旅先で美しい景色を見たり、美味しいものを頂ける嬉しさは、その国や土地のことも更に好きになりより深い思い出を作ってくれるものです。コロナ禍で海外旅行の再開が遅れている中、ご自宅でも体験頂けるグルメ旅、今シリーズではヨーロッパ各国、ワインを中心に広がる旅をご紹介していきます。第1回はフランスのボルドー、南西地方です。

はじめに

その土地に根付き、昔から愛されてきた飲み物の代表格としてのワイン。

ワインの主な魅力は色合い、香り、味わいで、グラス一杯のワインでも、広がるブドウ畑、その歴史、ワインを愛する生産者の顔、人々が楽しそうにおしゃべりしながらワインと食事を楽しんでいる様子まで連想させてくれます。

ツアーで主に訪れて頂けるような地域を中心に、観光地と、ワインと地方料理のご案内をさせて頂きます。

画像1: 〔添乗員ブログ〕世界のワインとグルメ旅<第1回>『~フランス~‟ワインの女王”ボルドーと南西地方』【好奇心で旅する海外】

ブログ担当は、自然も大好き ! 皆様に早くお会いしたい、添乗員 阿部りょうこです。宜しくお願い致します。

ワインと料理の相性 (各国共通)

フランスのお話の前にまず、料理と相性のよいワイン、ペアリングというものを簡単にご紹介させて頂きます。ワインは食事中の飲み物として人々の暮らしに根付いてきた飲み物のため、ワインに添える1品は欠かせません。

料理とワイン、それぞれをより引き立たせる組み合わせとは・・・

1、産地を合わせる

そのブドウの育った気候風土と同じ地方の料理や、チーズを合わせることは1番のマリアージュと言えます。簡単に言えば日本料理は日本のワインが相性が良いということになります。

2、格を合わせる

手間のかけられた料理に、カジュアルな軽いテーブルワインを合わせると少し寂しい感じがします。手軽な料理であれば上等なワインよりもカジュアルな軽いワインが合うでしょう。

3、色を合わせる

お肉には赤ワイン、お魚には白ワイン、ベーコンやサーモンなどピンク系の料理とはロゼワインといったように、色を目安に合わせて頂くこともできます。

白ワインに含まれる有機酸に殺菌効果があることは科学的に証明されていますので、食中毒を防ぐ手段としても有効です。白ワインは、甘味、苦み、酸味をバランス良く感じられるので、旨味と塩味のあるさっぱりとしたシーフード料理とよく合います。白ワインの酸味が料理の仕上げにレモンをかけているような印象になったりします。但し、生のシーフードは牡蠣のところで後述します。

甘口白ワインは、チーズやオードブル、デザートなどの軽めのものと合わせると良いでしょう。

4、ワインのボディと味付けを合わせる

ワインのボディとはコクを表し、フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディがあります。

フルボディは脂の多いステーキや、味付けの濃いもの、味に癖のあるものとよく合います。ミディアムボディはローストしたお肉や、オイスターソースなどで旨味を強調したようなものによく合います。ライトボディは魚介類など脂の少ないものやトマトで味付けしたようなものによく合います。

今はコロナ禍でまだ現地での実現には少し時間がかかりそうです。ご自宅で、赤ワインと白ワインをご用意され、たとえばさっぱりとした味付けのものと、こってり味の鶏のグリルなどと、どちらのワインが合うかそれぞれ試してみられるのも良いのではないでしょうか。

ハウスワインについて (各国共通)

海外のレストランでは時々、ワインリストというものが存在せずハウスワインのみ置いているようなお店もあります。ハウスワインとは、元々ヨーロッパでは自家用のワインを各家で造っていたところも多く、それをハウスワインと呼んでいたようです。

レストランの主人の顔と言っても良く、ハウスワインの味で主人の料理のこだわりまでわかってしまうようなものです。基本的には安価で、どの料理にも合うような主張の強すぎないワインです。主人が吟味して限定した産地や、生産者などのこだわりのハウスワインを提供しているところもありますので、まず一杯ハウスワインを頂いてから、他のワインも頼んでみられると良いかもしれません。

フランスにおけるワインついて

1、フランスワインの概要

フランスワインと聞けばボルドーやブルゴーニュワインを想像される方は多いと思いますが、フランスでは主に10の地方でワイン生産が盛んに行われています。現在は温暖化の影響もあり各国少しずつブドウ栽培の状況が変わってはきていますが『ワインといえばフランス』の地位はまだまだ揺るぎないと言えます。

その理由としてまず、国別ワイン生産量は1位がイタリア、2位がフランスで、生産量が多く輸出している国も多い。そして、高級格付けワインが有名であることと、ボージョレヌーヴォーが流行ったこと、などがあげられると思います。ブドウの生産量が多いことは、やはりフランスはワインを造るのに非常に適している土地である、ということになりますが、車でフランスの地を走らせワインの産地に近づくと、日本などで見られる棚仕立てよりも丈の低い、垣根仕立てのブドウ畑が美しく広がります。

また、生産量の多い白ブドウは1位がユニブラン(ブランデーのコニャックやアルマニャックの原料)、2位がシャルドネ3位がソーヴィニヨンブラン。黒ブドウは1位がメルロー2位がグルナッシュ3位がシラーです。

その土地に深く根付いているブドウが多く、美味しいワインを造り出してくれます。

2、フランスワインの歴史

元々、ワイン醸造法は紀元前6000年頃にメソポタミア文明で培われてきたと言われています。
現在のジョージアを含むコーカサス地方で、ワイン用のブドウの原種であるヴィティスヴィニフェラを生んだ土地です。(ジョージアの東のカヘティ地方で主に作られる素焼壺クヴェヴリを用いた伝統的な醸造法は、ユネスコの無形遺産に登録されています。)

メソポタミアの後は、エジプト人、フェニキア人、ギリシア人へと伝わり、紀元前6世紀頃フランスのマルセイユに上陸、その後古代ローマ人により紀元前1世紀にはローヌ地方、更にボルドー、ブルゴーニュ地方、4世紀頃までには冷涼なシャンパーニュ地方まで広がりました。

481年メロヴィング朝フランク王国を建国したクローヴィスが、カソリックを認めてからワインは聖体拝領に欠かせないものとなり、中世になるとベネディクト派やシトー派の修道院によってワイン造りが大きく発展して行きます。宮廷では王侯貴族の間でボルドーやブルゴーニュの名酒が話題になり、コンティ公ルイ・フランソワのように後にロマネ・コンティと呼ばれる銘醸畑を手に入れる貴族も現れました。

1789年のフランス革命の後は、貴族や教会の財産が没収されると、ブドウ畑はブルジョワジー(中産階級)の手に渡り、幸いなことにブドウ畑が分割されることなく買い取られ、1800年代には市民の間でワインが飲まれるようになりました。

1800年半ば過ぎにブドウの3大病(ベト病、うどんこ病、フィロキセラ)により、ブドウ畑は大打撃を受け荒廃しますが、数々の対策が講じられ復活します。

ボルドー地方について

1、ボルドー概要

大西洋に注ぐジロンド川の支流ガロンヌ川の左右岸に広がる人口約24万人の港街ボルドー

郊外のジロンド川の支流ドルドーニュ川沿いのサンテミリオンは、サンティアゴデコンポステラへの巡礼路の途上にあり、今なお中世の面影をとどめていることから『サンテミリオン管轄区』、1700年代に黄金時代を築いたボルドーは当時の壮麗な建築物が立ち並び、川の湾曲に沿って三日月に形成されたため『月の港ボルドー』としてユネスコ世界遺産に登録されています。

また、ガロンヌ川沿いの広い開放感のある歩行者天国は市民の憩いの場となっています。

画像2: 〔添乗員ブログ〕世界のワインとグルメ旅<第1回>『~フランス~‟ワインの女王”ボルドーと南西地方』【好奇心で旅する海外】

2016年には、ボルドーのジロンド派追悼記念の像のあるカンコンス広場から 北へ2kmほどの所に『ラ・シテ・デュヴァン』というワインのテーマパークがオープンしているんだ。

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ボルドー大学には醸造学部というのがあって、最先端の研究も行われて世界中の ワイナリーの子弟が学びに来ているようね。

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ブルゴーニュが『ワインの王様』と言われているのに対して、ボルドーは    『ワインの女王』と言われているよ。

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さすがワインの街ね~! シャトーを見学したり、グルメ旅したいわ~!

画像: ボルドー観光協会 ブルス広場とミロワール・ド   (イメージ)

ボルドー観光協会 ブルス広場とミロワール・ド   (イメージ)

画像: ボルドー観光協会 ラ・シテ・デュヴァン(イメージ)

ボルドー観光協会 ラ・シテ・デュヴァン(イメージ)

街は、商工会議所や国立税関博物館の入っているブルス宮殿、その前のブルス広場に広がる2006年に誕生した水鏡や、仏王シャルル8世のイタリアとの戦いの勝利を讃えるため15世紀に造られた高さ35mのカイヨ門。      

そしてラフィレマルガルデが初演された国立歌劇場、サンタンドレ大聖堂それに隣接するペイベルラン塔など、見どころ満載です。

画像: ボルドー観光協会 カイヨ門(イメージ)

ボルドー観光協会 カイヨ門(イメージ)

2、ボルドーワインの歴史

古代ローマ人により紀元前1世紀の中頃からボルドーにブドウ栽培がもたらされ、4世紀の詩人アソウニウス (フランス語でオーゾンヌ) はボルドーワインを讃える詩を残し、サンテミリオンにブドウ畑も所有しました。それが現在のシャトーオーゾンヌと言われています。

11世紀以降はアキテーヌ公国がボルドーを支配するようになります。アキテーヌ公国のエレオノール公女はルイ7世とそりが合わず離婚し、10歳年下のアンジュー伯ノルマンディー公のアンリプランタジュネットと再婚。このアンリは後にヘンリー2世の名でイングランド王位を継承したため、1453年に百年戦争でイギリスが敗れるまでボルドーはイギリス領となります。その間ボルドー産のワイン、クラレット (イギリス人が呼んだ色の薄いボルドー産の赤ワイン) が海を渡ってイギリスで売られ、出荷港であるボルドーは大いに栄えました。

ところが百年戦争で敗れたイギリスがボルドーから撤退するとワインの取引量は低迷し、22年後にルイ11世が再びイギリス船のボルドー寄港を認めたものの以前の水準まで回復することはありませんでした。しかし1600年代に海運王国オランダが台頭してくると、その豊富な船便によって他のヨーロッパ諸国にもボルドーワインが広まっていき、再び繁栄するようになります。

3、ボルドーワインの特徴 ブルゴーニュワインとの比較

生産者の呼び方

ボルドーではシャトー 
シャトーはお城や館のこと。百年戦争後ボルドー周辺がイギリス領になった時、イギリス貴族たちは住むお城を建て、広いブドウ畑を所有しワインを造り、そのワインに自分のお城の名前をつけたのがシャトーの始まりです。格付けもシャトーごとです。

ブルゴーニュでは区画畑(ドメーヌ)
フランス革命で国が土地を没収し、その後農家に少しずつ分け与えた経緯から、家族経営のような小規模な生産者がほとんどです。格付けも畑ごと「ブドウ畑のクリマ」として世界遺産に登録されています。数々の名酒を生み出すコートドール(黄金丘陵)が有名です。

ボトルの形

ボルドーは肩あり寸胴型
長期熟成タイプは澱(オリ)が発生しやすいため、肩の部分でその澱がグラスに入らないようにしている。

ブルゴーニュはなで肩
ブルゴーニュ地方は海抜が高めなため、地下に貯蔵庫を造って保存していた。狭い貯蔵庫にたくさん入るよう、互い違いに収めるための形。

グラスの形 

ボルドーは大きめの縦長
チューリッブのような形で、カベルネソーヴィニヨンやメルローから造られる赤ワインに最適

ブルゴーニュは大きめの、丸い形
丸い形状は香りを際立たせるためで、ピノノワールから造られる赤ワインに最適

画像: グラスイメージ 左 ボルドータイプ 右ブルゴーニュタイプ

グラスイメージ

左 ボルドータイプ 右ブルゴーニュタイプ
画像: ボトルイメージ 左 ボルドータイプ 右ブルゴーニュタイプ

ボトルイメージ

左 ボルドータイプ 右ブルゴーニュタイプ

4、ボルドーワインの格付けとは

ボルドーのなかでも高級ワインを産出するメドック地区の格付けは、1855年のパリ万国博覧会の展示品の1つとして、時の皇帝ナポレオン3世の要請を受けてボルドー商工会議所が作成したシャトーの格付け表が現在でも受け継がれており、全61のシャトーが格付けされています。

メドック格付けを簡単に説明しますと・・・

地区は6つ、サンテステフ、ポイヤック、サンジュリアン、マルゴー、ペサックグラーヴ、オーメドック

階級は上から1、2、3、4、5級まであります。よく5大シャトーと呼ばれるのは、この1級の5つのシャトーで、ポイヤックのラフィットロッチルド、ラトゥール、ムートンロッチルドの3つと、マルゴー、ペサックのオーブリオンです。

5級ランクで日本で1~2万円です。(グレートヴィンテージと言われる、ブドウの当たり年は例外で高額で取引されています。)

ボルドーに近いサンテミリオン地区ではその地区ならではの格付けとなり、第一特別級(プルミエグラクリュクラッセ)、特別級(グランクリュクラッセ)があります。第一特別級は、シャトーオーゾンヌ、シャトーシュヴァルブラン、そして新たに、シャトーパビィ、シャトーアンジェリュスが加わりました。

画像6: 〔添乗員ブログ〕世界のワインとグルメ旅<第1回>『~フランス~‟ワインの女王”ボルドーと南西地方』【好奇心で旅する海外】

易々と手にできない高級ワインね !

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ボルドーの格付けは1974年以降約50年間、昇格、降格などの変動は全くなく以後見直しが行われる様子もないんだよ。格付けされている61のシャトーは、6500あると言われるボルドーの全生産者の1%にも満たないんだ。

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だから格付けされていなくてもボルドーには、他にも美味しいAOCワインはたくさんあるのね、値段ではないけれど個人的には日本では2000円前後のワインがおすすめね。

※AOCワイン・・・原産地統制呼称、様々な品質規格基準をクリアしたワインのこと。フランスではワインだけでなくチーズやオリーブオイルなどその他の農業生産品にもAOCを適応しています。

5、ボルドーの地方料理

アントルコート・ボルドネーズ (牛リブロースのステーキ)

伝統的には木炭ではなくブドウのつるで網焼きにしたステーキ、通常赤ワインソースで頂く。

ボルドーの南のバザスは高級牛肉の産地で、バザス肉は脂身のほとんど入らないなめらかな肉質が特徴と言われています。

→ ボルドーの赤ワインが相性が良いです。

画像: アントルコート・ボルドネーズ(イメージ) www.ec-current.com

アントルコート・ボルドネーズ(イメージ)

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アニョードポイヤック (ポイヤック産の生後3か月以内の仔羊のロースト)

画像: アニョードポイヤック(イメージ) mariage.wine-temiyage.com

アニョードポイヤック(イメージ)

mariage.wine-temiyage.com

フランスには羊の産地がいくつかあります。仔羊肉のことをフランス語でアニョーと言います。特に生後1ケ月未満のミルクしか飲んでいない仔羊はアニョー・ド・レと呼ばれクセがなく柔らかいため、高級食材となっています。

→ ポイヤックの赤ワインが相性が良いです。

アルカションの牡蠣 
フランスの牡蠣の一大産地としてはブルターニュ地方のカンカルの港街が有名ですが、ボルドーから大西洋側を60kmほど南のアルカションも名産地です。

1960年の後半にフランスのヨーロッパヒラガキが全滅の危機に瀕し試行錯誤の末、宮城県のマガキに病気の耐久性があることがわかり、フランスに輸出されたのだそうです。その当時は全生産者を統括機関がなく、広島からも牡蠣が送られています。その後、約10年周期でフランスに牡蠣の危機がやって来て、その都度日本から送られました。東日本大震災の時にすべて流されてしまった三陸の牡蠣、今度はフランスによる『恩返しプロジェクト』で牡蠣が送られ被災地の牡蠣生産者の大きな励みとなりました。

ボルドーではソーセージとパンと牡蠣を一緒に頂くことが多く、特に海沿いの街のフランス人は高い確率でクリスマスに牡蠣を食べるようです。

牡蠣はレモンを絞って頂きましょう。ビタミンCを加えることで牡蠣に含まれる鉄分の吸収をしやすくするためと、白ワインの亜硫酸が牡蠣を生臭くさせてしまうのを防ぐための中和剤としてです。フランスの方はレモンをたくさん絞ったり、ワインビネグレットにエシャロットを加えたものなどと一緒に生のシーフードを頂く場合もあります。

→ ミネラルとシャープさが感じられる樽香のない、さっぱりした白ワインが相性が良いです。ボルドーであれば、アントゥルドゥメールなど。

画像: カヌレ(イメージ) travelbook.com

カヌレ(イメージ)

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画像: フランス牡蠣(イメージ)  mag.wowma.jp

フランス牡蠣(イメージ)

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カヌレ 外はカリッと中はもっちりと焼き上げたお菓子

ワインの醸造過程でワインを清澄、透明にするために伝統的に卵白を使用しているため、余ってしまう黄身の利用法として生み出されたと言われます。名前の由来となったカヌレ型を使用。

→ 紅茶、コーヒーと一緒に頂きたいところですが、意外と知られていませんがカヌレのほろ苦さは赤ワインにも良く合うと言われています。ボルドー産のカベルネソーヴィニヨン、メルローがおすすめです。
  

南西地方について

1、南西地方の概要

ボルドーからは南東に位置しスペインとの国境に近いエリア (ガスコーニュ、バスクも含む) です。

中心となる街はトゥールーズで、エアバス社の組み立て工場が置かれ、航空機と宇宙産業の重要拠点となっています。トゥールーズの北にはペリゴール地方(旧州名)があり、フォアグラとトリュフの産地で美食の地として知られています。

ドルドーニュ川沿いに点在するラロックガジャック、ベナックエカズナックなどの小さな村々、また中世からルネッサンス期までの建物が混在するサルサ・ラ・カネダ。旧市街の一角には昔のガチョウ市場を彷彿させるガチョウのモニュメントが置かれていたり、フォアグラを置いているお店も軒を連ねています。

ロカマドゥールは、ドルドーニュ川支流のアズール川沿いの絶壁に広がっており、黒い聖母と街の名前の由来にもなっている聖アマドゥールのお墓を訪れる方も多い巡礼の街です。川から見上げる街の景観は圧巻です。

ロット川沿いのカオールは、サンティティエンヌ大聖堂とヴァラントレ橋が『フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼地』の一部として世界遺産に登録されています。マルベック種を使用した黒ワインの生産でも知られています。

手付かずの自然の残る場所もあり、古代ローマ遺跡や先史時代の史跡が豊富で、ラスコーの洞窟壁画は『ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群』として世界遺産に登録されています。

ドルドーニュ渓谷のラロック・ガジャック
(弊社スタッフ撮影)

画像: サルサ・ラ・カネダ

サルサ・ラ・カネダ

カオールのヴァラントレ橋

ロカマドゥール

2、南西地方のワインの歴史

この地はサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼地にあたり、12世紀以降巡礼者を迎える教会や修道院が増え需要によりブドウ畑が拡大、巡礼者たちによってカベルネフランやマルベックなどのこの地の品種が他の地域にも広められています。

イギリス王でアキテーヌ公のヘンリー3世は、1241年、南西地方のドルドーニュ川やガロンヌ川沿いのワインがクリスマス前にボルドー港に持ち込まれることを禁止しボルドーワインに特権を与えたため、南西地方のワインは海外に出荷されず商業的に成功しなかったと言われています。

3、南西地方の料理

コンフィドカナール (鴨のコンフィ) 

食材を脂に浸してゆっくりじっくりと煮て、その脂の中で保存、表面を香ばしく焼きます。コンフィとは『保存する』というコンフィルが語源です。

   心地よい酸味と優しいタンニンを持つピノノアール種のワインが相性が良く、赤ワインソースやバルサミコソースをかける場合はミディアムからフルボディのワインが 良いかもしれません。カオールのワインも合います。

マグルドカナール (鴨の胸肉)

フォアグラを取るために育てられた鴨の胸肉でフォアグラの香りがします。

ペリゴールの名産フォアグラのポワレ 

フォアグラはガチョウやアヒルの肝臓ですが、ポワレはフライパンでソテーするという意味です。フォアグラはアルザス地方のストラスブールも産地で、ロワール地方ではシャラン産の鴨が知られています。

ガチョウかアヒルか鴨かということですが、ガチョウやアヒルは家禽となり、雁→家禽としてガチョウ、鴨→家禽としてアヒルが生まれたということですので、鴨のフォアグラとアヒルのフォアグラは同じです。ペリゴール産は主に鴨です。

  → ワインの定番は白の甘口で、貴腐ワインのような甘さの濃厚なものがフォアグラの脂に合うとされており、南西地方ではパシュランデュヴィクビルやジュランソンが相性が良いです。

但しフォアグラにはよく甘いソースや、レーズン、フルーツジャムのようなものが添えられますのでその場合には辛口ではないマイルドな白ワインが良いかも知れません。

ペリゴールの名産黒トリュフ

前菜のトリュフがけ、バスタやリゾットのトリュフがけ、トリュフのアイスクリームなど色々なバリエーションがあります。トリュフを贅沢にそのまま丸ごと火であぶって頂くこともできます。

トリュフは地中に生えるキノコで、凝縮したキノコ類の香りと土と森の香りをプラスしたような独特の芳香が、長期熟成したワインと良く合うと言われます。長期熟成ワインは枯れたような味わいとなり土やキノコを思わせる香りが出てきますのでトリュフとの相性は抜群です。

  → 熟成したピノノアール種、カオールの黒ワインなどトリュフの香りに負けないワインで、白でも熟成したシャルドネやリースリングなどが相性が良いです。

ロカマドゥールのヤギ乳から造られる              AOCロカマドールチーズ

洞窟で熟成させる羊乳から造られる青カビチーズ、AOCロックフォール

バスク地方の羊乳チーズ           AOCオッソーイラティ
  
→ モンバジャック、ソーシニヤックなどの白の甘口が相性が良いです。

画像: 筆者撮影

筆者撮影

ロカマドゥールのヤギ乳から造られるAOCロカマドールチーズ

洞窟で熟成させる羊乳から造られる青カビチーズ、AOCロックフォール

バスク地方の羊乳チーズ、AOCオッソーイラティ

  → モンバジャック、ソーシニヤックなどの白の甘口が相性が良いです。

おわりに

今回はボルドー(比較でブルゴーニュ)と、南西地方をご紹介させて頂きました。フランスのワインはまだまだ世界のトップとして君臨してはおりますが、アメリカ建国200周年記念に合わせ1976年に開催された『パリテイスティング』、フランスとカリフォルニアの銘醸ワイン比較では、ボルドーの1級格付けやブルゴーニュのグランクリュのワインを抑えて1位になったのは赤白ともに、カリフォルニアのナパバレーのワインでした。ニューワールドと呼ばれる国々のワインが今非常に注目を集めているのも事実です。

第1回の『フランスワインと食材』をご覧いただきありがとうございます。次回の好奇心で旅する海外、『世界のワインで旅行気分 在宅でも出来るグルメ旅』第2回は7月後半にお届け予定です。
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