日本製の太魯閣号/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん
台湾は日本統治時代に鉄道建築が本格化し、海外で始めて日本の新幹線技術が採用された地域でもあります。日本製の特急列車が走っているほか、日本では引退した旧型客車を利用した普通列車(普快車)も運行されています。このブログでは台湾鉄道と2020年7月にオープンしたばかりの鉄道関連の新スポットをご紹介します。2022年は鉄道観光旅行年と定められ、これに合わせた観光列車もデビューする予定です。コロナ後に向け、台湾鉄道旅もぜひご検討ください。

台湾鉄道の歴史

在来線

清朝時代に鉄道建築が始められ、1891年に北部の港町基隆から台北間が、1893年に台北から新竹間が開通しました。
その後日本統治時代に入り、本格的な鉄道整備を開始。1908年に基隆から高雄まで全通し、現在の西部幹線の大部分が開通しました。そのほか、平渓線、集集線、阿里山森林鉄路などが開通しています。
なお、台湾東部の鉄道網は第二次世界大戦後に建設が本格化し、台湾を一周する鉄道網が開通したのは1991年のことです。

台湾一周路線は、基隆~台北~高雄~枋寮(ぼうりょう)間の西部幹線、八堵(はっと)~花蓮~台東間の東部幹線、枋寮~台東間の南廻線で形成されており、そのほかに支線があります。現在、非電化区間の南廻線枋寮~知本間の電化工事が進められており、年内に電化が完了する予定です。台湾一周路線の完全電化となり、特に高雄~台東間はさらなる所要時間短縮が期待されます。

そのほか、高速鉄道(新幹線)や平渓線、集集線、内湾線などのローカル線、阿里山森林鉄路、台北・高雄では地下鉄(MRT)が運行されており、高雄ではライトレール(LRT)も運行されています。

高速鉄道

2007年には台北~左営(高雄市)間に台湾高速鉄道(新幹線)が開通し、約345kmを最高速度300km/h、最速達便が約1時間30分で結んでおり、台湾西部の大動脈として利用されています。

台湾新幹線は日本の新幹線の車両技術を輸出したはじめての事例となり、現在使用されている700T型車両は、先日東海道新幹線から引退した700系の改良型となり、内装・外観など瓜二つです。

現在は台北市東部の南港から高雄・左営間で運行されており、左営以南への延伸計画もあります。

列車の種類

台湾の在来線の列車種別は、5種類あります。

①自強號(じきょうごう):日本の特急列車に相当。全車指定席。
 また、自強號の上位種別的な意味合いで、日本製車両が使われる「普悠瑪(プユマ)号」、「太魯閣(タロコ)号」があります。
②莒光號(きょこうごう):日本の急行列車に相当。全車指定席。
③復興號(ふっこうごう):日本の準急列車に相当。
④区間車(くかんしゃ):日本の普通、快速列車に相当。
⑤普快車(ふかいしゃ):日本の普通列車に相当し、客車・非冷房の列車です。

台湾新幹線は、日本の「のぞみ号」、「ひかり号」、「こだま号」のような愛称はなく、例えば0141号などの列車番号で記載されています。列車は主要駅のみに停車する速達型や各駅に停車する列車など様々なパターンがあります。

台湾新幹線の旅

台湾新幹線は、台北・南港~高雄・左営間約345kmを約1時間30分~2時間で結んでいます。
バスで約5時間、特急列車の最速達便でも約3時間30分かかる台北~高雄間の移動が大変便利になりました。
日本の新幹線技術がはじめて輸出されたことでも知られ、先日東海道新幹線から引退した700系をモチーフにしております。
座席は、商務車(日本でいうグリーン車)、普通車指定席、自由席があり、座席配列は、日本同様商務車2+2、普通車3+2の配列で、シートピッチも日本の新幹線の標準的なサイズと同じです。

台湾の都会とどこか懐かしい雰囲気残る地方など、様々な表情を見せる台湾西部の車窓を楽しみながらのご移動をお楽しみください。

台湾新幹線/弊社スタッフ撮影

車内の様子をご紹介

台湾新幹線・普通車車内/弊社スタッフ撮影

普通車の車内の様子です。700系新幹線の車内と類似しており、日本の新幹線に乗るような印象です。シートピッチは日本の新幹線の標準的なサイズと同様の1,040mmです。

車両先端にある荷物スペース/弊社スタッフ撮影

車端部には荷物スペースがあり、日本同様荷棚もございます。荷物スペースは限りがあるため、4~5日程度の中くらいのスーツケースであれば荷棚に置くことも可能です。

台湾新幹線・商務席(日本のグリーン車)/現地旅行会社スタッフ撮影

こちらは商務席(日本のグリーン車)の座席です。12両編成の真ん中、6号車に位置しており高級感のある座席となっています。日本のグリーン車のようなフットレストも備え付けられています。シートピッチは普通車同様、日本の新幹線の標準的なサイズで1,160mmになります。

自強号(特急列車)の旅

自強(じきょう)号は、日本でいう特急列車に相当します。台湾の主要幹線で運行されており、ツアーでは台東~花蓮間、高雄~花蓮間の利用が多くなっております。台北~花蓮間は約2時間20分で運行しております。日本製車両も使用されており、特に日本製電車の「普悠瑪(プユマ)号」、「太魯閣(タロコ)号」のデビューは台湾在来線の高速化に大きく貢献しました。

特に、台東~高雄間は海岸線沿いを走る区間も多くあり、台湾有数の絶景区間として有名です。特急列車の旅も台湾の楽しみの一つです。

画像: 日本製車両の「普悠瑪号」/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

日本製車両の「普悠瑪号」/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

「普悠瑪号」(プユマ)は、台湾特急電車の中で一番新しい車両で2013年に営業運転を開始しました。日本車両製造で製造され、後述の太魯閣号とともに台湾在来線の高速化に大きく貢献しました。

画像: 日本製車両の「太魯閣号」/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

日本製車両の「太魯閣号」/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

「太魯閣号」(タロコ)は、JR九州の885系「白いかもめ・ソニック」を基に製造され、台湾初の振り子式電車です。カーブの多い台湾東部区間をはじめ、在来線高速化に大きく貢献しました。

画像: ディーゼル車両の自強号/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

ディーゼル車両の自強号/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

ローカル線の旅

台湾には日本統治時代に開業したローカル線も走っています。途中下車しながらの鉄道旅も楽しいものです。代表的な2路線をご紹介します。

平渓線

平渓線は、台北郊外・三貂嶺(さんちょうれい)駅~菁桐(せいとう)駅間12.9kmの路線で、日本統治時代に炭田開発のためにつくられました。現在は観光路線として有名で、沿線には天燈上げで有名な十分(じゅうふん)の街もあります。旅は九份の玄関口瑞芳(ずいほう)駅から始まります。列車はおおむね1時間に1本です。

天燈上げで有名な十分では、商店街の真ん中を列車が通るようになっており、平渓線ならではの光景となっています。

十分老街を走る平渓線/弊社添乗員撮影

集集線

集集(しゅうしゅう)線は、台湾中部・二水(にすい)駅から車埕(しゃてい)駅までの29.7kmの路線で、日本統治時代に水力発電所の建設資材輸送のために敷設されました。沿線の集集は台湾バナナの有名な産地で、バナナ畑も広がるほか、集集駅は日本統治時代の1930年に建設された駅舎が利用されています。終点の車埕駅は1999年の台湾大地震で甚大な被害を受けましたが、現在では木造駅舎に建て替えられ台湾の中でも美しい駅として有名です。

終点・車テイ駅に停車する集集線/弊社スタッフ撮影

日本統治時代の駅舎が使われる集集駅/弊社スタッフ撮影

普快車の旅

普快車(ふかいしゃ)は、日本では姿を消した客車列車を利用した普通列車で、現在は南部・屏東(へいとう)県の枋寮(ぼうりょう)から東部台東間を約2時間10分で結び、1日1往復のみ運行されています。非冷房の日本製またはインド製客車をディーゼル機関車が牽引して運行されており、日本から鉄道ファンが乗りにくるほか、週末になると台湾の観光客で混雑することもあります。普快車が走る南廻線は、海岸線沿いを走る台湾屈指の絶景区間があることでも知られています。

画像: 普快車/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

普快車/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

画像: 普快車車内からの景色/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

普快車車内からの景色/画像提供:北海道在住のペンネーム北の保線屋さん

駅弁(台鉄弁当)

台湾の鉄道旅は駅弁も醍醐味の一つです。日本統治時代に日本から駅弁文化が伝わり、台湾では「台鉄弁当」と呼ばれています。車窓の景色を楽しみながら、お弁当もぜひお楽しみください。

代表的なお弁当は、排骨(骨付き豚のスペアリブ)弁当です。ご飯を敷き詰め、その上に排骨と味付けゆで卵、青菜の煮物などをのせた弁当で台湾の弁当=排骨弁当といわれることも多いです。
台湾の駅弁の特徴として、温かい状態で売られていることも特徴です。

排骨弁当/弊社スタッフ撮影

そのほか、日本のようにご当地ならではの弁当もあり、代表的なものに東部池上駅の池上弁当、集集線・車テイ駅の木桶弁当などが有名です。
鉄道旅のお供にぜひご賞味ください。

鉄道観光の新スポット!国立台湾博物館鉄道部パーク

2020年7月7日、台北に鉄道博物館がオープンしました!日本統治時代に建てられた「台湾総督府交通局鉄道部」の本庁舎と付属施設を修復して「国立台湾博物館 鉄道部パーク」がオープン。
台北駅となりの北門駅すぐに立地しており、館内は駅宿舎の再現や鉄道にまつわる器具などが展示もあります。
そのほか、1970年代の台北駅周辺を再現した巨大ジオラマ、子供向けスペースや台湾駅弁の紹介もあります。建物は国定史跡に指定されており、赤レンガと木材を使用し、イギリスの建築様式を採用した建物が非常に美しいです。
コロナが落ち着き、台湾鉄道旅行をされる際にはぜひ訪れたい新スポットです!

画像: 国立台湾博物館鉄道部園区(旧台湾総督府鉄道部本庁舎)/現地旅行会社スタッフ撮影

国立台湾博物館鉄道部園区(旧台湾総督府鉄道部本庁舎)/現地旅行会社スタッフ撮影

画像: 国立台湾博物館鉄道部園区内鉄道ジオラマ/現地旅行会社スタッフ撮影

国立台湾博物館鉄道部園区内鉄道ジオラマ/現地旅行会社スタッフ撮影

2022年は「鉄道観光旅行年」

台湾交通部は2022年を「鉄道観光旅行年」と定め、これに向けて複数の観光列車を導入すると発表しています。2020年2月には観光列車「鳴日号」が初運行されました。また新たな鉄道旅の楽しみが増えることでしょう。

新型コロナウイルスについて

(注意)2020年9月現在、世界中で新型コロナウイルス(COVID-19)が流行しております。 台湾における感染状況や現状についてはこちらの記事をご参照ください。

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