2018年12月~2020年2月の間の、ヴァージンギャラクティック宇宙旅行の主なハイライトをまとめました。
【スペースシップ2が初めて宇宙空間に到達】
2018年12月13日(木)朝7:30(米国西部時間)、4回目の動力飛行テストとして米カリフォルニア州モハベ空港を飛び立ったスペースシップ2(VSSユニティ)は、マザーシップのホワイトナイト2から切り離された後、マッハ2.9のスピードで約60秒間ロケット噴射し、過去最高高度となる51.4マイル(82.7キロ)の宇宙空間に初めて達しました。2名のテストパイロットが操縦。米国では2011年の最後のスペースシャトル飛行以来では初めて乗員が搭乗した宇宙船が宇宙に行ったことになります。ちなみに国際航空連盟の規定では「宇宙」は高度100キロ以上の領域を指すがが、米国運輸省航空局(FAA)では高度80キロ以上を宇宙と規定しています。
【テスト乗客が初めてスペースシップ2に搭乗、宇宙へ】
2019年2月22日、スペースシップ2の5回目の動力飛行テストが行われ、今回初めて2名のパイロットに加えテスト乗客1名が搭乗しました。その乗客は、ヴァージンギャラクティック社宇宙飛行者向けチーフインストラクターのBeth Mosesマネジャー(写真以下)。機内では今まで集積されたデータの人的な実証、キャビン内装備の物理的な評価やテストなどを行い、安全性や顧客満足度などを確認しました。同機に3名が搭乗したこと、そして女性が搭乗したのは今回が初めて。また最高高度は29万5,000フィード(89.9キロ)、最高速度はマッハ3.04とどちらも昨年12月のテスト飛行の記録を塗り替えました。Beth Mosesマネジャーは、「宇宙からの地球の眺めは想像を超える美しさだった」と興奮とともにその感想を述べています。
【宇宙港、スペースポートアメリカの内部が初めて公開】
2019年8月15日、ヴァージンギャラクティック社は、ニューメキシコ州南部に建設された世界初の民間宇宙港「スペースポートアメリカ」の内部写真や動画を初めて一般公開しました。そのターミナルビルは、「Gateway Space」と命名され、2011年に建物自体は完成していましたが、その内部は今まで非公開でした。それが、この度内装工事も完了し中の様子が公開されたものです。1階部分は、Gaia (地球)」と名付けられ、ここを通じて宇宙への出発と帰着が行なわれます。宇宙旅行客とパイロットやオペレーションチームとのゆったりとした共用スペースが設けられています。2階は、「Cirrus (巻雲*)」という名称で、管制室やブリーフィングルームなどがおかれています。内部インテリアなどそのデザインコンセプトは、航空機キャビン、ホテルのベッドルームから、フィットネスクラブや銀行までの運営で培われたヴァージンブランドの粋が集められたものと説明されています。又、このターミナルビル内の格納庫には、今回同時に開発拠点のモハベ空港より移動した宇宙船の母機「ホワイトナイト2」が格納されています。
【宇宙スーツが初めて公開される】
2019年10月16日、ヴァージンギャラクティックは宇宙旅行の本番で着用する宇宙スーツを初めて公開しました。デザインはアンダーアーマー社が担当、本番で着用する「スペーススーツ」の他、「ベースレイヤー(下着)」、「ブーツ」、「トレーニングウエア」、「ジャケット」から成ります。宇宙旅行の参加者ごとにサイズが測られオーダーメードで提供されます。同社の最新の技術が活かされ、軽量で保温性があり、発汗調整機能もある他、無重力での安全性確保のため、肘、膝、ブーツにはクッション素材が使われています。宇宙船のあらゆる飛行環境に合わせ、快適さと機能性を考慮したと説明されています。また実際の参加者の声も反映し、名前と自国の国旗が付けられ、家族の写真などが入れられる内ポケットも作られています。この発表では同社のリチャードブランソン会長もモデルとして登場しました。世界初の民間人用宇宙スーツとなり注目されています。
【ニューヨーク証券取引所への上場】
2019年10月28日、ヴァージンギャラクティックはニューヨーク証券取引所に上場する米投資ファンド会社、「ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディング(SCH)」が出資する「特別買収目的会社」と合併 、同証券取引所に上場しました。上場会社名はVirgin Galactic Holdings Inc.株主構成としては、SCHが約8億ドル(約880億円)を出資し49%の株式を取得、現株主(ヴァージングループおよび中東のファンド)は51%を保有。上場時の時価総額は約23憶ドル(約2,530億円)。株価の初値は12.34ドルでした。この株式は日本でも一部の証券会社を通じて購入可能です。
【「ファウンダー」の方の宇宙旅行事前準備プログラムが開始】
2019年11月13日~15日、ファウンダー顧客(世界で最初に宇宙旅行に申込をした100名)を対象に宇宙旅行事前準備プログラムが米国東海岸のボルチモアで行われました。主な内容は、メディアルチームコンサルティング、宇宙服の試着、アンダーアーマー社のフィジカル講座、宇宙パイロットによる講義など。
【製造中、2機目の「スペースシップ2」、写真公開】
2020年1月8日、カリフォルニア州モハベでは、2機目の「スペースシップ2」の製造が進んでおりその写真が公開されました。既に2つの翼の取り付けが行われ、電気系統や酸化剤タンクなども取り付けられました。右の写真は仲良く1号機と2号機が並んでいるものです。
【「スペースシップ2」もスペースポートアメリカに移動】
2020年2月13日、「スペースシップ2」は開発拠点であるカリフォルニア州モハべから、遂に商業運航が行われる母港、ニューメキシコ州南部の商業宇宙港「スペースポートアメリカ」に移動し、昨年の夏に移動済みの母機やスタッフ100名に合流しました。この地で最終的なテスト飛行が行われた後、実際にお客様が搭乗する商業飛行が実施されることになります。
2020年のさらなる進展をご期待ください