旅先で美しい景色に感動したり、美味しいものを頂ける嬉しさは、その国や土地のことも更に好きになり、より深い思い出を作ってくれます。長らくお休みを余儀なくされていた海外旅行も、ようやく徐々に再開となりました。ご自宅でも体験いただけるグルメ旅として、今シリーズではヨーロッパ各国、ワインを中心に広がる旅をご紹介してまいりましたが、第5回はいよいよ最終回、スペインとポルトガルです。是非旅の前の予備知識としても、ご活用ください。

はじめに

その土地に根付き、昔から愛されてきた飲み物の代表格としてのワイン。スペインの赤ワインの「リオハ」、スパークリングワインの「カヴァ」、ポルトガルの「ポートワイン」など、ツアーで主に訪れていただけるような地域を中心に、ワインと地方料理のご案内をいたします。

画像1: 〔添乗員ブログ〕世界のワインとグルメ旅〈第5回〉『スペインとポルトガル』【好奇心で旅する海外】<海外の味物語>

ブログ担当は添乗員の阿部良子です。自然も大好き ! 皆様に早くお会いしたいです。宜しくお願いいたします。

お届けしたい情報満載なので、ぜひ最後までお付き合いください♬

スペインにおけるワインについて

1 スペインの地理と歴史

イベリア半島の大部分をしめるスペインは、北のピレネー山脈でフランスに、西はポルトガルと国境を接しています。また、地中海のバレアレス諸島、大西洋のカナリア諸島、アフリカ大陸モロッコにあるセウタとメリリャも領土も含まれ、全17州あります。面積約50.5万㎢、人口約4700万人です。

フェニキア、ローマ、ケルト、西ゴート、ユダヤ、アラブなど多様な民族が侵略、支配された歴史をもつスペインには様々な文化が交差しています。公用語はスペイン語ですが、地方ごとに異なる言語や方言があり、バスク、ガリシア、カタルーニャ、バレンシア州でそれぞれの言語が公用語として認められています。ブドウ品種なども場所により異なった名前になります。

2 ワインの歴史

ブトウの栽培が伝わったのは紀元前1100年頃。フェニキア人が大西洋岸の町カディスに到着し、ヘレス デ ラ フロンテラや地中海沿岸地域でワイン造りをし、交易を行いました。ワイン造りを盛んにしたのは紀元前200年頃にやってきたローマ人で、スペイン各地で造ったワインをローマ帝国などに送っていました。

711年にアフリカから来たイスラム教徒にイベリア半島を侵略、支配されましたが、宗教上アルコールを飲まないイスラム教徒にとっても、生食用のブドウや果汁、薬用としてのアルコールは必要であり、異教徒の文化も認めていたため、ブドウ栽培とワイン造りは継続されました。また、蒸留技術は彼らによって伝えられています。

イスラム教徒たちに支配された地域をキリスト教徒たちが取り戻そうとする国土回復運動 (レコンキスタ) が1492年に終了し、同時にアメリカ大陸が発見され、大航海時代の幕開けとなります。新大陸に領土を拡大していったスペインから遠洋航路にでる船には、シェリー、マラガ、中継地となるカナリア諸島のワインなどが大量に積まれました。特権商人のイギリス人などは当局の保護を受け、ヘレス デ ラ フロンテラなどの町に定住し始めました。

1800年後半にはフィロキセラ(虫害)のためブドウ畑が壊滅状態になったフランスから、生産者や業者がスペイン北部の産地にやってきてワインを買い付けたり、ワインの生産を始めた者もいました。フランス人が持ち込んだ醸造機器や技術はスペインの醸造技術の進歩に大きく貢献しました。その後スペインもフィロキセラにより甚大な被害がでたものの、フランスですでに考案されていた対処法により、ブドウ畑の復興は早かったようです。

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ブドウの3大病虫害とは、ベト病、うどんこ病、フィロキセラと言われているけど、ベト病とうどんこ病はカビによる病気のため、カビを予防する薬剤により治まったのよね !

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フィロキセラは土の中のブドウの根につく虫害のため、直接薬剤を根に散布することが出来ず、対策は難航を極めたんだ。やがて、アメリカ原産のブドウのリパリア種、ルペリストス種、ベルランディエリ種に、強いフィロキセラ耐性があることがわかって、これらをブドウの台木として使用することで、被害が沈静化していったんだよ。

また内戦や、1970年のフランコ独裁政権下で一度はすたれてしまったワイン生産も今は復活しています。

3 ワイン概要

スペインのワイン用ブドウ栽培面積は世界第1位、EU圏内の全ブドウ畑面積の約30%を占めています。ワインの生産量は、イタリア、フランスに続き世界第3位です。スペインは17の自治州、すべてでブドウ栽培が行われており、幅広くヴァラエティ豊かなワインが生産されています。最も生産が多いのは、カスティーリャ ラ マンチャ州でスペイン全体の54%を占めています。

スペインは赤ワイン生産国のイメージが強いですが、白ワインの生産量は47%に及びます。現在97のDOP (原産地呼称保護) が認定されており、DOP販売量上位は、リオハ、カバ、ルエダ、ラ マンチャ、リベラ デル ドゥエロの順になります。

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DOPの中で一番格の高いDOCa (特選原産地呼称ワイン) は、リオハとプリオラートの2つのみが認められているの。

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1926年にリオハ地方が最初に原産地名保護のため統制委員会を設立し、スペインがワイン法を制定したのは1932年のことで発効が翌年の1933年、これはフランスのAOC原産地呼称制度が生まれた1935年より早いことなんだ。

4 ブドウの品種

スペイン全土には600種類ものブドウが植えられていると言われていますが、スペイン産のワインの80%はわずか20種のブドウから生産されています。

スペインで栽培面積NO.1の品種は『アイレン』。白ブドウでブランデーなど蒸留酒に使用されます。NO.2は『テンプラニーリョ』。赤ブドウでリオハ地方の原産種として知られるものです。テンプラニーリョは、ラマンチャ地方ではセンシベル、カタルーニャ地方ではウル デ リュブレ、リベラ デル ドゥエロではティントフィーノ、マドリッドではティンタ デ マドリッド と呼ばれています。NO.3は『ガルナッチャ ティンタ』。赤ブドウでアラゴン地方の原産種として知られ、フランスではグルナッシュと呼ばれています。NO.4は『マカベオ(ヴィウラ)』。白ブドウでカバの主要品種としても知られています。

5 熟成規定

樽熟成には一般的にはアメリカ産オーク、フランス産オークが使用され、熟成期間によりクリアンサ、レセルバ、グランレセルバと表示をすることが出来ます。

クリアンサは、赤ワインで合計2年の熟成が必要、白ロゼワインで合計1年半。レセルバは赤ワインが合計3年の熟成が必要で、白・ロゼワインは合計2年間。グランレセルバは赤ワインで5年の熟成が必要、白ロゼワインで4年必要になります。

カタルーニャ州のカヴァとプリオラート

1 Cavaカヴァ

二次発酵を瓶内で行う製法により生産されるスペインのスパークリングワイン。カタルーニャ州、アラゴン州、ナバーラ州、バレンシア州などで生産されますが、生産量の95%はカタルーニャ州に集中しています。カタルーニャ州の中でも85%はバルセロナ県で生産されます。

白ブドウは主にマカベオ(フルーティなのが特徴)、チャレッロ(酸味があるのが特徴)、パレリャーダ(花のような香りが特徴) が使用され、黒ブドウはガルナッチャティンタ、モナストレル、トレパット(ロゼのカバ生産で使用)、ピノノワールが使用されます。主要3種から造られるブレンドのカバが多い中、ミネラルさとフレッシュ感のあるチャレッロ100%のグランレセルバクラスのカバも増えてきているようです。また、ピノノワール100%のブランドノアールの高級感のあるカバも生産されています。

カバのレセルバ表記は、瓶詰から澱抜きまでの熟成期間は15か月以上の場合。グランレセルバは2年半必要です。

2 プリオラート

2009年にDOCaに認定されたワイン。主に、一般的な農作物には不向きな土壌であり、ブドウ栽培には最適なリコレッリャ(スレート) の地質で生産されます。プリオラートのブドウ栽培は、1100年代の当時のスカラデイ修道院の修道士に始められました。修道院の領地や修道院長を指す『プリオラ』がこの産地名の由来と言われています。プリオラートのブドウ栽培は、1100年代の当時のスカラデイ修道院の修道士に始められました。修道院の領地や修道院長を指す『プリオラ』がこの産地名の由来と言われています。

プリオラートは充実したボリューム感のある赤ワインが主体ですが、少量の白やロゼも生産しています。中心的に栽培されている黒ブドウはガルナッチャです。

3 カタルーニャ州バルセロナ

スペインの首都はマドリッドですが、スペインで観光客の一番多い町はカタルーニャ州の州都バルセロナです。サグラダファミリア、グエル公園、カサミラ・・・アントニオガウディのアールヌーヴォーの素晴らしい建築作品はユネスコに登録されています。港には多くのクルーズ船も停泊します。フランコ独裁政権下ではカタルーニャ地方やバスク地方の独立意識を防ぐために公の場でのカタルーニャ語やバスク語の使用を禁止されていた時期もありました。

画像1: グエル公園(筆者撮影)

グエル公園(筆者撮影)

画像2: グエル公園(筆者撮影)

グエル公園(筆者撮影)

4 カタルーニャ料理

イカ墨を用いたカタルーニャ風パエリア

ムール貝、アサリ、エビ、イカなどの魚介を使うパエリアのため、白ワインと合わせるのが無難です。おすすめは、フローラルな甘い香りと辛口を兼ね備えるアルバリーニョの白ワインです。

カヴァも魚介パエリアに良く合うと言われています。よく添えられるレモンとの相性の良いスパークリングワインです。

画像: パエリア(イメージ)

パエリア(イメージ)

3州にまたがるリオハ

1 リオハのワイン

1991年にスペインで最初のDOCaに認定されたワイン。ラ・リオハ州、バスク州、ナバーラ州の3州にまたがるリオハの名前の由来は、この産地を西から東へと流れ地中海へ注ぐエブロ川の支流のオハ川 、スベイン語でリオ オハから来ていると言われています。リオハアルタ、リオハアラベサ、リオハオリエンタルの3つのサブソーンがあります。

リオハは88%が赤ワインで、品種は黒ブドウのテンプラニーリョ、ガルナッチャを中心に栽培されています。また熟成規定も、リオハならではの細かい規定があります。

2 郷土料理

チェレティーリャス デ コルデロ レチャルという、剪定した枝であぶり焼きにした仔羊肉や、ピミエントス レリェーノスという赤ピーマンの肉詰めが有名です。リオハに合わせるとより美味しく頂けますが、リオハにはスペインの生ハムもおすすめです。

画像: ハモンベジョータ (筆者撮影)

ハモンベジョータ (筆者撮影)

ドングリを食べて育った黒豚の生ハムです。

画像: リオハワイン(イメージ)

リオハワイン(イメージ)

バスク州のチャコリ

1 バスク州

スペイン北部とフランスとの国境のピレネー山脈に位置するバスク地方は、アラバ県、ビスカヤ県、ギプスコヤ県の3つの県から成り、最も人口の多い街はビスカヤ県のグッゲンハイム美術館などのあるビルバオですが、州都はアラバ県のビトリア=ガステイスになります。ギプスコヤ県のサンセバスチャンは人口当たりのミシュラン星の数が世界一と言われています。

また、1800年後半から1900年始めにかけてリオハワインの輸出がビルバオ港から行われていたこともあり、リオハのワイン生産者にはビルバオなどに住む裕福な実業家が多いようです。

2 地酒のチャコリ

ほんのわずかな発泡性を残した状態でボトリングされる白ワインで、酸味が強くアルコール度数が低めのワインです。バル(BAR)文化とともに発展してきた美食を楽しむためのワインと言っても過言ではありません。シーフード料理にも良く合います。

バスク州は大西洋にも面しており降水量も多く基本的にブドウ栽培には不利な土地になりますが、チャコリの産地の中で、内陸の『アラバコ』の地域は特に降水量が低く、高品質なブドウ栽培に適しています。白ブドウのオンダラビスリが主要なチャコリの品種です。

3 郷土料理

画像: BAR (筆者撮影)

BAR (筆者撮影)

『食はバスクにあり』と言われるほどの美食で知られる地方です。1100年代のフランシスコ会修道士によって書かれた聖ヤコブの書には『険しいピレネーを越えれば美味しい食事とワインの豊かなバスクの地』という記述も残されています。またバスク地方はピンチョスやタパスなどの一口おつまみ系の発祥の地でもあります。

アンダルシア州のシェリー酒

1 アンダルシア州

イスラムの影響が文化にも色濃く残り、グラナダにあるアルハンブラ宮殿はユネスコに登録されていたり、フラメンコや闘牛はスペインを代表するものと言われますが、ここアンダルシアの郷土文化になっています。南にはスペイン本土で最標高3478mムーラセーン山を含むシェラネバダ山脈が連なり、ここを水源とするコルドバやセビリアを流れるグアダルキビール川が、コロンブスも出港したカディスの北から大西洋に注ぎます。昔から、オリーブとひまわりなど灌漑を必要としない農業が盛んな場所で、ワインでは、酒精強化ワインのシェリー酒が知られています。

画像1: アルハンブラ宮殿 (筆者撮影)

アルハンブラ宮殿 (筆者撮影)

画像2: アルハンブラ宮殿 (筆者撮影)

アルハンブラ宮殿 (筆者撮影)

2 シェリー酒

ポルトワインやマディラワインと合わせて世界三大酒精強化ワインで、食前酒として有名です。酒精強化ワインとは、ワインを醸造する際に高アルコールの蒸留酒 (シェリーの場合はブランデー) を加えて、アルコールをおよそ15~22度にまで高めたワインです。ボルドーやブルゴーニュと同じく 『シェリー』 が産地となります。原産地呼称制度上は『ヘレス・ケレス・シェリー』が正式名称で、順にスペイン語フランスご英語を並べたものです。産地は、ヘレスデラフロンテラとサンルカールデパラメーダとエルプエルトデサンタマリアの3つの街 (シェリートライアングル) を中心に広がっています。

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このエリアは年間300日以上晴れの続く乾燥した気候と聞いたけどブドウは大丈夫なの?

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実はこのあたりは、保水性に優れた『アルバリサ』と呼ばれる真っ白な白亜質土壌が特徴なんだよ。

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アルバリサ土壌が、冬に降った雨を吸収して蓄えることで、ブドウの生育期に必要な水分を補ってくれるということね。

シェリーの品種は、約95%はパロミノという白ブドウから造られています。シェリーの種類は、辛口、天然甘口、甘口とあります。

ポルトガルにおけるワインについて

1 ポルトガルの概要

スペインの西隣、人口約1020万人、首都リスボン55万人。主要産業はオリーブ、小麦、ワイン、コルクに代表される農業と、水産業。特にコルクは世界の生産量の半分を占めています。また、1人あたりのお米の消費量はヨーロッパ最多となります。

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ポルトガルでは世界のコルクの半分が生産されているよ。世界最大のコルクメーカーであるアモリン社は、コルク臭の原因となるTCAのリスクを取り除いたコルクの開発でも有名なんだ。

2 ポルトガルのワインの歴史

ポルトガルワインの歴史は紀元前のフェニキア人によって始まり、その後ローマ人が受け継ぎ広まりましたが、700~1000年までイスラムに支配されたことによりワイン造りは停滞しました。

イベリア半島でレコンキスタが始まった後、1096年にポルトゥカーレ伯爵とコインブラ伯爵が統合したことにより現在のポルトガルの原型が生まれ、1143年カスティーリャ王国の宗主下でポルトガル王国が誕生しました。このころからポルトガルワインはイギリスに輸出されていました。

1297年ヨーロッパ最古の国境線となるカスティーリャ王国との境界が定められ、以後エンリケ航海王子により海外進出が本格化し、後のヴァスコダガマによるインド航路発見はポルトガルに莫大な富をもたらします。更にポルトガルは日本に到達し、織田信長らの大名の保護のもと南蛮貿易が栄えました。織田信長が好んで飲んだと言われる『珍陀酒ちんたしゅ』はポルトガルの赤ワインです。ポルトガル語のヴィーニョ ティント (赤ワイン) のティント、ティンタから来ているようです。

1600年になるとイギリスとフランスの戦争によりポルトガルワインは一層イギリスに輸出されるようになり、1700年代になるとポルトの街にイギリスとドイツの輸出業者が誕生し、輸出が拡大しました。

ところが1932年から始まるサラザールによる独裁体制により鎖国に近い状態となり、ワインは国内消費用となりワイン業界が他国に比べ遅れをとりますが、この間に多くの固有品種が発達しました。その後、1986年にEU加盟を果たし、ポルトガルワイン業界も多くの投資を受け急速に品質が向上しました。

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2020年にはポルトに『World of Wine』という名の文化地区が出来て、そこにはレストラン、カフェ、ショップ、ギャラリー、ワインスクールなどがあってポルトガルの産業や伝統、ワインを学ぶことが出来るようになっているの !

3 ワイン概要と品種

ポルトガルの14地域で、250種を超える固有品種やテロワールの違いにより、個性豊かでバラエティーに富んだ様々なワインが生産されています。また、酒精強化ワインの銘産地として歴史的に名声を築いてきた、ポルトとマデイラはスペインのシェリー酒とともに世界三大酒精強化ワインと言われています。

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ポルトガルの2021年の国民1人当たりのワイン消費量は世界1なんだ ! No.2がフランス、No.3がイタリアだよ。

生産量が圧倒的に多い白ブドウは、フェレナオンピレス (マリアゴメス)で、早く収穫されたブドウからはフレッシュな白ワインやスパークリングワイン、遅く収穫されたものからは甘口ワインが造られるなど様々なスタイルのワインに用いられます。2番目に生産の多い白ブドウはロウレイロで、大西洋側で生産されローレルの花やりんご、桃などのアロマがあります。黒ブドウで最も生産が多いブドウは、アラゴネス (テンプラニーリョ、ティンタ ロリス) でデリケートでエレガントなワインを生み、2番目に生産の多い黒ブドウは、トウリガ フランカで主にブレンド用の品種、3番目に生産の多い黒ブドウは、トウリガナショナルで主にポルトワインで使用されます。

ポルトガルのワイン分類は3つあり、EUの原産地呼称保護DOPはDOC(現在31)、EUの地理的表示保護IGPはVR、EUの地理的表示の無いワインはVinho (テーブルワイン) になります。

ドゥリエンセ地区のポルト

1 ドゥリエンセ

産地の範囲はドウロ川河口のポルトから東へ (上流へ) 100kmのところから、更に東のスペイン国境までの約150kmにおよび、ドウロ川の西から順に、バイショコルゴ、シマコルゴ 、ドウロスペリオールの3つに区分されます。ポルトワイン造りにおいて最も品質の高いブドウが産出される地域はシマコルゴで、有名なポルトワインのブランドの多くが畑をおいている場所でもあります。ポルトワインに使用されているブドウは主に5種類ですが、認可されているブドウは80種類以上あります。

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このドウロ川上流のワイン生産地域は類まれな絶景により世界遺産に登録されているの。またポルトガル第2の都市、ポルトガルの名前の由来になったポルトの歴史地区も、それぞれの時代を反映した独自の美しさから世界遺産になっているのよ !

2 ポルトワイン (ポートワイン)

ポルト (港の意味) の街の港から海外へ出荷されたので『ポルト』です。ポルトの畑は、最高ランクのA~Fまで6段階に分かれています。1926年以降ワインはポルトの街の対岸ヴィラノヴァガイヤのロッジで熟成され出荷される決まりになっていましたが、1986年以降はブドウ生産地で熟成し出荷することも認められています。

ブドウは発酵と醸しを行った後、そのブドウ液のおよそ1/4の量のアルコール77%のグレープスピリッツ (しっかりと計算されて出される量) を添加することにより酵母の働きを止め、糖分がアルコールに変換されるのが中断され、ブドウ果汁の甘味をそのまま残しているため、甘口ながらアルコールが19~22度のポルトワインが造られるということになります。甘さは、エクストラドライからヴェリースィートまで5段階あります。

黒ブドウが原料のレッドポルト

♦トウニータイプ

長い年月、木樽を使って熟成させた結果トウニー色(黄褐色)になったもので、10年/20年/30年/40年ものがあります。単一年に収穫されたブドウだけを使い収穫後7年以上となると『Colheita』と収穫年が表記されます。

♦ルビータイプ 平均3年間の樽熟成。

これら2種類は常温で飲まれることをお勧めします。

画像: トウニーポートワイン(筆者撮影)

トウニーポートワイン(筆者撮影)

♦ロゼタイプ 短時間でタンニンを抑えながら色素を抽出していく。アルコール度数は19度程度。

白ブドウが原料のホワイトポルト

♦ホワイトタイプ 3~5年熟成。最低アルコール度数を16.5度以上にした比較的辛口タイプのもの。

その他

♦ヴィンテージポルト その年の作柄が特に優れたブドウから造られる。濾過されずに瓶に詰められ長時間樽熟成されるもので、澱が出ているためデカンタージュが必要。

♦レイトボトルド ヴィンテージポルト ヴィンテージには達しないがそれに続くと思われる作柄のブドウを原料とし、4~5年ほど樽熟成、濾過してから瓶詰。

画像: ポルト (筆者撮影)

ポルト (筆者撮影)

画像: サンデマン (イメージ)

サンデマン (イメージ)

3 ポルトワインのブランド

ブランドは、SANDEMANサンデマン、Niepoortニーポート、FERREIRAフェレイラ、GRAHAM'Sグラハム、TAYLOR'Sテイラー、Krohnクローン、Messiasメッシアス、BORGESポルゲス、Quevedoケヴェド、WARRE'Sワレ、などなどありますが、今回はSANDEMANサンデマンをご紹介します。

サンデマンは、ポルトワインの中でも老舗のワイナリーの1つで、1790年スコットランドの家具職人の息子が25才の時にワイン商として独立し設立したものです。イギリスでのポルトワインブームの立役者の一人です。イギリス王室御用達で、ワイン界で初めてブランドロゴの商標登録を行ったメーカーでもあります。写真にもありますが、ラベルデザインに使われている『ドン』というキャラクターもワインの宣伝に使われた世界初のシンボルマークです。1928年に誕生し、スペインの帽子をかぶり、コインブラ大学の制服をまとい、見えにくいですがルビーポートのグラスを手にしています。

4 ポルトワインと合う料理

ポルトワインは食前酒としても食後酒としても楽しめるワインです。海沿いの地域では、イワシのグリルやタコのフライ、ロブスタービスクなどシーフード系のお料理が多くなります。甘口のワインがお好みの場合は、メインのお料理と合わせる時には、塩辛いものとも相性が良いです。

ポルトワインは、中でも特にチーズとの相性が良いと言われます。一般的に広く食されているチーズは『Nisaニーザ』セミハードタイプのものです。ポルトガルの最高級チーズ、DOP (原産地名称保護) に登録されている『Serra da Estrela セラ・ダ・エストレラ』も羊のチーズから作られます。

画像: タコのフライ (イメージ)

タコのフライ (イメージ)

画像: セラ・ダ・エストレラ (イメージ)

セラ・ダ・エストレラ (イメージ)

おわりに

前回と日が開いてしまいましたが、今回最終章の第5話、スベインとポルトガルのワイン概要をご覧頂きありがとうございました。徐々に海外のツアーも再開しております。日本ではなかなか手に入らないワインやチーズなどの食材を、是非とも現地でお探しいただければと思います。引き続きご自宅でも、お好みのワインと美味しいお料理で楽しくお過ごしください !!

▼前回までの記事はこちらをご覧ください♬

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