世界には「一度は乗ってみたい!」と多くの方が憧れる特徴ある鉄道がたくさんあります。鉄道ファンはもちろん、そうでない方も、大自然の中、変わりゆく車窓の景色を楽しみながらゆったりと流れる時間を過ごす鉄道旅は、旅人の数だけあるドラマがあり、とても贅沢な体験です。
<鉄旅チャンネル>シリーズでは、世界の豪華列車・縦断/横断鉄道・そんなところ走るの?とビックリしてしまうユニークな鉄道…、車内の様子・食事・車窓の景色や途中下車の観光内容等、ご紹介したいと思います!「いつの日かの海外旅行再開」に想いを馳せて、お楽しみいただければ幸いです。

世界の大陸横断鉄道

「大陸横断鉄道」は、きっと皆様聞いたことがあると思います。アメリカを横断する「アムトラック」や、ユーラシア大陸を横断する「シベリア鉄道」が有名ですね。

突然ですが、ここでクイズです!
世界にはいくつの大陸横断鉄道があるでしょうか?(クリックすると答えが表示されます)

世界で唯一の大陸 “縦断” 鉄道!

大陸横断鉄道は世界にいくつかあることが分かりましたが、実は…、大陸縦断鉄道世界にひとつしかありません。それがオーストラリア大陸を縦断する「ザ・ガン号(以下ガン号)」です!北はダーウィンから南はアデレードまでの2,979kmを約3日間(54時間)かけて踏破します。

路線図(Journey Beyond社より)

ステンレス製の車体が美しい客車を、真紅のディーゼル機関車が牽引するガン号は、週に1〜2便、平均速度85km・最高でも115kmでひた走ります。非電化区間がほとんどでゆったりとしたスピードが中心なので「移動手段」としては決して実用的ではなく「移動そのものが旅の目的」と言えます。

世界で唯一の大陸縦断鉄道ザ・ガン号 最長40両編成、全長は1km近くにもなることも!

「THE GHAN(ザ・ガン号)」名の由来

ラクダの隊列(列車内の展示物より/イメージ)

当時の様子(列車内の展示物より/イメージ)

19世紀、今から150年以上前に、それまで手付かずでしたレッドセンターと呼ばれる中央部の開拓が進められた時期に、広大な砂漠地帯を踏破するためにアフガニスタンから輸入されたのがラクダでした。そんな未開の地の探検を助けたラクダとその開拓者に敬意を表し、つけられた名「アフガンエクスプレス」が短くなり、現在の列車名「THE GHAN(ザ・ガン号)」となりました。機関車正面と客車の側面にはラクダのシンボルマークが掲げられ、開拓時代の風景を今に伝えています。

大陸縦断鉄道、全線が開通したのはわずか17年前?

アデレードとダーウィンを結ぶガン号の建設が始まったのは1878年それから約50年の歳月を経て、1929年アリススプリングスまで到達し運行開始しましたが、資金難で頓挫。それから実に70年以上も経ち、ダーウィンまでの全線開通工事がようやく始まったのが2001年、そしてやっとやっと2004年に完成「世界初の大陸縦断列車」が誕生しました!
(ちなみにダーウィン中心部には、全長最大1kmにも及ぶ編成が乗り入れられるスペースがなく、20km離れた郊外にガン号専用の駅が新設されました。駅とはいえ改札はなくチェックインしたチケットを乗車口で提示し乗車する形です)

当記事では、クラブツーリズム入社前にオーストラリアに3年間住んでおりました “オーストラリアをこよなく愛する担当者” が、アデレードからダーウィンまでの鉄道旅をご紹介します!

アデレード駅から北上していきましょう!

南オーストラリア州の州都アデレードは、豊かな自然に囲まれており、芸術、スポーツ、ワイン、そしてスローなライフスタイルの街としても知られています。そんなアデレード駅をお昼過ぎの12:15に出発し、ダーウィンまでは2泊3日の旅。まずは気になる車内。メインで過ごす客室とレストランはこんな感じです。現在、客室はプラチナクラス(ファーストクラス相当)とゴールドクラス(ビジネスクラス相当/ツインルーム・シングルルーム)がございます。今回はゴールドクラスのツインルームについてご紹介します。日中は快適な3名がけソファが夜は2段ベッドになります。基本は「2名1室」ですが、追加料金を支払えば「1名1室」での利用も可能です。

↑ ゴールドクラス客室内(イメージ)「何もない」がどこまでも続く、なんとも贅沢な時間…

→ ゴールドクラス客室内(イメージ)

毎回のお食事は、古き良き時代の優雅な雰囲気が残る食堂車“走るファーストクラスレストラン”とも称される「クイーンアデレードレストラン」にて、その時走っているその土地の地元産食材にこだわったメニューが提供されます!例えば、カンガルービーフのステーキ(オーストラリア産ワインのぶどう品種シラーズのソースがけ ※カンガルー肉美味しいです!)、デザートには「ユーカリの花の蜜で作ったムース」等…、前菜・メイン・デザート共に3種類から好みに合わせて選べるのも嬉しいですね。列車滞在中は、ほぼ全てのアルコールやソフトドリンク、コーヒー等は、すべて費用に含まれております!嬉しいポイントですね。

創作オーストラリア料理が提供される(イメージ)

厳選オーストラリア産ワインも美味!(イメージ)

【おまけ】魅惑の地下都市「クーバーピディー」を通過!

ガン号では通過してしまうのですが、途中「ロマンあふれる地下都市」がありますのでちょっとご紹介します。1915年に初めてオパールが見つかって以来「オパールの街」として有名で、世界のオパール産出量の内95%はここで採れるとか。夏は50度以上、冬は氷点下という過酷な気候の為、かつて一獲千金を求めてこの地に来た人々は岩壁をくりぬいたり、地下に穴を掘って住居を作りました。現在はエアコンの普及により地下に住んでいる人は少ないと言われますが、かつて築かれた「地下都市」は現在では「地下ホテル」や「地下レストラン」に生まれ変わりました。ちなみに、「クーバーピディー(Coober Pedy)」は、先住民族の言葉で「白人達のもぐる穴」を意味しています。

異星に来てしまったような地底都市クーバーピディー/ブレイカウェイズ自然保護区

「地下レストラン」の様子(共に©️オーストラリア政府観光局)

少し脱線しましたが…、翌朝目が覚めると、遥か遠くの地平線から昇り輝く朝日に心を打たれ、乾ききった赤土がひたすら広がるレッドセンター地帯に目を奪われます。朝早い時間には、列車と並走するカンガルーやエミューを見られるかもしれません!

中間地点まで到達! 【途中下車】アリススプリングス駅

飛行機に乗ってしまえば2時間で着くところを約25時間をかけ、翌日の13:45、アリススプリングス駅に到着しました。広大なオーストラリア大陸のほぼ中央、中間地点です。
ここは、有名な観光地・世界最大級の一枚岩エアーズロックの玄関口ではありますが、片道450km離れているので約3時間半の停車時間では辿り着く事すらできませんし、ガン号の車窓から見る事もできません。その為、一旦完全に下車し次の列車までの数日間で、エアーズロックまでの小旅行を楽しむ方もいらっしゃいます。

その途中下車時間には「無料の下車観光バスツアー」(アリススプリングス市内観光や、自然動物公園の散策等)もございますが、今回は過去にお客様をご案内し好評でしたおすすめスポットをご紹介します!

①ザ・ガン号保存協会博物館

初代ガン号/中にも入れます!(スタッフ大熊撮影)

歴代の展示物が沢山あり興味津々(スタッフ大熊撮影)

②アンザックヒル(展望スポット)

戦争記念碑のある「アンザックヒル」からの眺め(スタッフ大熊撮影)
アリススプリングスのシンボル・マクドネル山脈。その少し手前には、停車中のガン号も見えます!

③先頭車両で記念撮影!

真っ赤な先頭車両が印象的なガン号先頭車両(スタッフ大熊撮影)
車両の長さにより行けない場合もあるのですが、この日はアクセスできました!ラッキー!

2019年にはクラブツーリズムでこのガン号を6車両貸し切るスペシャルツアーを催行しました!アリススプリングス駅にてご参加の皆様♪(スタッフ撮影)

✨ 列車の窓から望む星空は格別! ✨

星空/南十字星(イメージ)

下車観光や美味しい食事にお酒も堪能し、浪漫あふれる鉄道での時間。夜は疲れも出ますが、普通に寝てしまったらもったいない!お休みになる支度ができたら、枕を窓側にし、お部屋のライトを消して夜空を眺めてみてください。満天の星に天の川や南十字星も見られるかも。車窓から流れゆく美しい星空を眺めるとびっきりの「非日常な時間」です。

【途中下車】キャサリン駅/絶景の渓谷美ニトミルク国立公園

旅は3日目朝9:00、見事な断崖絶壁が美しいキャサリン駅で約4時間半途中下車し、キャサリン渓谷クルーズ(参加料金は組み込み)に。ガン号スタッフと一緒に観光へ出かけます!

とても愉快なガン号のスタッフは、船のガイドさんに!(共にスタッフ大熊撮影)

キャサリン川に侵食された渓谷の高さは70mを超える断崖絶壁野生のワニが見られる事も。散策ルートでは、岩肌に太古から残る先住民族の壁画も見る事ができます。

いよいよ最後の乗車区間

ダーウィンが近づいて来るとユーカリやアカシアの木々の合間に巨大なあり塚が林立するトップエンド(北部)らしい風景へと、景色の移ろいが変わっていきます。最後の4時間は、皆様客室やラウンジ車で思い思いくつろいでいらっしゃいます。到着まであと少しと思うと時間が経つのが惜しいものです。

居心地の良いラウンジ車では、ワインやカクテル・コーヒーも楽しめます

弊社公式キャラクター「くまぶー」を持って下さるフレンドリーな乗務員(共に弊社スタッフ撮影)

列車内のモニター(スタッフ大熊撮影)

モニターを見ると今どこを走っているかが分かります。少しずつラインが伸びてゆくのが何とも感慨深いです。荷物の整理もバッチリ終え、間もなくダーウィンに到着です!

北部ダーウィン駅に到着!

「列車で3日間なんて時間を持て余して暇かなぁ〜」なんて思っていましたが、とんでもない。出会った旅人や乗務員さんとの会話を楽しんだり、本を読んだり、日記を書いたり、道中撮った写真を見返したり、車窓の景色をひたすら堪能したり…、2泊3日のガン号での旅はビックリする程あっという間で名残惜しい思いしかありませんが、贅沢で貴重な時間、そして素晴らしい思い出ができますね。

▼ ぜひ、映像でもお楽しみください!(©️JOURNEY BEYOND)

ザ・ガン号イメージ動画

youtu.be

【おまけ】線路に並行して走る大陸縦断幹線道路も

実はこの路線に寄り添うように大陸を縦断している幹線道路も!その名は「スチュワート・ハイウェイ」。ヨーロッパ人として初めて大陸縦断を敢行し、北部エリアの開拓に貢献した探検家ジョン・マクドネル・スチュワートにちなんでいます。

ガン号走行中も、時々見る事ができます。物資を運搬されている長距離トラックのドライバーさんが手を振ってくれる事も!

おわりに

「世界の魅力的な鉄道」の1回目のブログとして、オーストラリアの「ザ・ガン号」をご紹介いたしました。鉄道好きな皆様に、オーストラリア大陸縦断の旅に、ご案内できる日が早く来ますように…。
次回は、せっかくですのでオーストラリアの大陸 “横断” 鉄道「インディアン・パシフィック号」も!配信は、2月下旬頃の予定です。ぜひ、お楽しみに♪

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