オペラの始まり
オペラは16世紀末、フィレンツェでギリシャ悲劇を復興させようという機運の中で、歌を取り入れた演劇が上演されたことが始まりです。その後貴族社会の娯楽としてイタリア各地で上演されるようになり、やがてアルプスを越えて広がり、ウィーン、ドレスデン、ミュンヘンなどの宮廷で栄えることになります。その後フランス革命を経て市民勢力が台頭する中、モーツァルトが初めて一般市民向けに作曲した「魔笛」を経て、市民の娯楽として愛され、今日に至っています。
歌劇場は社交場
貴族から市民の手に移ったオペラですが、今も昔も変わらないのがオペラを楽しむ歌劇場が持つ「社交場」としての役割です。以前歌劇場は、貴族たちが着飾って集う場でしたが、市民がお洒落を楽しむ場として受け継がれました。そして歌劇場を訪れる観客が醸し出す華やいだ雰囲気が最も自然に溶け込むのが、伝統的な歌劇場なのです。オペラでは優れた歌手の歌声、オーケストラの演奏だけでなく、それを楽しむ雰囲気も求められます。その雰囲気が漂う海外の本場の歌劇場で鑑賞することが、音楽旅行の醍醐味ともいえるでしょう。
ドレスデンのオペラ
ドレスデンのオペラの歴史は、宮廷楽長H.シュッツが、ドイツ最初のオペラ作品「ダフネ」を作曲して初演した1627年に遡ります。そしてゼンパー歌劇場の前身である最初の歌劇場が建てられたのは、1667年1月27日です。その後ドレスデンが大きな繁栄を遂げた18世紀初には、本格的な歌劇場が完成し、イタリア・オペラが盛んに上演されました。
ワーグナーとR.シュトラウス
1817年~1826年、宮廷楽長を務めたウェーバーが、「魔弾の射手」などドイツ語によるオペラを作曲し、上演するようになってから、ドレスデンはドイツ・オペラの中心的な役割を担うようになります。1843年に宮廷楽長に迎えられたワーグナーは、初期の作品「リエンツィ」、「さまよえるオランダ人」、「タンホイザー」を自らの指揮で初演しました。その後R.シュトラウスとの関係を深め、1901年から代表作「サロメ」、「エレクトラ」、「ばらの騎士」など9つのオペラ作品が初演されています。
ドレスデンのオペラの象徴
ゼンパー歌劇場は、大建築家G.ゼンパーによって1841年に建てられました。1869年に焼失後、1878年に再建され、100を超える世界初演・ドイツ初演を実現しています。1945年2月13日の空爆で完全に破壊されましたが、40年後の1985年に再オープンしました。現在、世界で最も美しいと称される伝統的な歌劇場です。
名門オーケストラ
ウィーン・フィル同様、本来オペラの演奏を担当するオーケストラであるシュターツカペレ・ドレスデンは、1548年に設立された宮廷楽団を前身とする世界最古のオーケストラです。ドイツ・オペラだけでなく、ヴェルディやプッチーニなどのイタリア・オペラ、さらには映画音楽の演奏にも関わり、幅広いレパートリーを持つ世界トップ・オーケストラの地位を確立しています。現在もオペラ以外の演奏会はゼンパー歌劇場で催しています。
イチオシのオペラ
オペラ鑑賞の上級者には、迷わずワーグナーやR.シュトラウスのオペラ作品をお勧めしますが、特に入門者、初心者にはまずはイタリア・オペラ(モーツァルト作品を含む)をお勧めします。その中でもイチオシが、プッチーニの「トスカ」です。ストーリーが単純で劇的、音楽が極めて明快で分かりやすいからです。つまり「トスカ」は誰にでも観ることの面白さ、聴くことの楽しさが同時に、しかもストレートに伝わってくる作品、言葉(イタリア語)が理解できなくても、十分にオペラの魅力を味わうことができる作品の代表例です。
伝統的な歌劇場でオペラの醍醐味を味わってみませんか。
クラブツーリズムでは、通年、本場でオペラを鑑賞するツアーをご用意しています。例えば伝統のウィーン国立が劇場でモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞!(リクエスト受付)
巨匠メータ指揮のベルリン・フィルが演奏するヴェルディの「オテロ」を鑑賞!
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