コップンカー!前回に引き続き、タイの各地方の魅力をご紹介していきます!第二弾の今回はクメール遺跡とメコン川沿いに見れる雄大な自然が見所のタイ東北部の観光地についてご案内させていただきます。まだまだ日本人には馴染みのない地域ですが、実は遺跡・自然・料理など魅力がたっぷり詰まっているんです!タイへの渡航には難しい日々が続きますが、ぜひ次のご旅行選びにお役立ていただけると幸いです。

タイ東北部はこんなところ!

イサーンとも呼ばれるこの地域はタイの国土の約3分の1を占めるほど広大な地域で、20もの県があり、大きく南イサーン北イサーンの2つの地域に分類されます。

大河メコン川を境に北から東はラオス南はカンボジアと接していることもあり民族的にも歴史的にも両国の影響を大きく受けています。灌漑用水の整備が遅れるなどの影響でタイの中で最も貧しい地域と言われていますが、見渡す限りの大平原と田園風景は皆様の心をきっと癒してくれるに違いありません!

14世紀後半にアユタヤ王朝が強大な力を持つまでは、9世紀にカンボジアの王様によって開かれたクメール帝国により支配されていたという歴史があります。その間に多くのクメール建築が築かれたので、遺跡を訪れる旅行者も多いです。

旅におすすめの季節

なだらかな高原地帯の東北部は、首都バンコクと同様に熱帯モンスーン気候地域に属すため、最も快適なのは雨が少ない11~2月の乾季です。この時期なら雨の心配もさほどなく観光できますが、5月中旬からの雨季でも年間を通じて比較的降水量が少ないため1年中観光をお楽しみいただけるようになっています。

南イサーン(ナコン・ラーチャシーマー、スリン)

【ナコーン・ラーチャシーマー/イサーン地方への玄関口】

この町は昔から東北部の交通の要衡として栄え、標高100~200mの高原地帯にあることから、通称「コラート(高原)」とも呼ばれています。お濠に囲まれた旧市街には歴史の面影が残り、東西南北4つの城門や城壁の跡が残ります。旧市街の中だけであれば徒歩でも楽に見て回れる範囲に観光スポットがまとまっています。東北部の最大の都市としてバンコクから東北部へ延びる道路や鉄道はいずでもこの町で北と東へ分岐しているので、東北部観光の起点となる町です。

■ピマーイ歴史公園
タイの遺跡と言えばアユタヤやスコータイ遺跡が有名ですが、東北部の平原にも数多くの古い遺跡が点在しています。ここはタイの東北部で最も有名な寺院で、数あるクメール遺跡の中でも珍しいアンコール・ワット様式のものであることからタイのアンコール・ワットとも称されています。

ピマーイ歴史公園(写真提供:タイ国政府観光庁)

多くのクメール遺跡は朝日を浴びる為に東向きに建てられていますが、ピマーイ遺跡はなぜか南を向いています。南門の方向にはその昔アンコール王都に続いていたという道が今も残っているということから、王都の方角に向けて建てられたとする説が有力ですが、真相は今も謎に包まれたままです。

■カオヤイ国立公園
タイには合計5つの世界遺産がありますが、その内の1つが正式名称ドン・パヤーイェン-カオ・ヤイ森林群です。タイで初めて認定された国立公園で、2005年7月世界自然遺産に登録されました。カオヤイはタイ語で「大きな山」という意味を持ち、その名の通り面積の約85%が森林に覆われ約95種の樹木から成り立っています。野生のゾウやトラ、その他絶滅の危機に瀕した哺乳動物が生息するタイ国内でも数少ない地区のひとつです。

カオヤイ国立公園(写真提供:タイ国政府観光庁)

カオヤイ国立公園(写真提供:タイ国政府観光庁)

【スリン/象祭りで有名な小さな町】

象で有名なスリン市内には象の像がいくつも点在しています。毎年11月に開催される象祭りには多数の象が集合して市内をのし歩き、町は大勢の旅行者で賑わいます。お祭り以外は静かでのどかな地方都市ですが、カンボジア国境に近いこともあり、郊外にはクメール時代の遺跡も残っています。

■スリン象祭り
タイ全土から集結する200頭以上の象が織りなす壮観なお祭りを一目見ようと世界中から観光客が訪れるイベントです。カラフルにお化粧された象のパレードや象と人による綱引き、サッカー、丸太運びなど、古くから象との深い関わり合いを持ち、生活を共にしてきたスリンの町ならではの生活を知ることができるショーは圧倒されるに違いありません。

スリン象祭り(写真提供:タイ国政府観光庁)

スリンが象の町と呼ばれる理由
18世紀、神聖な動物として崇められている白象が当時の首都であったアユタヤから逃走してしまいました。その白象を捕らえて国王に寄進したクーイ族の族長、スリン・パクディーが後にスリンの町の初代領主となったことや、クーイ族は伝統的に象の扱いが上手いこともあり象の町として有名になったといわれています。

北イサーン(ウドンタニ、ノーンカーイ)

【ウドンタニ/タイ東北部の開発都市】

フランスがインドシナ半島の植民地化を進めた19世紀にフランスとの軍事戦略上の必要性から造られた町がこのウドンタニです。ベトナム戦争時には北爆へと出撃するアメリカ空軍の基地がある町として多数のアメリカ兵が駐屯したことにより急速な発展を遂げ、わずか1世紀の間に人口40万人近い北イサーン随一の大都市へと発展を遂げました。

■バンチェン遺跡
1992年に世界文化遺産に登録された、ウドンタニ郊外にある先史時代の遺跡です。
1966年にハーバード大学の学生が転んだはずみに土器が地表に出ているのを発見し、発掘当初は7000年程前の遺跡とされ世界最古の農耕文明化なのではないかと騒がれました。しかし、最新の研究では紀元前3000年~2000年頃のものと推定されていますが、未だ確かなことは不明です。
見所は大量に出土した素焼きの土器で、独特の彩色と文様はバンチェン遺跡だけのオリジナル

バンチェン遺跡から出土した土器(2019年1月弊社スタッフ撮影)

バンチェン遺跡の発掘跡(2019年1月弊社スタッフ撮影)

■プー・プラ・バート歴史公園
先史時代にはここに住人がいたと言われており、当時の人たちが描いた絵が岩壁に残っていたり、大小さまざまな奇岩が残る珍しい場所です。まだまだ歴史的背景は謎に包まれていますが、公園は奇岩を結ぶようなちょっとしたハイキングコースになっているため、全て見て回ると2~3時間はかかります。木陰が少ないため、日傘や飲み物は持参していきましょう!

奇妙な形をした岩がたくさん!(2019年1月弊社スタッフ撮影)

サンゴのような…こちらも不思議な形の岩!(2019年1月弊社スタッフ撮影)

■クンパワピー
ウドンタニ市内から南東へ約1時間半、紅い睡蓮の海(正式名:ノーンハーン湖)と名付けられた湖が広がっています。総面積約36k㎡の広大な湖では、毎年12月から2月上旬にかけての早朝、水面が紅い睡蓮の花で埋め尽くされ、朝日に照らされたその姿は、その名の通り湖が紅く染まる幻想的な景色が見られます。写真愛好家の方はもちろん、イサーン地方へ足を運んでいただいたならぜひ訪れてほしい絶景がここには広がっています!!

ノーンハーン湖に広がる睡蓮(2019年1月弊社スタッフ撮影)

朝日に照らされた湖(2018年1月弊社スタッフ撮影)※朝日は天候によりご覧いただけない場合もございます。

【ノーンカーイ/ラオスとの国境の町】

ノーンカーイはメコン川をはさんでラオスと国境を接し東西に細長く伸びている町です。昔からタイとラオスとの間の領土争いに巻き込まれていたため、19世紀にようやく町の基礎が出来上がりました。1960年代のインドシナ紛争により一時期は国境が閉鎖されましたが、1990年代に入り情勢が落ち着いたこともあり国境は再び開かれ、交易も再開されました。

■タイ・ラオス友好橋
1994年4月にオーストラリアの援助で完成したメコン川に架かる橋です。全長は約1.2km、片側1車線ずつで橋の両側には歩道が設けられていて、途中までは歩いていくことができます。国境を越える場合は徒歩では行けない為、車か鉄道で越えることとなります。

徒歩では途中まで行くことができます!(2019年1月弊社スタッフ撮影)

メコン川に架かる橋の向こう側はもうすぐラオス!(2019年1月弊社スタッフ撮影)

■ワット・パー・ターク・スア
タイ語で「パー=崖、タクスア=洗濯を干す」の名を持つこのお寺ですが、高台にあるため、かつて町まで托鉢に出かけた僧侶たちが山頂まで登って帰ってくると袈裟が汗だらけになり、すぐさま洗濯をして袈裟を干していた光景から、その名が付いたと言われています。人気の写真ポイントは、2016年に完成した境内に設置される崖からU字形に張り出したスカイウォークです。雄大なメコン川、対岸のラオスまでをも一望できるようになっています!

スカイウォーク(写真提供:タイ国政府観光庁)

境内(写真提供:タイ国政府観光庁)

最後に

タイには5つの世界遺産がありますが、そのうちの2つが東北部にはあるのは驚きですよね!
古代の農耕文明や暮らしを垣間見ることのできる遺構や、その後のクメール王朝時代の遺跡が見られる歴史性と、ラオスやカンボジアなどと国境を接していることからこそ育まれてきた独自の伝統文化が魅力的です。まだ東北部に訪れたことがないタイリピーターの方はもちろん、初めてタイを訪れる方もぜひ一度、バンコクとはまた違ったのどかでのんびりしたこの土地をぜひ訪れてみてください!

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