9月から始まる新シーズンでは、1回の旅行でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会を2回鑑賞できる貴重な機会が3度あります。

音楽鑑賞の旅「アンコール」では、そのチャンスを逃さないよう、10月・11月・2月に3つのツアーをご用意しました。今回は、その中でも特に魅力あふれる10月ツアーをご紹介します。

初演の舞台・楽友協会ホールで聴く感動

2026年秋、リッカルド・ムーティ指揮によるウィーン・フィルの日本公演が予定されています。1956年の初来日から70周年、そして41回目の来日となる記念すべき公演です。

日本でも絶大な人気を誇るウィーン・フィルですが、その真価を味わうなら、やはり本拠地であるウィーンの楽友協会ホール(ムジークフェライン)は特別な場所です。

1842年創設のウィーン・フィルは、1870年に完成した楽友協会ホールを150年以上にわたり本拠地としてきました。楽団ならではの美しく繊細な響きは、このホールとともに育まれ、受け継がれてきた伝統そのものです。

10月ツアーでは、日本公演に先駆けてウィーンで同じプログラムを鑑賞できるだけでなく、その演目のうち2作品が、この楽友協会ホールでウィーン・フィルによって初演されたという、歴史的な背景も大きな魅力です。

▷ブラームス:交響曲第2番
 1877年12月30日、ハンス・リヒター指揮、ウィーン・フィルによって世界初演。

▷ブルックナー:交響曲第8番
 1892年12月18日、同じくハンス・リヒター指揮、ウィーン・フィルによって世界初演。

さらに、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番は1808年にアン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェン自身の独奏により初演されました。その後、楽友協会ホールが開館した1870年には、ウィーン・フィルの定期演奏会でも演奏されています。

作品が生まれ、育まれた場所で、その音楽を聴く体験は、演奏会以上の価値を感じさせてくれるでしょう。

ウィーンが育んだ3人の巨匠

今回演奏されるベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーには共通点があります。

3人とも人生の長い年月をウィーンで過ごし、この街で数多くの名作を生み出しました。

▷ベートーヴェン:34年間

▷ブラームス:35年間

▷ブルックナー:28年間

音楽の都・ウィーンは、彼らの創作活動にとって理想的な環境であり、多くの傑作がこの街から世界へ羽ばたいていきました。

演奏会だけでなく、作曲家ゆかりの地を訪ねることで、作品への理解や感動も一層深まります。

作曲家たちの足跡をたどる

▷ベートーヴェン

ベートーヴェンは生涯で70回以上も引っ越したと言われていますが、最も長く暮らしたのがパスクァラティ・ハウスです。

ここでは、《ピアノ協奏曲第4番》をはじめ、《フィデリオ》《交響曲第4・5・7番》など数多くの名作が生まれました。

また、《ピアノ協奏曲第4番》が初演されたアン・デア・ウィーン劇場にも住んでおり、《交響曲第3〜6番》や《ヴァイオリン協奏曲》など数々の作品がこの劇場で初演されています。

画像: パスクァラティ・ハウスの銘板

パスクァラティ・ハウスの銘板

画像: アン・デア・ウィーン劇場の銘板

アン・デア・ウィーン劇場の銘板

ベートーヴェン最期の家銘板

▷ブラームス

ブラームスは1872年から1875年まで楽友協会の芸術監督を務めました。

住居は楽友協会ホールから徒歩約5分の場所にあり、1897年にそこで亡くなっています。現在もその近くにはブラームス像が建っています。

なお、《交響曲第2番》は、避暑地ペルチャッハで大部分が作曲されました。

画像: ブラームス像

ブラームス像

画像: ブラームス住居跡の銘板

ブラームス住居跡の銘板

▷ブルックナー

ブルックナーはウィーン国立音楽大学やウィーン大学で教鞭を執りながら、大学近くの住居で18年間にわたり創作活動を続けました。

《交響曲第8番》もその住居で完成しています。

晩年には皇帝フランツ・ヨーゼフから住居を提供され、その建物で1896年に生涯を閉じました。

画像: ブルックナー住居跡の銘板

ブルックナー住居跡の銘板

画像: ブルックナー最期の家跡

ブルックナー最期の家跡

指揮はウィーン・フィルと深い信頼で結ばれたムーティ

ツアーで鑑賞する2公演を指揮するのは、リッカルド・ムーティ。

1971年、ヘルベルト・フォン・カラヤンの招きでザルツブルク音楽祭にデビューして以来、55年以上にわたりウィーン・フィルと共演を重ね、その回数は500回を超えています。

さらに、ニューイヤー・コンサートの指揮者には現役最多となる7回選ばれており、そのことからも、ムーティとウィーン・フィルとの揺るぎない信頼関係がうかがえます。

本場だからこそ味わえる、特別な音楽の旅

同じプログラムを日本公演に先駆けて鑑賞できることに加え、作品が初演されたホールで、その伝統を受け継ぐウィーン・フィルの演奏を聴く——。

さらに、作曲家たちが暮らし、創作を続けた街を歩くことで、音楽への理解はより深まり、忘れられない旅となるでしょう。

10月ツアーは、演奏会を「聴く」だけでなく、音楽の歴史や文化そのものを体感できる、特別な体験が待っています。

10月ツアーの詳細はこちら

11月・2月のウィーンツアーの詳細はこちら

同行講師のご紹介

画像: 講師:山本 直幸氏

講師:山本 直幸氏

ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。

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