フェルメールの絵画には、静かな時間が流れています。
しかし、その静寂の中に耳を澄ませると、まるで音楽が聞こえてくるような作品が数多くあります。
実は、フェルメールが残した作品のうち16点には 楽器 が描かれています。
彼が生きた17世紀はバロック音楽の時代。作品にはヴァージナル(チェンバロ)、シターン(リュートの仲間)、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ギター、トランペットなど、当時の古楽器が登場します。
これらの楽器は単なる室内の装飾ではなく、 「恋愛」 や 「愛情」 を象徴する寓意として描かれていることが多く、作品を鑑賞していると、登場人物たちの心情とともに美しい旋律が聞こえてくるようです。
日本を魅了したフェルメール・ブーム
日本で初めて本格的なフェルメール展が開催されたのは2000年、大阪市立美術館でした。代表作「真珠の耳飾りの少女」を含む5作品が展示され、約59万人が来場。この展覧会をきっかけに、日本でフェルメール・ブームが巻き起こります。
続く2008年には東京都美術館で開催された「フェルメール展」に7作品が集まり、来場者は約93万人を記録。さらに2012年、「マウリッツハイス美術館展」では「真珠の耳飾りの少女」の再来日が大きな話題となり、約120万人もの人々が会場を訪れました。

マウリッツハイス美術館
《真珠の耳飾りの女》/マウリッツハイス美術館
世界中から作品が集結した2018年
フェルメールの現存作品は最大でも37点、そのうち真作として広く認められているのはわずか32点です。そのため、1作品を所蔵するだけでも美術館にとっては至宝とされています。
そんな貴重な作品が史上最多となる9点集まったのが、2018年に東京・上野の森美術館で開催された「フェルメール展」です。混雑を避けるため、日本の美術展として初めて「完全日時指定入場制」が導入されましたが、それでも約68万人が来場しました。
翌2019年には大阪市立美術館でも6作品が展示され、日本のフェルメール・ブームは再び大きな盛り上がりを見せました。
修復後に公開された名画と「真珠の耳飾りの少女」の再来日
2022年、大阪市立美術館で開催された「ドレスデン古典絵画館展」では、「窓辺で手紙を読む女」が4年に及ぶ修復を終え、所蔵館以外では世界で初めて公開され、大きな話題となりました。
さらに今年8月には、マウリッツハイス美術館の改修工事による休館に伴い、「真珠の耳飾りの少女」が14年ぶりに日本へ再来日します。
日本では混雑や展示方法の関係で、作品をじっくり鑑賞したり撮影したりすることは難しい場合もあります。しかし、ドレスデンやデン・ハーグの所蔵館を訪れれば、ゆったりと作品と向き合い、その魅力を存分に味わうことができます。
音楽が聞こえてくるような2つの名作
「恋文」(アムステルダム国立美術館)
「恋文」 では、シターンを手にした女主人に女中が手紙を届ける場面が描かれています。
シターンは恋愛を象徴する楽器であり、背景の海景画は揺れ動く女性の心を、洗濯かごや箒は恋に夢中になって家事がおろそかになっていることを暗示しています。これらの象徴から、届けられた手紙が男性からの恋文であることが読み取れます。
「紳士とワインを飲む女」(ベルリン絵画館)
こちらは、男性が女性にワインを勧める場面です。女性の表情はグラスに隠れて見えないため、鑑賞者の想像力がかき立てられます。
椅子にはリュート、テーブルには楽譜が置かれ、音楽が男女の恋物語を静かに彩っています。フェルメールならではの繊細な演出によって、まるで室内に音楽が流れているかのような世界が広がります。
この2作品は、 音楽鑑賞の旅「アンコール」 のツアーでも鑑賞することができます。
フェルメールが眠る街・デルフトへ
フェルメールが生涯を過ごした デルフト には、彼が眠る旧教会があります。世界中から美術ファンが訪れるこの場所は、名画を鑑賞するだけでなく、画家の人生に思いを馳せることができる特別な場所です。
墓所を訪れると、一枚一枚の絵がより身近に感じられ、フェルメールの人生そのものを旅しているような感覚を味わえます。
デルフトの旧教会内にあるフェルメールの墓所
名画とともに楽しむ世界最高峰の音楽
フェルメールやレンブラントなどの名画鑑賞に加え、ヨーロッパ旅行の醍醐味となるのが、 本場で味わう名門オーケストラの演奏 です。
今回のツアーでは、世界最高峰のオーケストラとして知られる アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 と ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 を、それぞれの本拠地ホールで鑑賞します。
歴史と伝統を誇るコンセルトヘボウと、近代コンサートホールの原点ともいわれるベルリン・フィルハーモニー。この対照的な二つのホールだからこそ、それぞれのオーケストラが持つ個性や響きを存分に体感できます。

アムステルダム・コンセルトヘボウ

ベルリン・フィルハーモニー内部
マケラとペトレンコが指揮するベートーヴェン
コンセルトヘボウ管弦楽団では、次代を担う若き名指揮者 クラウス・マケラ が登場。シベリウスの《ヴァイオリン協奏曲》とベートーヴェン《交響曲第7番》を指揮します。
ベルリン・フィルでは、音楽監督 キリル・ペトレンコ の指揮によるベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》を鑑賞します。
フェルメールの芸術と、世界最高峰の音楽。その両方を味わえる、まさに贅沢な旅です。
ツアーで鑑賞できるフェルメール作品(11点)
▷マウリッツハイス美術館
「真珠の耳飾りの少女」「デルフトの眺望」
「ディアナとニンフたち」
▷アムステルダム国立美術館
「牛乳を注ぐ女」「小路」「青衣の女」「恋文」
▷ベルリン絵画館
「真珠の首飾りの女」「紳士とワインを飲む女」
▷ドレスデン古典絵画館
「窓辺で手紙を読む女」「取り持ち女」
さらにツアーでは、レンブラントの代表作をはじめ、20点以上の名画を鑑賞することができます。
フェルメールが描いた 「静寂」 と、バロック音楽が奏でる 「響き 」。
名画と名演奏が織りなす特別な時間を、ぜひ現地で体験してみてはいかがでしょうか。
1月ツアーの詳細はこちら
同行講師のご紹介

講師:山本 直幸氏
ベルリン留学中6年間、オペラ・コンサート通いの日を送る。
特にヨーロッパの歴史や音楽・美術への造詣が深く、長年音楽旅行企画に携わり、ツアーにも同行し現地で案内役も務める。海外添乗・駐在日数は4,000日以上。音楽雑誌等に音楽旅行記事を多数寄稿。
<音楽鑑賞の旅>特集もご覧ください♪
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