カメラ選びでつまずきやすいセンサーサイズ
写真を趣味として始め、初めてカメラを選ぶにあたり「センサーサイズ」を理解しておくと、カメラだけでなくレンズの評価基準も分かってきます。高価な買い物になるため、初心者だからこそ値段の基準を知っておくと失敗せずに済むでしょう。
【当記事をお読みいただけると下記のことが分かります】
- センサーサイズの違いと特徴
- カメラやレンズの評価基準
- 一眼とスマホの違い
- フルサイズとAPS-Cの違い
【目次】【初心者向け】フルサイズとAPS-Cの違いは?|一眼カメラのセンサーサイズ解説
1.イメージセンサーとは
まずは「センサーサイズ」の「センサー」にあたる、「イメージセンサー」についてご説明いたします。
イメージセンサー=「フィルム」
当時、カメラで写真を撮るためには「フィルム」が必要でした。デジタルとなり、その代わりとなる部品が「センサー(イメージセンサー)」(※写真の赤枠)です。フィルムは「感光(光を当てる)」させることで絵をフィルムに焼き付けていましたが、現在のカメラではそれをデジタル化し、感光することで画像を作り出す、カメラにとっては命ともいえる部品になります。
「センサーサイズ」とはこのイメージセンサーの大きさのことを指しており、この違いがカメラの特徴を大きく決定づける要因となります。
2.センサーサイズの種類
イメージセンサーには大きさにいくつか規格があり、それによって名称も変わります。
主に使われているセンサーサイズは5つ。
- フルサイズ
大きさがフィルムカメラ時代の主流「35mmフィルム」のサイズに近いことから「35mmフルサイズセンサー」の名称が付けられています。得られる写真の質は非常に高いですが、製造コストも高くプロ・ハイアマ用の高級機に多い傾向にあります。 - APS-C
Advanced Photo System type C(Classic)の略。縦横比が古くから用いられた35mmフィルムと同等の比率であるため「Classsic」が用いられています。
フルサイズに比べ画質を極力落とさず、小型化・製造コスト削減された規格であり、初心者~ハイアマチュア向けの機種に多い傾向にあります。 - フォーサーズ(マイクロフォーサーズ)
LUMIX(パナソニック)とオリンパスのミラーレスカメラにのみ搭載されている専用の規格です。小型で携帯性を維持したまま高画質を実現しています。初心者~中級レベルの機器が多い傾向です。 - 1型
主にコンパクトデジタルカメラに搭載されているセンサーサイズ。画質は日中の写真であれば上記のサイズと比べほとんど差はなく、ボケもこの規格であれば楽しむことができるでしょう。 - 1/2.3型
今ではスマホにも搭載されることのあるセンサーサイズです。ボケ感をそのまま楽しむことは難しいですが、多くは疑似的にボケを加工し作成できる機種が多い傾向にあります。
他にもフルサイズよりさらに大きな「中判(ミディアムフォーマット)」と呼ばれる規格などありますが、これは初心者の方はほとんど触れることのないものですので、今回は除外します。
また、大まかにセンサーサイズとカメラの種類の分布も記しています。例外のカメラもありますが、参考にはなるかと思います。
3.センサーサイズが与える影響
では、センサーサイズが変わることによって、写真にはどのような影響があるのでしょうか。
画質が変わってくる(ダイナミックレンジ)
センサーサイズが大きいということは、光を受ける面積が広いということです。例えば同じ環境で、フルサイズとスマホのセンサー(iPhone Xの場合 : 1/2.9型 ※正式発表ではない)で撮った写真を比較してみます。
スマホで撮られた写真は全体にノイズがのっていることがわかります。同じ環境での撮影の場合、より多くの光(データ)を取り込むことができるのはセンサーサイズの大きいほうです。この差が画質に直結しているといえます。
ただし昼間の場合にはどちらのセンサーにも十分光が入るため、一見するとあまり差は感じません。スマホでも一眼に引けを取らないと言われる所以ですね。
写真のボケの量が変わってくる
「フルサイズはよくボケる」という言葉をよく耳にしますが、これには少し語弊があります。細かくは述べませんが、 『35mm換算』で 焦点距離・F値の同じレンズで比較した場合はセンサーサイズに比例してボケ量は多くなります。言い方や条件を変えてしまうと、一概にボケやすいとは言えないため、注意が必要です。
全く同じレンズ、同じ設定で焦点距離のみ各センサーサイズに合わせ撮影している写真になります。背景の花が、フルサイズの方がわずかではありますがボケているのがお分かりになるかと思います。
値段が変わってくる
センサーサイズが大きくなることに比例して、基本的には値段も上がっていきます。カメラ本体の値段も高くなりますし、レンズもセンサーサイズが大きくなると高額となりますので、総額で考えると大きな差が開くことになります。
カメラ本体・レンズの大きさ・重さが変わってくる
センサーサイズが大きくなると、それを包むカメラのボディ自体も当然大きくなります。「一眼レフ」「ミラーレス」など、カメラの種類によってもその基準は変わりますが、レンズもセンサーサイズに比例して大きく、重くなる傾向にあります。
「画素数」とは別物
初心者の方にとってここが最も混乱するポイントかと思います。「〇千万画素搭載」というような謳い文句で掲載されることのある「画素数」ですが、これは「センサーの中にいくつの画素が詰まっているか」を示した値になります。
画素数が大きいことの利点は、写真をより拡大することができます。写真を撮った後に小さいものを大きく拡大できるので、例えば望遠レンズを忘れてしまった、もしくは持っていない場合でも撮った後に拡大して対応することができるわけです。
4.「フルサイズ」「APS-C」の違いについて徹底検証
現在、一眼レフカメラとミラーレス一眼カメラにおいて、多く使われているセンサーサイズは「フルサイズ」と「APS-C」となり、これから一眼カメラの購入を検討されている方はこの2つで悩まれる方も非常に多いと思います。
そこで今回、初心者の方が分かりやすいように同じ場所で撮影した写真や、同条件での項目ごとの比較をしながら、2つの違い・差を徹底的に検証いたします。
画質の違い(ダイナミックレンジ)
上記でも述べていますが、『センサーサイズが大きい=光を受ける面積が広い』ということです。同じ環境で、フルサイズとAPS-Cのセンサーで撮った写真を比較すると、APS-Cで撮られた写真は暗部に少しノイズがのっていることがわかります。ただし、スマホとの比較に比べれば差はわずかで、一見大きな違いは見られません。
ただし暗い部分であったり、写真を撮るのに条件の難しい環境下で差が出てきます。作例のような環境では一見すると違いがわかりにくいですが、空の部分をよく見るとフルサイズの方が真っ白にならず、わずかに鮮明に写し出されていることがお分かりいただけるかと思います。
暗い環境下でもほとんど差がないようにも見えますが、暗部をよく見るとわずかにAPS-C側に細かなノイズがのっています。ただし、フルサイズの方が「ボケやすい」という性質上、全く同じ数値で撮影した場合はピントの合う範囲が狭く、線路の手前、奥がそれぞれ少しボケていることが分かります。「解像感」という点でいえばAPS-Cの方が調整しやすいともいえます。
画角の違い
まったく同じレンズを付けた場合、フルサイズとAPS-Cには写る範囲(画角)に差が生じます。まずは同じ場所から同じレンズ(単焦点レンズ)を取り付けて、フルサイズとAPS-C、それぞれのカメラで撮影した写真を比較してみます。
APS-Cの方が望遠になっていることがお分かりいただけると思います。「トリミング(クロップ)」と呼ばれる写真・画像編集(※下記参照)がありますが、センサーサイズが変わるとこれと同じ現象が起こります。「切り取られる写真の範囲が変わる」ということですので、レンズの画角に影響してくるというわけです。
では、レンズの「焦点距離」は何を基準に決められているのでしょうか。取り付けるカメラによって変わってしまうのであれば、値がわからなくなってしまいます。
実は基本的にレンズの焦点距離は「フルサイズ」を基準に定められています。例えば先ほどの作例「焦点距離:50mm」は、フルサイズのカメラに取り付けた場合の値ということです。
試しに先ほどのフルサイズで撮られた写真をトリミングし、APS-Cで撮られた写真と比較してみます。
ほとんど同じ写真になりました。センサーサイズが小さくなるということは、その面積に比例して写真に写る範囲、画角は狭くなります。上記の写真は約1.6倍にトリミング(クロップ)されています。APS-Cセンサーの大きさはメーカーによってわずかに異なり、今回はCANONのカメラを使ったため約1.6倍でしたが、他のメーカーの場合には約1.5倍となります。
「焦点距離:50mm」のレンズをAPS-Cで使用した場合、フルサイズで使用したときの1.6倍望遠、「焦点距離:50mm × 1.6 = 80mm」で写るということです。この「フルサイズで使用したときの値」に換算する方法を、「フルサイズ換算(35mm換算)」といい、レンズを購入・検討する際には気をつけなければならないポイントです。
「大は小を兼ねる」言いますが、取り付けられるレンズもセンサーサイズに左右されます。フルサイズ用のレンズであればフルサイズのセンサーサイズに応じてレンズが大きく作られているため、APS-Cのカメラでも接合部(マウント)が同じであれば使えます。しかし、APS-C用のレンズではセンサーサイズに合わせ小さくレンズが設計されているため、フルサイズでは使うことができません。
値段の違い
センサーサイズが大きくなることで基本的にはお値段も上がります。発売時期でもお値段が変わってしまうため、一概にセンサーサイズのみで比較はできませんが、私もメインで使っているCANONで比較してみます。
EOS R | EOS Kiss M | |
---|---|---|
センサーサイズ | フルサイズ | APS-C |
値段 | ¥214,500 | ¥76,450 |
発売日 | 2018/10 | 2018/5 |
※2020/9/29時点のヨドバシカメラホームページより参照
全く同じカメラではないため正当な比較とは言えませんが、同じ「ミラーレス」でもここまで差が生じます。フルサイズは玄人用、APS-Cは初心者用を目的に製造されることが多く、機能面や重量にも差が出ることから、価格にもこれだけ違いが出ます。
大きさ・重さの違い
EOS R | EOS Kiss M | |
---|---|---|
センサーサイズ | フルサイズ | APS-C |
質量 | 約580g | 約354g |
大きさ (幅×高さ×奥行) | 135.8mm × 98.3mm × 84.4mm | 116.3mm × 88.1mm × 58.7mm |
カスタムボタン数 | 19種 | 5種 |
値段と同じカメラで比較してみましょう。やはりフルサイズの方が重たく、大きいです。デメリットにも思えますが、グリップ感(持ちやすさ)や堅牢性が増しているともいえます。軽いほうが持ち運びに適していることは間違いないため、この辺りは撮影目的や自身の体力と相談しつつ選択する必要があるでしょう。
また、上記でも少し述べましたが、センサーサイズの大きさに比例して対応しているレンズの大きさも大きくなります。
5.【まとめ】一眼初心者にオススメのセンサーサイズは
おすすめはAPS-C
値段や性能を比較していくと、現状最もコストパフォーマンスに優れているセンサーサイズは恐らく「APS-C」でしょう。画質を保持しつつ、価格帯もフルサイズに比べ多少落ち着いています。何よりボディの大きさが手にフィットするギリギリで保たれるところまで小さく、レンズも含め携帯性に優れているため、初心者が最初に手にするカメラとしては「APS-C」の「ミラーレス」カメラがコスパもよくおすすめです。
では、「初心者からフルサイズを買ってもいいの?」という疑問が浮かぶかと思います。答えは大丈夫です。むしろ予算と興味があるのであれば、初心者の頃から高いカメラを買ってしまったほうが良いでしょう。フルサイズのセンサーを搭載したカメラで、使い勝手がよっぽど悪いカメラはほとんどありません。間違いが起こらず、その他性能もよいカメラが多いので、撮っていて難しさが減る(カメラ任せにできる)かと思います。
以上を踏まえた上で、初心者の方のカメラの選び方に特化した記事も更新しております。ぜひご覧ください。
家電量販店でカメラの違いを見てみよう
この分野は単語や数字がややこしいですが、覚えるとカメラの値段基準が分かってきます。何が安く、何が高いのかがわかると、新しいカメラやレンズが出てきたときに自ら判断ができます。ぜひ、家電量販店のカメラコーナーに足を運んでみてください。インターネットでカメラの比較をしてみるのもよいでしょう。面白い発見がたくさんあるかと思います。
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