第3回目の船旅チャンネルでは、ドナウ川クルーズをご紹介します。ドナウ川は「母なる大河」「ヨーロッパの大動脈」とも称され、ヨーロッパの発展に深く関わってきました。ドナウ川は非常に長く、河岸の寄港地や見どころが多いため、前編・後編の2回に分けてご案内します。
前編では、ドイツ・パッサウから、オーストリア、スロバキア、そして「ドナウの真珠」ハンガリーの首都ブダペストを訪ねます。

ヨーロッパの大動脈、ドナウ川とは?

ドナウ川・・・
聞いたことあるけど
どこを流れているの?

ドナウ川とは?
ヨーロッパで2番目に長い川で、全長約2860km(東京から本州最南端、鹿児島県の佐多岬間を往復する程度の距離!)、ヨーロッパ10ヵ国(①ドイツ、②オーストリア、③スロバキア、④ハンガリー、⑤クロアチア、⑥セルビア、⑦ルーマニア、⑧ブルガリア、⑨モルドバ、⑩ウクライナ)を流れ、黒海にたどり着きます。まさにヨーロッパの大動脈と呼ばれる大河です。
このように非常に長いため、上流、中流、下流と流域が3つに分けられています。
上流
ドイツ南西部のシュヴァルツヴァルト(源流)からスロバキアまで
中流
ハンガリーからセルビアまで
下流
ルーマニアからウクライナ、そして黒海へ

画像: 地図提供©️JEIBA

地図提供©️JEIBA

ドナウ川クルーズとは?
ドナウ川クルーズはリバークルーズの王道航路の一つ。そのため他の航路に比べて、発着地、寄港地、泊数と多種多様なツアーが設定されています。
時期
例年4月頃〜11月頃まで運航しているので、予定を立てやすいのも嬉しいポイントです。
若葉薫る新緑の季節、可憐な花々が美しい初夏、木々が色づく黄葉の秋等、どの季節に訪れたいか、じっくりご検討ください。
筆者のおすすめは、6〜7月の初夏です。日も長く、展望デッキで移りゆく風景をしばし眺めるにも寒くない頃合いかと思います。
航路
寄港地、寄港(滞在)時間、すなわち航路選びも旅の重要なポイントです。
代表的な航路は、上流部のドイツからオーストリア・ウィーンまたはハンガリー・ブダペストまで、泊数は7〜10日前後が多いです。上流から下流、黒海までの横断クルーズとなると、泊数は2週間前後の行程もあります。

ずいぶんと沢山あるのね〜迷っちゃうわ
行ったことある人、オススメのツアー教えて!

今回はドナウ川クルーズの中でも人気の寄港地、オーストリアのリンツ、メルク、デュルンシュタイン、ウィーン、そしてスロバキアの首都ブラチスラバ、ブダペストを訪ねる7泊8日のクルーズをご紹介します。
尚、リンツ、メルク、ウィーンについては、<船旅チャンネル>第1回 クリスマスクルーズの記事をご参照ください。

今回の航路マップ

画像: 地図提供©️オーシャンドリーム

地図提供©️オーシャンドリーム

それではいよいよ、ドナウ川クルーズへ!
BGMは「美しく青きドナウ」をオススメします!
※以前に体験乗船をした際の内容の為、一部の仕様等は変わっている場合もございます

見どころ/乗船地 ヨーロッパを繋ぐ水路の要衝 パッサウ

今回はクルーズの始まり、乗船地パッサウからご紹介します。ドイツ南東部に位置するオーストリアとの国境沿いにあり、ドナウ川、イン川、イルツ川の3つの川が交差し、唯一無二の地形に恵まれた町です。3つの川は、それぞれ水源、水質の違いにより、川色が微妙に異なるのもユニークです。北にドナウ川、南にイン川に挟まれた地形の突端に旧市街があり、小さな町なので歩いて周ります。

画像: パッサウから出港(弊社スタッフ撮影)

パッサウから出港(弊社スタッフ撮影)

パッサウの訪問は、午前中から昼頃の時間帯をお勧めします。街のシンボルでもある聖シュテファン大聖堂には、世界最大級の教会パイプオルガンがあり、初夏から秋の間、毎日正午から約30分、美しく荘厳な音色が響きます。

パッサウは、別名Dreiflüssestadt(ドライフリュッセシュタット)といいます。これは、Drei:3、Flüsse:河川、Stadt:町という3つの単語がくっついてできた名称です。
(大学時代、ドイツに留学していた経験がようやく役立ちました)

見どころ/寄港地①ドナウ川流域内 屈指の景勝地 世界遺産ヴァッハウ渓谷

オーストリアに入り、ドナウ川流域の中でも、世界遺産に登録された景勝地ヴァッハウ渓谷があります。ヴァッハウ渓谷はメルクからクレムスまでの約36kmの区間を指し、丘を背にした両岸には城郭や修道院、小さな町が点在します。

デュルンシュタイン
世界遺産ヴァッハウ渓谷クルーズ中、一際歓声が上がった美しい村、デュルンシュタイン。オーストリアで最も美しいといわれるバロック様式の水色の尖塔をもつ教会が見えると展望デッキに人が集まり、誰しも夢中に写真を撮り合います。村に降り立ち、散策を始めると緩やかな傾斜を利用して一面に広がるブドウ畑、そして15世紀から続くワイン醸造農家、可愛いらしい商店や石畳みの路地が続きます。お店をのぞくと、この村の名産アプリコットを使ったジャムやリキュール、菓子や石鹸が並びます。そして船上から見た水色の教会を訪ねます。

画像: 船上からのデュルンシュタイン©️Croisi Europe

船上からのデュルンシュタイン©️Croisi Europe

この教会は、聖堂参事会修道院教会といい、外壁は鮮やかなイエロー!このイエローの壁に着目された方は相当の中欧・オーストリア通ですね。そうです、あのウィーンのシェーンブルン宮殿もイエローの外壁です。これは、「シェーンブルン・イエロー」「ハプスブルク・イエロー」ともいい、バロック末期、オーストリアの公共建築物の塗装カラーとして、流行した色です。20世紀に至るまでオーストリアとハンガリーを象徴する色となり、鉄道駅と政府庁舎のほか、宮殿、修道院、教会の多くでこのシェーンブルン・イエロー色が用いられました。

船会社やツアーによっては、ワイナリーを訪ねたり、船で貸し出している自転車で、気持ちの良いサイクリング体験もできますよ!

見どころ/寄港地②この居心地の良さはどこから?ブラチスラバ

スロバキアの首都ブラチスラバは、ガイドさんと一緒に旧市街を散策しました。筆者もヨーロッパ各地を訪れていますが、首都でありながら、こんなにも穏やかな街並みで、見どころがぎゅっと集約されて歩きやすい街はなかなか思い付きません。
写真①の後方に映る塔は、ミハイル門といい、昔は旧市街を囲って4つの門がありましたが、今でも残されている門は、このミハイル門のみです。現在は武器庫博物館として、見学も可能です。
続いて写真②の淡いピンク色の建物は現在の市庁舎で、18世紀、ハンガリーの大司教の冬の宮殿として建設されました。

画像: ブラチスラバの町並み①(弊社スタッフ撮影)

ブラチスラバの町並み①(弊社スタッフ撮影)

画像: ブラチスラバの町並み③(弊社スタッフ撮影)

ブラチスラバの町並み③(弊社スタッフ撮影)

画像: ブラチスラバの町並み②(弊社スタッフ撮影)

ブラチスラバの町並み②(弊社スタッフ撮影)

画像: ブラチスラバにある日本大使館(弊社スタッフ撮影)

ブラチスラバにある日本大使館(弊社スタッフ撮影)

写真③は広場の一風景ですが、この写真で何をお伝えしたいかといいますと、黄色の車の上に日本の国旗があるのを見つけていただけましたか?この日の丸の掲げられた建物は在スロバキア日本国大使館です。旧市街の中心地、フラヴネー広場に面しており、ブラチスラバを訪れた人は、誰もがこの日本の国旗を目にすることと思います。「まさか、日本から遠く離れたブラチスラバで菊の御紋をみれるとは...」と感慨深い気持ちになりました。

見どころ/寄港地③「ドナウの真珠」の愛称がピッタリの美しい街、世界遺産ブダペスト

ブダペストでは、船会社主催の半日バスツアーに参加します。今回はドライブツアーが中心のため、車窓からゆったりと寛ぎながら世界遺産の街並みをお楽しみいただけます。 特にブダペストの主要な観光地は広範囲なため、まずはドライブツアーでひと通り眺めて、バスツアー後の自由時間で気になった観光地を絞って訪れるのがお勧めです。中央広場、劇場、聖イシュトヴァーン大聖堂、英雄広場、マーガレット橋を通り、国会議事堂、王宮をドライブし、その後マーチャーシュ教会、漁夫の砦では下車観光の時間が設けられ、ドナウ川の対岸に広がるペスト地区を一望できました。

画像: マーチャーシュ教会(弊社スタッフ撮影)

マーチャーシュ教会(弊社スタッフ撮影)

漁夫の砦(弊社スタッフ撮影)

画像: ペスト地区を一望、川の向こうに国会議事堂(弊社スタッフ撮影)

ペスト地区を一望、川の向こうに国会議事堂(弊社スタッフ撮影)

船内で昼食後、停泊場所が中央市場にほど近いことがわかり、お土産探しに行ってきました。
1階は主に食料品、2階は民芸品、土産物(ハンガリー特有の色鮮やかな刺繍の小物類)が沢山あり、まさに買い物天国!

画像: 中央市場(弊社スタッフ撮影)

中央市場(弊社スタッフ撮影)

画像: ブダペストの刺繍入り小物(弊社スタッフ撮影)

ブダペストの刺繍入り小物(弊社スタッフ撮影)

今回の航路ではブダペストに停泊するので船上から夜景もたっぷりと満喫!車や人出を気にせず、両岸のライトアップされた景色をゆっくりと、好きな時に、自分のタイミングで見ることができるのも、ドナウ川に浮かぶ船にいるからこそ!!

画像: ライトアップ姿の国会議事堂(弊社スタッフ撮影)

ライトアップ姿の国会議事堂(弊社スタッフ撮影)

画像: 船上からのブダペスト夜景①(弊社スタッフ写真)

船上からのブダペスト夜景①(弊社スタッフ写真)

画像: 船上からのブダペスト夜景②(弊社スタッフ撮影)

船上からのブダペスト夜景②(弊社スタッフ撮影)

突然ですが、ここでクイズです。
日本とハンガリーには、ある重要な共通点があります。(ヒントは名前です。)
答えは、ハンガリーはヨーロッパで唯一、日本のように苗字を先に名乗るのです!
ハンガリー人ははるか昔、ウラル山脈辺りに住んでいましたが、5世紀頃より西へ移動し始め、ヨーロッパに定住したアジア系民族なのです。そのためハンガリー語には、日本語の文法に似た部分もあるのです。

幼い頃、カレンダーの1枚にあったドナウ川から臨むブダペストの国会議事堂の写真に釘付けになり、「いつか絶対この目で見るんだ」と心に決めた場所でした。今思えば、初めて抱いた海外への憧れだったと思います。
読者の皆様も、そんな場所はありますか?

「河上の宮殿、それとも浮かぶ美術館!?」客船S.Sベアトリス (紹介動画付き)

画像: Uniworld - S.S. Beatrice youtu.be

Uniworld - S.S. Beatrice

youtu.be

今回乗船した「S.S.ベアトリス」は、リバークルーズ界の中でも老舗、極上のおもてなしと調度品自慢ユニワールド社の客船です。筆者が乗船したのは2015年の秋でしたが、昨年大改装が行われ、より一層美しく生まれ変わりました。動画でもみていただける通り、こだわり抜いた内装やシャンデリア、絵画や骨董品等は本物かつ、ピカソの作品まで飾られている客船は他に類を見ません。
まさに河上の動く美術館です。

客室について
船内には5つのタイプの客室があり、下図のデッキプラン(船内見取り図)より、ご説明します。

画像: デッキプラン提供©️オーシャンドリーム

デッキプラン提供©️オーシャンドリーム

上段:ラインデッキのオレンジ色の2室がロイヤルスイート客室(38㎡)、クリーム色の2室がグランドスイート客室(33㎡)、紫色がスイート客室(25㎡)、ターコイズブルー色がデラックスフレンチバルコニー客室(19.5㎡)
中段:ドナウデッキはフレンチバルコニー客室(12.5㎡)
下段:モーゼルデッキはクラシック客室(12.5㎡)
こちらはスイート客室の画像と見取り図です。

画像: スイート客室©️UNIWORLD

スイート客室©️UNIWORLD

画像: スイート客室の見取り図©️UNIWORLD

スイート客室の見取り図©️UNIWORLD

さらに、ロイヤルスイート客室、グランドスイート客室には、バスタブ、ダブルシンク、テレビのついたバスルームも備え付いています
※スイート客室以下の客室タイプには、いずれもシャワーとなります。

画像: ロイヤルスイート、グランドスイート客室のバスルーム©️UNIWORLD

ロイヤルスイート、グランドスイート客室のバスルーム©️UNIWORLD

客室の備品ついて
エアコン、液晶テレビ、船内用電話、金庫、無料の飲料水、ドライヤー、バスローブ、傘。
船内の電力は220V、ソケット部分は丸2ピン(ヨーロッパCタイプ)
ちなみに、スイートルームには、バトラー(執事)のサービスもございます!

船内の食事について
S.Sベアトリスで提供される食事は、一味も二味も異なります。
他船同様、朝食、昼食はビュッフェスタイルで、夕食はコース料理です。一般的なリバークルーズでの夕食(コース料理)は前菜とデザートは同じもの、メインは魚か肉料理か選べるという具合ですが、この船では選べる範囲も広がります。この船ならではの具体例を挙げますと、肉料理の焼き加減は、ほかの客船でも、好みを伝えて焼いてもらえますが、この船では付け合わせの野菜やキノコも種類や調理方法も選ぶことができます。例えば、野菜は温野菜なのか、グリル野菜なのか、塩コショウのみ?バターでソテー?等、リクエストできるのです。
まさにあなたのための一皿が提供されるのです。
※料理写真は全て筆者撮影のものです。

画像: 夕食 前菜

夕食 前菜

画像: 昼食 ボリューム満点のサラダ

昼食 ボリューム満点のサラダ

画像: 朝食 ビュッフェ式

朝食 ビュッフェ式

画像: 夕食 メインの肉料理

夕食 メインの肉料理

画像: 昼食 シュニッツェル

昼食 シュニッツェル

画像: 夕食 デザート

夕食 デザート

飲み物(ワイン※ビンテージを除く、ビール、カクテル類、ソフトドリンク、コーヒー、紅茶やミネラルウォーター等)も料金に含まれているので、気兼ねなく頼めることも嬉しいポイントです。些細なことかもしれませんが、料金内のコーヒーというと、ブレンドを指しますが、この船ではカフェラテやカプチーノ等も追加料金は不要です。紅茶も5〜6種類と用意されており、気分や体調に合わせてお選びください。
そして、単に料理が美味しい、自分好みに注文できるから良い船なのではなく、それらを含め、サービスするスタッフも秀逸なところが、この船の素晴らしいところです。
例えば飲み物の好みを覚えてくれ、頼まずともサーブしてくれたり、日本に関する質問を投げかけてくれ会話もはずみました。
筆者の思い出話ですが、前述の付け合わせやメニューを選ぶ時好みを伝えるといっても、選ぶことが逆に面倒で、内心困っていました。そんな時、様々な種類の付け合わせを少量ずつ盛り付けてきてくれた対応がとても嬉しく、より一層食事が美味しく感じられました。
こうしたスタッフのホスピタリティ、決してNOノーといわないサービスは何年経っても忘れることはなく、今思い出しても、柔かなスタッフの笑顔や対応に「また乗船したい」「この船の素晴らしさをお客様にお伝えしたい」と思うのです。
リバークルーズを選ぶ時、航路や寄港地観光の内容、日程も重要なポイントです。さらには、どの船会社、どの船で旅をするかが旅の満足度に繋がってくると言えます。
この記事が、少しでも皆様の今後の旅計画のお役に立てれば嬉しい限りです。

今回のドナウ川クルーズ(前編)のご紹介はいかがでしたか?
次回の船旅チャンネルは2月11日頃を予定しております。ブダペストからさらに東、黒海へと続くドナウ川クルーズ後編をご紹介します。

前回のブログでは、船旅に関するアンケートにご協力いただきまして、誠にありがとうございました。船旅チャンネル第5回のブログ(2月25日頃)にて、解説の掲載を予定しています。
アンケート未回答でご協力いただける方は、下記セーヌ川クルーズのブログまで、ご回答をお願い申し上げます。

お問い合わせ先

クラブツーリズムでは、クルーズ旅行に関する最新情報を随時更新していきます!
是非引き続きご覧ください。
クルーズワールド旅行センター
【住所】〒160-8308 東京都新宿区西新宿6-3-1 新宿アイランドウイング
【TEL】03-4335-6262(外国船)
03-5323-5222(日本船)
【E-mail】cruise@club-tourism.co.jp
【電話営業時間】月曜~土曜9:15~17:30 (休業日:日曜・祝日)

「好奇心で旅する海外」テーマシリーズ公開中

<芸術百華>
『イタリア芸術』
<歴史の時間>
『え~?これも三国志?!』
<世界遺産浪漫> 
『世界遺産〇〇5選』
<船旅チャンネル> 
『欧羅巴リバークルーズ』
<癒しの空間> 
『世界の風呂でととのう』

クラブツーリズムから旅に関する最新情報をお届け

クラブツーリズムからメールマガジンをお届けしています。
1万件以上あるツアーの中から厳選した、人気のツアーや限定ツアーの情報をご希望の方はメルマガ会員への登録をお願いします。
◎クラブツーリズムのWEB会員でない方はこちらから
◎クラブツーリズムのWEB会員だけれどもメルマガは受信していない方はこちらから
※既にインターネット会員の方も、配信設定を変更することでメールマガジンをお受け取りいただけます。ログイン後、メールマガジンの設定を変更ください。
SNSでも最新の情報をお届けしています。旅に関する最新の情報を共有しましょう!
LINE
インスタグラム
facebook
youtube

This article is a sponsored article by
''.