名画に出会うベルリン絵画館
ベルリン絵画館(Gemäldegalerie)は、文化フォーラムの一角に建つ落ち着いた雰囲気の美術館です。観光地としては少し控えめな存在かもしれませんが、外観はモダンで重厚感があり、静かな環境の中に堂々と佇んでいました。館内に一歩入ると、シンプルながらも広々とした空間が広がり、自然光と照明が調和して作品を引き立てています。

ベルリン絵画館の外観 弊社スタッフ撮影
所蔵されているのは、13世紀から18世紀にかけての西洋絵画の数々。ラファエロ《聖母子》の柔らかく繊細な表現、フェルメール《真珠の首飾りの女》や《窓辺で手紙を読む女》に漂う静謐な空気、レンブラント《自画像》に映し出される深い人間性、そしてカラヴァッジョ《ナルキッソス》にみられる光と影の劇的な対比。名だたる巨匠の作品が空間ごとに並び、ただ“有名作品を鑑賞する”というよりも、時代ごとに移り変わるヨーロッパの美意識を歩いて辿るような感覚がありました。
なかでも印象に残ったのが、グイド・レーニの《大天使ミカエル》です。悪を踏みしめるミカエルの姿は力強さと気高さを併せ持ち、その堂々とした構図は一目で視線を奪います。鮮やかな赤と青の衣が光を受けて輝き、天と地を隔てるような緊張感が画面全体に漂っていました。宗教画でありながら装飾的な美しさも際立っており、絵の前に立つと「神話や信仰がどれほど人々の心を動かしてきたのか」を実感しました。
写真には収めましたが掲載することができず、私の主観とはなりますが、実物の迫力はやはり格別でした。大天使の表情は厳しくも穏やかで、単なる勝利の瞬間ではなく「正義を体現する存在」として描かれていることが伝わってきます。その力強さと優美さの両立に、しばらく立ち止まらずにはいられませんでした。ベルリン絵画館の中で出会った数々の作品の中でも、この一枚は特に心に残る出会いとなりました。
私が訪れたのはわずか1時間ほどでしたが、その短い時間でも十分に「美術館の空気」を味わうことができました。長い廊下に沿って展示室が続き、落ち着いた雰囲気の中で歩いていると、観光の喧騒から切り離された特別な時間を過ごしているように感じます。静かに鑑賞している人々の姿や、展示室ごとに漂う緊張感のような空気も印象的でした。
作品一つひとつをじっくり堪能するには時間が足りませんでしたが、それでも「ここでしか味わえない美術館の静けさ」と「名画に囲まれた贅沢な空間」を短時間ながら体験できたことは大きな収穫でした。ベルリン滞在の中で、街の歴史や賑やかな広場とはまた違う、心を落ち着けるひとときを与えてくれる場所だったと思います。
※展示の内容は変更になる可能性がございます。
歴史と眺望を楽しむベルリン大聖堂と博物館島
ベルリンの中心部、シュプレー川沿いにそびえ立つベルリン大聖堂は、街歩きの途中で思わず足を止めてしまうほど圧倒的な存在感を放っていました。大きなドームは青空に映えて一層壮麗に見え、川面にその姿が映る景色は、まるで絵画のようでした。近くまで歩いていくと、重厚な石造りの外壁や細部まで施された彫刻が目に飛び込み、プロイセン時代の権威と歴史を強く感じさせます。

ベルリン大聖堂と芝生に座る現地の方々 弊社スタッフ撮影
今回は内部に入る時間はありませんでしたが、外観だけでも十分に魅力的で、正面の広場に腰を下ろす人々の姿を眺めていると、そこが街の憩いの場になっていることがよく分かりました。観光客だけでなく、地元の方が芝生に寝転んだり、友人同士でピクニックをしたり、子どもが走り回ったりしていて、のんびりとした空気が広がっています。広場の中央には噴水もあり、水しぶきが太陽の光を受けてきらきらと輝き、そのまわりには自然と人が集まっていました。その風景を見ていると、「次は自分もここに座って、ベルリンの人々に混ざってゆっくり過ごしてみたい」と思わずにいられませんでした。
大聖堂の周辺は、世界遺産に登録されている「博物館島」の一部で、歴史ある博物館が立ち並び、建築群全体がまるで大きな屋外美術館のようです。博物館島が世界遺産に選ばれたのは、19世紀に築かれた「市民のための博物館」という理念を体現した都市計画の成果と、その集合体としての芸術的価値が評価されたためです。王侯貴族のコレクションを一般市民に公開し、知識や芸術を社会全体に広めようとした姿勢は、当時のヨーロッパにおける文化の大きな転換点でした。

ベルリンの旧博物館 弊社スタッフ撮影
島には旧博物館、新博物館、旧国立美術館、ボーデ博物館、そしてペルガモン博物館といった五つの主要な建物が並び、それぞれが異なる時代やテーマの文化財を収蔵しています。古代ギリシャやローマの遺物から、中世の宗教美術、さらには近代の作品まで、まるで「人類の歴史を歩く」ような構成になっており、その全体像が一つの小さな島に凝縮されているのです。これらの博物館群は個々の価値だけでなく、都市景観としての調和も含めて高く評価され、1999年にユネスコ世界遺産に登録されました。
散策していると、石造りの荘厳な建物と川の流れ、緑豊かな風景が調和し、都市の真ん中にいるのを忘れてしまうほどでした。次回訪れる機会があれば、内部や展望台からの景色もぜひ体験したいと思いますが、今回は外からの眺めと広場の雰囲気だけでも十分に心に残りました。大聖堂は、ベルリンの歴史や文化を象徴するだけでなく、人々の暮らしに溶け込む存在でもあるのだと感じました。
分断と再統一を感じるブランデンブルク門と壁跡
ベルリンといえば、まず思い浮かべるのが「ベルリンの壁」です。冷戦時代に街を東西に分断した象徴であり、今もその跡が市内のあちこちに残っています。実際に壁跡に立つと、観光名所としてではなく、かつてここに「越えてはならない境界」があったことを実感させられました。長い壁の一部は現在、カラフルなアートで彩られており、平和を願う作品やユーモラスな表現など、メッセージはさまざま。けれどどれも「自由への渇望」を強く語りかけてきます。この数十センチのコンクリートが家族や人生を引き裂いていたのだと思うと胸が詰まる一方で、それを今は人々が自由に眺め、写真を撮り合い、アートとして楽しんでいる姿を見ると、過去を乗り越えた街の力強さを感じました。

たくさんの観光客でにぎわうベルリンの壁跡 弊社スタッフ撮影

壁の断面図 弊社スタッフ撮影

平和の象徴である鳩がブランデンブルク門を取り払う様子を表したアート 弊社スタッフ撮影
ブランデンブルク門もまた、ベルリンを象徴する存在です。プロイセン王国の威厳を示すために建てられ、冷戦時代には壁のすぐ近くに位置し、通り抜けることのできない「境界の象徴」でした。再統一後に門をくぐった時、観光客の賑わいの中でふと、「この門が長い間、東西を隔てていたのか」と思うと歴史の重みを感じずにはいられませんでした。

ブランデンブルク門の裏側 弊社スタッフ撮影
そして街歩きの途中で印象に残ったのが「アンペルマン」の信号機です。アンペルマンとは、1960年代の旧東ドイツで誕生した歩行者用信号のキャラクターで、交通心理学者によって「子どもから高齢者まで一目で理解できる信号」を目指して考案されました。赤信号では両腕を広げて立ち止まる姿、青信号(現在は緑)では帽子をかぶって軽快に歩く姿が描かれています。再統一後には一時廃止の動きもありましたが、市民の間で「東独文化の大切なシンボル」として保存運動が広がり、結果的にベルリンの街に残されることになった経緯があります。今では街を象徴するデザインのひとつとなり、観光客にも地元の人々にも親しまれています。

ベルリンの街中の信号 弊社スタッフ撮影
赤も緑も人型のデザインがどこか愛嬌たっぷりで、街のあちこちで目にすると自然と笑顔になります。壁や門のように重厚な歴史を背負った場所を巡ったあとに、こうした遊び心ある存在に出会うと、ベルリンという街が持つ懐の広さと、過去を抱えながらも前向きに進んでいる空気を感じました。さらにアンペルマンは信号機だけでなく、街中のショップやお土産屋さんにも並んでいて、グッズの種類もとても豊富です。私は実際にクリップやキーホルダー、絵葉書を購入しましたが、どれも実用的でかさばらず、ベルリンを思い出させてくれる素敵な記念品になりました。お土産選びの時間もまた旅の楽しみの一部で、気がつけばつい手が伸びてしまう魅力がありました。

アンペルマングッズ 弊社スタッフ撮影
ベルリンの壁跡、ブランデンブルク門、そしてアンペルマン。重い歴史と、それを乗り越えて今を生きる人々の明るさ——その両方を肌で感じられたことは、今回の旅のなかで最も心に残る体験でした。
最後に
ベルリンは、歴史の重みと人々の明るさが交差する街でした。静けさに包まれた絵画館、芝生と噴水に憩う大聖堂前広場、そして壁跡やアンペルマンが語る街の記憶と今。短い滞在であっても、心に深く残る瞬間ばかりでした。もし次のご旅行先をお考えでしたら、ドイツ、そしてベルリンへ。きっとご自身だけの特別な物語に出会えることと思います。
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