コトルはバルカン半島のアドリア海に面する小さな国モンテネグロの都市です。
モンテネグロはもともとユーゴスラビア社会主義連邦共和国(旧ユーゴスラビア)を構成していた6つの共和国の一つで1992年からはセルビアとともにユーゴスラビア連邦共和国を構成していましたが2003年に国名をセルビア・モンテネグロと改称しました。しかし分離独立志向が強く2006年に住民投票を実施した結果賛成多数により独立を決定、独立国家モンテネグロ共和国となり2007年10月に正式な国名をモンテネグロ共和国から「モンテネグロ」に変更されました。
コトルはアドリア海から続くコトル湾の奥深くにたたずむ小さな町。
深い谷のように入り組んだ外海から約30km奥まったところに位置しています。
前方をコトル湾、背後を2000メートル級の険しい山々とそこから流れ落ちる川という天然の要塞に
囲まれた特殊な立地条件のため侵略者たちに荒らされることなく中世の町並みがそのまま残ったのです。
コトル湾は地図で見ると狭い海峡により4つの内湾に分かれているのがわかります。
「世界一美しい湾」と称されるコトル湾の、複雑な入り江に隠されたコトルの町はまさに秘境。アドリア海の秘宝と呼ばれています。
そんなコトルの人気は、ダイナミックな入港のシーンです。
コトルの観光は湾に入るところから始まります!
港に着くまでの間、船の中から優雅に景色をお楽しみいただけるのはクルーズの旅ならでは!!
船がアドリア海から湾の中へ入って行くとフィヨルドのような景色が始まります。左右の山がそれぞれ海に向かって急斜面をなしている、その間の狭い海峡を船は進むのです。
フィヨルドのような景色ではありますが、これはリアス式海岸で氷河による浸食作用で形成されるフィヨルドとは違います。
リアス式海岸は河川によって浸食された谷に海水が入ってできた地形のことでコトル湾内の入江も川の一部なのです。
リアス式海岸の一番狭い部分を抜けると左前方に教会が建つ小さな島が見えて来ます。
モンテネグロは国土の大部分がディナルアルプスの石灰岩の山地で占められ、コトルの町周辺は写真のような白っぽい山の景色が広がっています。
左右に広がる湾を右方向へ舵を切りさらに奥の方へと前進すると湾の最奥にたたずむコトルの町に到着です。
最初に湾に入るところから町に到着するまでゆっくり船が進むのをデッキや船内の展望ラウンジなどから優雅に眺めて、クルーズの旅でしかできないコトルを体感します。
船から見る入港シーンだけで観光の8割を占めると言っても過言ではありません。
城壁に囲まれた旧市街
小さな町の散策では貿易によって豊かになった商人たちが築いた美しく立派な館や、カトリックの教会とセルビア正教会が混在した旧市街をご覧いただけます。
コトルの町は荒波の影響を受けることなく穏やかな港町で海運の拠点として栄えましたが貿易の拠点となったことで周辺諸国による支配権争いのために小刻みに支配者が変わることとなりました。コトルの旧市街は一番長く支配されていたベネチア共和国の影響が多く残されています。
フリータイムには町を取り囲む城壁のぼりに挑戦しましょう。
高さが不揃いで急な石段を10分ぐらい登ると最初の展望所聖ロコ防御陣地に着きます。
さらに30分登ると聖母教会があり教会前の展望所から城壁に囲まれた赤い屋根が特徴的な中世の面影を色濃く残す古い町の様子とコトル湾の景色をお楽しみいただけます。一辺の長さ300メートルの三角形の形をしている旧市街の形も確認できます。
さらに滑りやすく危険な石段を約30分登ったところにある聖ジョバンニ要塞の遺構からはリアス式海岸まで見渡せその絶景は感動ものです。時間に余裕があり、しっかりした靴で雨の降らない日にしか挑戦できません。ちなみに1500段以上の不揃いの石段を登りつめるとこの景色 ↓↓↓
コトルは非常に温暖な気候で、最も寒い1月の平均気温が8℃、真夏は平均25℃と過ごしやすく風も少ないところで年間213日はまったく風が吹かないと言われています。
歴史的街並が残る歴史的文化的な価値と周囲の自然景観が評価され、1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。
観光客の多くはクルーズで訪れる乗客ですが、クロアチアのドブロブニクからもアクセスが良いことからクロアチアなどバルカン半島をめぐる陸路の旅で訪れる観光客も多いです。
しかし、ご紹介したようにコトルの町は船で訪れるとバスよりも何倍も感動の景色を楽しんでいただけます。是非コトルへはクルーズで訪ねてみてください!
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