建築家アントニ・ガウディ没後100年にあたるこの日、サグラダ・ファミリア最大の塔である「イエスの塔」の祝福・完成記念式典が行われます。
1882年に着工してから144年。ガウディ自身は完成を見ることなくこの世を去りましたが、彼が思い描いた壮大な構想は、ついに空へと到達しました。
今回は、式典に先駆けて4月に現地で見てきたサグラダ・ファミリアの姿とともに、サグラダ・ファミリアの魅力をご紹介したいと思います。

サグラダ・ファミリア(弊社社員撮影)
ついに完成したサグラダ・ファミリアのメインタワー「イエスの塔」
今回完成したイエスの塔は、高さ172.5メートル。
サグラダ・ファミリアを構成する18本の塔の中で最も高く、建物全体の象徴ともいえる存在です。塔の頂上には巨大な十字架が据えられています。そして、興味深いのはその高さです。
ガウディは、この塔をモンジュイックの丘(バルセロナ南西に位置する標高約177mの丘)よりもわずかに低く設計しました。

イエスの塔 十字架(弊社社員撮影)
「人間の創造物は神の創造物を超えてはならない」
そんな彼の信念が、この172.5メートルという数字に込められています。そしてこの完成によって、サグラダ・ファミリアは世界で最も高い教会となりました。(2026年現在)
サグラダ・ファミリアは以前から圧倒的な存在感を放っていましたが、イエスの塔が加わったことで建物全体のシルエットが大きく変わったように感じます。
遠くからでも視界に入り、街を歩いていても自然と目が向いてしまう。まるでバルセロナに新しいランドマークが誕生したかのようでした。
そもそもサグラダ・ファミリアとはどんな建物?
バルセロナを代表する観光名所として知られるサグラダ・ファミリア。
正式名称は「聖家族贖罪教会(Basílica de la Sagrada Família)」といい、1882年に建設が始まりました。140年以上が経った今も建設が続いている世界でも珍しい建築物です。
ユネスコ世界遺産には2005年に登録されましたが、当時のサグラダ・ファミリアは現在以上に”未完成”の状態でした。登録対象となったのは、ガウディが手掛けた生誕のファサードや地下聖堂などの完成部分のみ。建設途中の建物が世界遺産として登録されるのは極めて珍しく、大きな話題となりました。
では、なぜこれほど長い年月がかかっているのでしょうか。
実はサグラダ・ファミリアの全体像は、設計者アントニ・ガウディの頭の中にしかなかったとも言われています。さらにガウディの死後、模型や設計資料の多くがスペイン内戦によって失われてしまいました。そのため建設に携わる人々は、わずかに残された資料や写真をもとにガウディの構想を読み解きながら、少しずつ工事を進めてきたのです。
そして2026年、ガウディ没後100年という節目の年に、メインタワー「イエス・キリストの塔」がついに完成しました。ただし、これでサグラダ・ファミリアの建設が終わるわけではありません。
今後は最後の正面入口となる「栄光のファサード」などの工事が予定されており、全体完成は2030年代半ばとも言われています。
完成まで140年以上。サグラダ・ファミリアは単なる観光名所ではなく、今なお進化を続ける“生きた世界遺産”なのです。
ガウディが思い描いた夢が少しずつ形になっていく。そんな「生きた世界遺産」を見られるのも、今ならではの魅力かもしれません。
サグラダ・ファミリアの見どころ
サグラダ・ファミリアの魅力は、その圧倒的なスケールだけではありません。外観から内部に至るまで、ガウディならではの発想とこだわりが随所に散りばめられています。
まず注目したいのが、空へ向かって伸びる18本の塔です。実はこれらの塔は単なる装飾ではなく、ガウディが建物全体でキリスト教の世界観を表現するために設計したものです。
今回完成した高さ172.5メートルの「イエス・キリストの塔」を中心に、その周囲には福音書記者(福音書を記した四使徒マタイ、マルコ、ルタ、ヨハネ)を象徴する4本の塔が配置されています。さらに少し離れた位置には2021年に完成した聖母マリアの塔が建ち、外側を囲む12本の塔はキリストの弟子である十二使徒を表しています。
また、塔の先端にもぜひ注目してみてください。果物をモチーフにした色鮮やかな装飾や、福音書記者を象徴するシンボルなど、細部までガウディらしい遊び心が感じられます。
そして、サグラダ・ファミリアを訪れた多くの人が最も感動するのが内部空間です。
一歩足を踏み入れると、そこには教会というよりも森の中にいるかのような世界が広がります。
天井へ向かって枝分かれする柱は木々をイメージして設計されており、「石の森」とも呼ばれています。ガウディは自然こそ最高の建築家だと考えていました。その思想は、内部の至るところに見ることができます。
さらに、色鮮やかなステンドグラスから差し込む光が時間帯によって表情を変え、神秘的な空間を演出します。
午前中は青や緑を基調とした涼しげな光、午後は赤やオレンジを帯びた温かみのある光が聖堂内を包み込みます。
外観の壮大さに目を奪われがちなサグラダ・ファミリアですが、訪れた際はぜひ内部にもゆっくりと時間をかけてみてください。ガウディが目指した「自然と信仰が融合した空間」を体感できるはずです。
塔を間近で見るなら展望塔への入場もおすすめ
サグラダ・ファミリアを訪れるなら、ぜひ体験していただきたいのが展望塔への入場です。
エレベーターで上層部まで上がると、バルセロナの街並みを一望できるだけでなく、普段は見上げることしかできない塔や建物の装飾を間近に見ることができます。
特に見どころのひとつが、下りで利用する螺旋階段です。
アンモナイトをイメージして設計されたとも言われる美しい曲線の階段は、ガウディが自然界から着想を得ていたことを感じさせてくれます。
遠くから眺めているだけでは気付かない細かな装飾や造形を間近で観察できるのも、塔に上る大きな魅力です。サグラダ・ファミリアの建築美をより深く味わいたい方には、ぜひおすすめしたい体験です。

螺旋階段(弊社社員撮影)
訪れる際は事前予約がおすすめ
サグラダ・ファミリアはスペイン国内でも屈指の人気観光スポットです。
特にガウディ没後100年を迎えた2026年は例年以上の混雑が予想されており、当日券が売り切れることも少なくありません。
また、塔への入場チケットは人数制限が設けられているため、通常の入場券よりも早く完売することがあります。旅行の日程が決まったら、事前にチケットを予約しておくと安心です。
時間帯によってステンドグラスの光の入り方も異なるため、午前・午後それぞれの魅力を調べながら訪問時間を選ぶのもおすすめですよ。
サグラダ・ファミリアを望むおすすめスポット
イエス・キリストの塔が完成したことで、サグラダ・ファミリアのシルエットは大きく変わりました。せっかく訪れるなら、聖堂の内部だけでなく、さまざまな場所からその姿を眺めてみるのもおすすめです。
ガウディ広場
サグラダ・ファミリア観光の定番スポット。
池越しに映るサグラダ・ファミリアは絵葉書のような美しさで、多くの観光客がカメラを構えています。
特に朝の時間帯は比較的人が少なく、水面に映り込む姿を撮影しやすいのでおすすめです。

日中のサグラダ・ファミリア(弊社社員撮影)

夜のサグラダファミリア(弊社社員撮影)
受難のファサード側の公園
生誕のファサード側に比べると、ゆっくりとサグラダ・ファミリアを眺められるのが受難のファサード側の公園です。
ガウディが手掛けた生誕のファサードとは対照的な、直線的で厳かな受難のファサードの姿をじっくり鑑賞できるのも魅力です。

日中に受難の門側より(弊社社員撮影)

夜に受難の門側より(弊社社員撮影)
ルーフトップカフェ
私が特におすすめしたいのが、サグラダ・ファミリアのすぐ近くにあるセルコテル・ホテル・ロセリョンのルーフトップです。
目の前に広がるサグラダ・ファミリアを眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

©Sourse Sercotel Hotel Group
グロリアスタワー展望台
少し離れた場所から全景を眺めたい方には、グロリアスタワーの展望台がおすすめです。
展望台からはバルセロナの街並みを360度見渡すことができ、聖堂の近くで見上げる迫力とはまた違う、"バルセロナの象徴"としてのサグラダ・ファミリアを楽しめるおすすめスポットです。
グロリアスタワー(弊社社員撮影)

グロリアス・タワーからの眺め(弊社社員撮影)
サン・パウ病院
一時期ガウディを教えたこともあるという、同年代に活躍した建築家モンタネールの代表作である世界遺産サン・パウ病院。
実はガウディ通りで一直線に伸びた先に位置しています。そのため、世界遺産から世界遺産を眺める特別な体験ができる隠れスポットです。

サン・パウ病院外観(弊社社員撮影)

サン・パウ病院内部より(弊社社員撮影)
サグラダ・ファミリアとあわせて訪れたい「コロニア・グエル教会」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
サグラダ・ファミリアに興味を持っていただいた方にぜひおすすめしたいのが、バルセロナ郊外にあるコロニア・グエル教会(Colònia Güell)です。
世界遺産にも登録されているこの教会は、サグラダ・ファミリアを語るうえで欠かせない存在として知られています。
「サグラダ・ファミリアの実験室」
と呼ばれることもあり、ガウディの発想の原点に触れられる場所です。

コロニア・グエル教会ビジターセンター内展示(弊社社員撮影)
有名な逆さ吊り実験の模型
コロニア・グエル教会のビジターセンターやサグラダ・ファミリアの地下博物館などに展示されています
残念ながらこちらの教会は完成には至りませんでしたが、ここで試みられた数々の建築技法が後のサグラダ・ファミリアへと受け継がれています。
教会内部を見学すると、傾いた柱や曲線を多用した天井など、サグラダ・ファミリアにつながるデザインを随所に見ることができます。特に建築好きの方であれば、サグラダ・ファミリアを見た後に訪れることで、その共通点や進化の過程がより理解しやすくなるでしょう。
バルセロナ中心部から電車で約30分ほどとアクセスも比較的良く、半日観光にもおすすめです。
ガウディが思い描いた建築の世界をより深く知りたい方は、ぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

コロニア・グエル教会外観(弊社社員撮影)

コロニア・グエル教会内部(弊社社員撮影)
最後に
いかがでしたか?ガウディ没後100年となる2026年、「イエス・キリストの塔」が完成し、大きな節目を迎えました。一方で、最後の正面入口となる「栄光のファサード(栄光の門)」は今も建設が続いており、サグラダ・ファミリアはなお進化を続けています。
完成へ向かう歴史の転換点に立ち会えるのは、今だけの特別な体験かもしれません。
私自身、過去に訪問したことがありましたが、何度見ても新たな発見があり、その壮大なスケールと美しさに改めて魅了されました。
完成したイエス・キリストの塔、色鮮やかなステンドグラス、そして今なお受け継がれるガウディの夢。ぜひこの機会にバルセロナを訪れ、世界で最も有名な“未完成の世界遺産”の今の姿を見に行ってみてはいかがでしょうか。
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