幸いです。
今シリーズでの「ととのう」とは、世界の風呂に触れてリラックスすることで、心と身体が潤い、わくわくする気持ちになる、という意味で発信します。お風呂同様、リラックスしてご覧ください♪
はじめに
クラブツーリズムの海外担当です。世界の風呂に「ととのい」、その国を知る。
前回第1回目の世界の風呂で「ととのう」では、ヨーロッパのアイスランドの風呂をご紹介しました。今回はヨーロッパとは異なった方面の風呂に入りにいきましょう♪
▼過去の記事はこちらから。
ラストフロンティアの風呂で「ととのう」
第2回目の今回は、アメリカのアラスカ州にある、北米を代表するチェナ温泉をご紹介します。
チェナ温泉のあるアラスカ州はアメリカ合衆国49番目の州で、アメリカの中で一番広大な面積を誇り、なんとひとつの州で日本の約4倍の土地が広がります。
そんな広大な大地には手つかずの自然が広がっており、アラスカ州全土の34%が国立公園や国立保護区、国定公園、国定野生保護区に指定されています。またアラスカ州全土の32%が森林に覆われた緑と水の豊かな地域です。
目に入る景色全てが絶景なのではというくらいの雄大で美しい自然の景観が広がることから、アラスカは地球上最後の未開の地を意味するラストフロンティアとも呼ばれています。
そんなアラスカ州の中央部に位置するのが第2の都市フェアバンクス。
自然に囲まれたこの地ではラフティングやカヤックなどの川遊び、ゴルフ、釣り、スキーやスノーモービル、野生動物観察など、自然を満喫する様々な楽しみ方があります。
また、北極圏から約160キロと、地球上でも北端に位置するフェアバンクスは冬には厳しい寒さとなる場所です。
そのフェアバンクスから是非訪れてみたい風呂が自然豊かな場所にあり、一年を通して楽しめる「チェナ温泉」です。
チェナ温泉ってどんなところ!?
チェナ温泉は最寄りの町であるフェアバンクスから約100キロ離れた場所にあり、一本道の最終地点にあるリゾート地です。その道のリゾート側約半分の道のりには、殆ど人家も店舗も無い大自然の中にあるという立地から、現在でも電気、ガス、水道など公共機関や設備の届いていない場所になります。チェナ温泉はそんな人里離れた大自然の中にある知る人ぞ知る秘湯です。
第2の都市フェアバンクスから約100キロの大自然に位置し、ハイキングやフィッシングなどが楽しめて大自然の美しさを感じることができるチェナ温泉リゾート。
お部屋は冬でも自家発電の電気暖房と温泉水で暖かく、蛇口からは地下水からの水もお湯も出てきて快適にお過ごし頂けます。
そんな大自然の中にあるチェナ温泉は、北米では非常に珍しい「源泉掛け流し」となっています。そして幅は約43mもあり、北米でも大きな規模の温泉です。
北極圏に近いこともあり、冬の外気温がなんとマイナス40度にもなることも!濡れたタオルを回すとすぐカチカチに凍り、湯気も凍って髪やまつ毛が真っ白になります。
そこまで冷える気温の中で入浴するお風呂なんて、日本ではなかなか体験できない、北米の風呂ならではだね。
チェナ温泉は「チェナホットスプリングスリゾート」で入浴でき、日帰り入浴も可能ですが、せっかくなので是非宿泊して頂く事をお勧めします!
日帰り入浴は1日券が大人15ドル(約1,600円※2021年1月時点)ですが、宿泊者はチェックアウトまで無料で何度でも入れます。
しかも温泉施設は朝7時~深夜12時まで利用可能なので、朝から夜まで1日中温泉が楽しめます♪
ゴールドラッシュに沸き、温泉ラッシュに湧く
チェナ温泉は100年以上も前に発見されたんじゃ
チェナ温泉が知られるようになったのは約100年以上も前のことです。
かつてゴールドラッシュで栄えていた時代、金鉱探索者であったロバート・スワンとトーマス・スワンの兄弟は、チェナ川上流の谷に蒸気が立ち昇る噂を聞くと、フェアバンクスからチェナ川をボートで上っていきました。そして約1か月半かけた1905年8月5日、ついに温泉を発見したのです。
当時フェアバンクスからチェナ温泉への移動は、天候や道の状態によってなんと1週間から3週間もかかっていました。
そんな道のりも1911年に補修工事が行われ、この整備のおかげでチェナ温泉までの道のりは犬ぞりでの旅に最適で、約20時間と短縮されました。
現在はフェアバンクスから車で1時間半の道のりも、当時は犬ぞりで1日近くかかってたんだね。
当時のフェアバンクスはゴールドラッシュで沸いて成長していましたが、娯楽がまだ少なかった時代でした。チェナ温泉が発見され整備が整うと、フェアバンクスの人々にとってブームとなり、湯治と憩いの場を求めて、どっと押し寄せてくるようになり「温泉ラッシュ」が始まりました。
リラクゼーションが最大の効能
チェナ温泉のお湯はどんなことに効くのかしら!?
チェナ温泉の特徴は硫酸塩、塩素、そして重炭酸塩ナトリウムで、冷え性、リューマチ、成人病などに効能があると言われています。
チェナ温泉を発見したスワン兄弟も、リューマチからくる痛みを癒す場所を探して、立ち昇る蒸気を目指す旅に出かけました。かつてゴールドラッシュの時代、鉱山師の湯治にも使われていたそうで泉質も良質です。
また、何といっても温泉の効能プラス、アラスカの澄み切った空気と美しい自然環境によって、日頃のストレスから解放される「リラクゼーション効果」がチェナ温泉の最大の効能ではないでしょうか。
日本の温泉との違いは!?
①アメリカンスタイルの入浴
座ってゆっくり浸かる日本風の風呂とは違い、プールのような深さがあるので立ちながらの入浴スタイルになります。そのようなこともあり、17歳以下の方は露天風呂への入浴は出来ず、大人の温泉リゾートになっています。入浴の際は水着着用が必要です。
②場所によって異なる湯加減
源泉温度が70度の高温泉であるチェナ温泉は、水温が約39~41度ほどの硫黄泉です。大きな温泉で表面積が広いため、露天風呂の中を歩いていると場所によって温度の違いがあり、場所によっては熱~いところも!お好きな温度のポイントを見つけて入浴をお楽しみください♪
③ムース(ヘラジカ)も温泉好き!?な、こぼれ話
これは、弊社スタッフがチェナ温泉に行ったときに聞いた話です。
ある人が朝、温泉に入ろうと施設に向かうと、露天岩風呂の近くで朝靄の中に大きな影を見つけました。近づいてみると、そこには何と大きなムースが!しかも温泉を飲んでいる!?
その人は驚いて温泉には入らず部屋に戻ったそうです。
チェナ温泉は大自然の中にあり、野生動物も良く見られるので、ムースがいても不思議ではありません。ただ、その人は寝起きで朝靄も濃く、動物がムースだったのか確信がないそうです。
ムースは温泉を飲むのか!?果たしてそれはムースだったのか!?
信じるか信じないかはあなた次第です・・・。
アメリカの動物たちも温泉が好きなのかな~!?
ムースが温泉に来るなんて、規模が大きいアメリカならではだね!
朝起きて少し散歩をしようと外に出たら、野生のムースに遭遇して感激した!
チェナ温泉の「ととのう」ポイント!
①四季の彩りに「ととのう」
大自然の深い森に囲まれたチェナ温泉は、季節ごとの彩りが目を楽しませてくれます。
9月上旬頃にはチェナ温泉リゾートも秋色に包まれ、白樺やポプラなど黄葉の綺麗な黄色に彩られます。
チェナ温泉の近くにはエンジェル・ロック・トレイルといった黄葉の木々の中を歩き、チェナ川周辺に広がる丘陵地帯も一望できるチェナ州立公園があるなど、季節の移ろいを感じられる自然に溢れています。
そんな自然と一つになった感覚を味わいながら入浴できるのが、チェナ温泉の魅力のひとつではないでしょうか。
②オーロラに「ととのう」
なんといってもアラスカ州はオーロラの観測地として有名ですが、フェアバンクスは高い晴天率を誇ることで、アラスカ州の中でも人気のオーロラの観測地としても有名です。
オーロラ観測にお勧めのシーズンは日照時間が短くなる8月下旬~3月です。
フェアバンクスから北東へ約100キロにあるチェナ温泉も、深い森の中に位置し町明かりの影響を受けることがない、人気のオーロラ観測地です。
チェナ温泉自体がオーロラ観測地なので、お部屋を出れば、そこはもう立派なオーロラ観測地!
チェナ温泉リゾートは、宿泊棟から徒歩数分で行ける24時間開放のアクティビティセンターに待機場所があり、時間の制約なくオーロラ観測のチャンス!
また、温泉に浸かりながらオーロラが見られるのか!?
温泉から見える頭上の空に非常に明るいオーロラが出た場合は、温泉の湯気が立ち上っていても、オーロラが出ていることに気がつくことがあります。
運が良ければ、温泉に浸かりながらオーロラ観賞、なんとも贅沢な時間ですね♪
温泉に入りながらオーロラを見られるなんて想像しただけでも、ととのっちゃうね♪
温泉も良かったが、自分の満足が行くまでオーロラ観賞出来るところが良かった。
弊社スタッフがお勧めするチェナ温泉満喫ポイント!
①温泉あり、大自然あり、動物あり、オーロラあり、美味しい食あり!
「山奥の秘湯で宿泊したら退屈しないか?」と思われた方、ご心配なく!
チェナ温泉には温泉以外にもアラスカならでは大自然を満喫できるアクティビティが充実しています!夏はハイキング、冬はオーロラ観賞など1年中楽しめて、ご自身の好きな過ごし方ができます。
ゆったりと滞在できる場所なので、これからはWi-Fiを利用して空いた時間にちょっとお仕事、なんてワーケーションな過ごし方も良いかもしれないですね。
それでは旅行の時期に迷った方に、個人的にお勧めな時期を2つご紹介します。
【おすすめ時期①】冬:12~3月
冬は何と言ってもオーロラ観賞にもってこいの時期です。
せっかくアラスカ州まで来たのだから、オーロラを高確率で見たい!という方にオススメ。特に1~2月頃は例年天候が安定しやすい時期になるので、オーロラ観賞にお勧めです。チェナ温泉ではリゾートの敷地内からもオーロラ観賞が出来るので、思う存分オーロラを待つことができます!
気温がマイナス40℃になることもあり、日本ではなかなか出来ない濡れタオル回しなど極寒体験もできます。また、冬季はアラスカの州技でもある犬ぞり体験(有料)も楽しめます。
気温マイナス30℃の中、温泉に入れるのか心配だったが、寒いのは一瞬だけで大きな露天岩風呂はとても気持ちが良かった。温泉効果の為か出た後もしばらく体がぽかぽかで室内にいると暑いくらい(笑)。一度は訪れてほしい温泉です!
【おすすめ時期②】秋:8月下旬~9月中旬
寒さが苦手な方や、オーロラも自然も楽しみたい方にお勧めなのが秋です。
この時期は日中の気温が20℃くらいまで上がる日もあり、リゾート内の木々が紅葉、黄葉するので大自然の中の散策やウォーキングが楽しめます。
オーロラもこの頃から見えるようになるので、夜はオーロラ観賞も楽しめます。
夜は気温5℃以下になることもありますが、冬のような極寒体験はできません。
でもご安心を!リゾート内には「アイスミュージアム」という氷の博物館(有料)があります。
室内が1年中マイナス7℃に保たれており、氷で出来た彫刻やベッド、バーカウンターなどがあり、冬以外でも寒いアラスカが体験できます。
②チェナ温泉は食事もおすすめ!
ハリバット(北洋カレイ)や日本ではお目にかかれないような大きなタラバガ二などアラスカならではの料理が味わえます。
料理と一緒にビールもお勧めです。アラスカで定番人気の「アラスカン・アンバー」や黒ビール「オートミール・スタウト」などアラスカ産ビールも楽しめます♪レストラン建物内にバーもあるので、温泉で温まった後、冷えたビールで一杯!というのもチェナ温泉ならでは!
またアラスカなのに、日本にいるようでどこか懐かしい不思議な感覚になる温泉です。(リゾート内に日本人スタッフがおり、日本語メニューや日本語表記も多く安心、山奥なのであまり人に会わないから)
レストランで出たカニが大きく大満足!足2本でお腹いっぱいになりました!
あと犬ぞり体験が面白かった。犬がお利口で可愛いかった!
③覚えておきたいチェナ温泉の豆知識
・野菜の栽培にも活用
チェナ温泉内のレストランではサラダにレタスやトマトなどの野菜も多く使われています。
この野菜、実はリゾート内の温室菜園で作られています。温泉の地熱を利用したビニールハウスで、真冬の外気マイナス40℃でもビニールハウス内は常に27℃の温度が保たれています。
その為、極北の地・アラスカでもリゾート内では、1年中新鮮な野菜が栽培・収穫出来るのです!
・摩訶不思議!?アイスミュージアム
冬のアラスカの気温はマイナス40℃にもなる極寒ですが、夏は気温30℃を超える事もよくあります。そんな中でもアイスミュージアムは、年中室温マイナス7℃を維持して1年中氷の世界を楽しむことができます。
真夏でもこの室温を維持できる理由は、特殊冷却装置を使っているからです。この冷却装置、何とチェナ温泉の地熱を使っているのです!温かい温泉を利用して極寒空間を作るなんて驚きですよね。
ちなみにチェナ温泉のリゾート内は、全て温泉の地熱を利用した100%自家発電なんですよ!
おわりに
2回目の、世界の風呂で「ととのう」ご覧いただきありがとうございました!北米を代表するチェナ温泉は、そのアメリカやアラスカ州の大きさの通り、広大な大自然に囲まれた温泉リゾートです。温泉にゆっくり浸かるだけでなく、黄葉、オーロラ、ハイキング、スノーアクティビティなどご自身の好きな過ごし方で楽しむことができます。今年は是非、アラスカの大自然に触れて、オーロラを見ながらチェナ温泉でととのいたいものですね♪
次回のブログは1月29日頃を予定しています!是非ご覧ください!
【好奇心で旅する海外】 テーマシリーズ公開中!
<芸術百華>
『イタリア芸術』
<歴史の時間>
『え~?これも三国志?!』
<世界遺産浪漫>
『世界遺産〇〇5選』
<船旅チャンネル>
『欧羅巴リバークルーズ』
<癒しの空間>
『世界の風呂でととのう』
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