第4回目は、ルネサンス期の三大巨匠のうちの2人が登場!“万能の天才”レオナルド・ダ・ヴィンチと“神の如き人”ミケランジェロ。この2人にどんな関係があるのか・・・詳しくご紹介していきましょう(2021年12月27日更新)
ダ・ヴィンチについてはこちらが最終回となるぞ~
犬猿の仲か、はたまた同志か
前回までにダ・ヴィンチの生い立ちや性格、作品をいくつかご紹介してまいりました。
ただ、ダ・ヴィンチを語るうえで外すことができないのは、同時代を生きた天才「ミケランジェロ」の存在です。
寛厚で人望厚く、その一方で完璧主義の性格から筆が遅かったダ・ヴィンチ。
気難しい性格で生涯孤独、それでもスピード感をもって作品を仕上げるミケランジェロ。
二人の性格は真逆であったといわれています。
そのため、二人は相いれなかったとの話もあり、彫刻が得意なミケランジェロに対して
彫刻なんてくだらん。ただの肉体労働だろう。
と、言ったとか言わないとか・・・。
ただ、ダヴィンチはミケランジェロより25歳年上ということを考えると、対等なライバルと認めていた証拠なのかもしれませんが。。。
お互いがお互いの評判を噂で聞いていたにもかかわらず、直接出会うことはほぼありませんでした。
ところがある日、遂に二人が一堂に会す瞬間が訪れます。
フィレンツェで訪れた奇跡の出会い
時は1504年、フィレンツェのヴェッキオ宮殿内「500人大広間」に、当時のフィレンツェ共和国が素晴らしい勝利を収めた戦いの壁画が描かれることになりました。
そこで、一方の壁にダヴィンチが「アンギアーリの戦い」を、もう一方にミケランジェロが「カッシーナの戦い」を描くことになったのです。
しかしながら、結果として、どちらの作品も二人の手による完成は叶いませんでした。
一説には、ダ・ヴィンチはミラノへ、ミケランジェロはローマへそれぞれ拠点を移すことになったからではないかと言われています。
その後しばらく、二人が描いた下絵だけが残されていましたが、50年ほど経って宮殿の改修が行われ、ミケランジェロの弟子ヴァザーリによってフレスコ画が描かれました。
そのため、ダヴィンチが描いた「アンギアーリの戦い」は、完全に失われたと長らく考えられていました。
しかし近年になって、実はヴァザーリは「アンギアーリの戦い」に上書きはしなかったのではないかという説が浮上しました。その根拠として、ヴァザーリが描いたフレスコ画の軍旗に書かれている「CERCA TROVA(探せ、さすれば見つかる)」という文字です。
その言葉をもとに調査をしたところ、ヴァザーリの作品の裏に空洞らしきものがあることが判明したのです。まだ調査段階ではあるものの、ダヴィンチを尊敬していたヴァザーリは「アンギアーリの戦い」の手前にもう一枚の壁を作り、そこに自分の作品を描いた可能性があります。
今後、最新テクノロジーのさらなる発達により、新たな真実がもっと解明されるかもしれないと思うと、わくわくしますね。
さて、ではもうひとつ、近年見つかった絵画をご紹介します。
天才の作品が時代を動かす
この絵画は2016年、パリのオークションに持ち込まれた一枚です。
聖セバスティアヌスを描いたとされるこの作品は専門家によって慎重に鑑定が行われました。
その鑑定の過程で、ミケランジェロか、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたものであるとされたのです。
そうなるとここからが問題で、同じ時期を生きた2人の天才、一体どちらの作品なのでしょうか!?
鑑定の結果、2つのことがわかったのです
1.影の描き方やインク溜まりから、作者が左利きである可能性が高い
2.絵画の裏に、光と影に関する研究のスケッチとメモが書いてあった
以上のことからこの作品は
”レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたものとして、疑いの余地はない”
という結論に至りました。
そして鑑定額は驚愕の約18憶円!!!
ただし、絵画はオークションにかけられることなく、ルーブル美術館へ引き渡しがされたようです。
どこにどんなお宝が隠されているか、、、分からないものですね。
世界最高価値の絵画とは?
さて、ではこの18憶円の絵画が世界一高額なダヴィンチの絵画なのでしょうか?
上には上がいる、さらに高い金額で落札された絵画があるんです。
では世界最高額で落札された絵画とは、いったい何なのでしょうか。
「モナ・リザ」かな?と考えたそこのあなた!
惜しいです!
残念ながらモナ・リザは確かな市場価値が定められておりません。
というのも、現在は額縁ごと防弾のガラスケースに入れ、厳重に守られており、今後ルーブル美術館を出ることはないといわれています。
ですので、”世界一高い保険金が掛けられている絵画”はモナ・リザですが、実際に価格がつけられた作品としての最高額は他にあります。
比較的最近のニュースなので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。
2017年、オークションに出され、約500憶円で落札された絵画があります。
ダ・ヴィンチが描く救世主の姿
レオナルド・ダ・ヴィンチ作 「サルバトール・ムンディ」
この作品はダ・ヴィンチが救世主イエス・キリストを描いたものとされ、アラブ首長国連邦のアブダビ文化観光局がサウジアラビアの王子の仲介によって落札されました。
そして、この作品はフランス以外に唯一ルーブルの名を冠する美術館、”ルーブルアブダビ”にて展示される予定になっていました。
しかしながら美術館側が無期限公開延期を発表しており、今は作品の所在も不明とのこと・・・一説には、サウジアラビアのムハンマド王子所有のヨットに保管されているとか・・・いずれにしても、この作品が日の目を見るのはいったいいつになるのか、現時点では全くの不明です。
おわりに
さて、3回にわたってレオナルド・ダ・ヴィンチについて紹介してまいりました。
いかがでしたでしょうか。「万能の天才」として、死後500年経った今でも、その功績が色褪せないダ・ヴィンチについて、少しでも興味を深めていただけたら幸いです。
次回からはミケランジェロにフォーカスをあてて、ご紹介してまいります♪
わしとはここでお別れじゃ~!ここまでお読みいただき、ありがとうございました!次のシリーズも是非ご覧ください!
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1回目「ダ・ヴィンチだけじゃない!ルネサンスって何?」
2回目「世界に轟く天才の名、レオナルド・ダ・ヴィンチとは!?」
3回目「意外と知らないダ・ヴィンチ真作の秘密」
4回目「失われた絵画!?ダ・ヴィンチ VS ミケランジェロ?」
5回目「生まれながらの彫刻家ミケランジェロ、運命の出会いとピエタ像」
6回目「孤高の職人ミケランジェロ ~偏屈キャラって本当?」
7回目「画家ミケランジェロ ~後半生をかけた魂のフレスコ画~」
8回目「“聖母のラファエロ” ダヴィンチからの影響と美へのこだわり」
9回目「天才ラファエロはルネサンス時代の有能なプロジェクトリーダーだった」
10回目「ルネサンスの天才が残したもの、私たちが出会うもの」
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